海外ドラマファンがどハマりしているドラマ『ブリジャートン家』とは?
Netflix(ネットフリックス)のオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』は、19世紀初め、摂政時代終末期のイギリス上流社会が舞台。
ロンドン社交界で熱い視線を集めるブリジャートン家の8人の兄弟姉妹が、“真実の愛”を追い求める姿を描いた米作家ジュリア・クインによるロマンス小説シリーズ『ブリジャートン シリーズ』を原作としており、シーズン1は、シリーズ第1作目の『恋のたくらみは公爵と(The Duke and I)』にもとづき、物語が展開していく。
ブリジャートン家の麗しい長女ダフネと、ある原因から心を閉ざした若き公爵サイモン・バセットとのじれったいの恋の駆け引きや、ブリジャートン家の兄弟姉妹たちそれぞれが抱える葛藤や恋模様、そして、社交界でのし上がろうとする落ち目の名家フェザリントン家の面々の企みなどが複雑に交錯。
プロデュースを手がけるのは、『グレイズ・アナトミー 』、『スキャンダル』、『殺人を無罪にする方法』といったヒットドラマの数々を世に送り出してきたションダ・ライムズ。
スキャンダラスでセクシーで、ときには社会派なメッセージも織り込んだストーリーがドラマファンのハートをがっちりと掴んでいる。
Netflix史上5番目に多く視聴されたオリジナルシリーズに
2020年のクリスマスに配信がスタートした『ブリジャートン家』は、配信開始以来、口コミでじわじわと視聴者数を伸ばし、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、イタリア、スペインほか欧米各国でドラマ部門の月間視聴回数1位を獲得。
Netflixは、配信開始から28日間での同作の視聴世帯数が6300万を超える見込みだと発表。この数字は、『ウィッチャー』、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン3、『ペーパー・ハウス』シーズン4、『タイガー・キング』に次ぐ、Netflixオリジナルシリーズ史上5番目にランクインする好成績となっている。
時代劇版『ゴシップガール』と呼ばれるのはなぜ?
『ブリジャートン家』の物語の“語り手”として登場するのが、「レディ・ホイッスルダウン」という名の謎の女性コラムニスト。
レディ・ホイッスルダウンは、社交界に身を置く人々のありとあらゆる情報に精通しており、日本の江戸時代でいう、かわら版のような社交界新聞にゴシップを提供。
ロンドン市民たちはもちろん、ブリジャートン家の人々やイギリス国王の王妃までもがレディ・ホイッスルダウンが投下するスキャンダルに翻弄されている。
この設定は、ブレイク・ライブリーやレイトン・ミースターらスターを輩出した米CWの大ヒットドラマ『ゴシップガール』によく似ていると話題に。
ブリジャートン家の次女エロイーズが、親友でフェザリントン家の三女のペネロぺらに相談しながら、レディ・ホイッスルダウンの正体を突き止めようとするという、プロットラインにもドキドキ、ハラハラさせられる。
ちなみに、英語版でレディ・ホイッスルダウンの声を担当しているのは、『メリー・ポピンズ』『サウンド・オブ・ミュージック』といった名作映画への主演で知られる大御所俳優のジュリー・アンドリュース。
人種の壁をあえて無視 多様性をに富んだキャスティング
多様性を重視した作品づくりで知られるションダが総指揮をとるシリーズとあり、『ブリジャートン家』は、実際の摂政時代にはあり得なかった、黒人やアジア系といった有色人種たちがイギリス上流階級の貴族や、ひいては王族として描かれる。
シーズン1の主人公であるブリジャートン家のダフネには、白人のフィービー・ティネヴァーが、もう1人の主人公である公爵サイモン役には、南アフリカの国ジンバブエ出身の母を持つレゲ=ジャン・ペイジがキャスティング。
あえて、異人種間の恋愛が御法度だったことには触れないほか、君主ジョージ3世の妻で社交界で大きな権力を握るシャーロット王妃役は、黒人やさまざまな人種の血を引くゴルダ・ローシュウェルが務める。
そのほかのキャラクターや街人を演じるエキストラにも、多様な人種の役者たちが起用されている。歴史上の事実とは異なるものの、現代の流れに寄せたこのモダンなアレンジは、「貴族を描いた時代劇は白人だけのもの」というステレオタイプを打ち破っている。
人種以外にも、シーズン1では少ししか描かれないが、男性同士の恋愛やラブシーンといったLGBTQ+関連のトピックも。
胸キュンオンパレードからの情熱的なラブシーンに大興奮
『ブリジャートン家』に夢中になり、一気見する人が続出した大きな要因は、心をかき乱されるようなダフネとサイモンの胸キュン必至な恋模様。
超がつくほどピュアで美しいダフネと、クールだけれど、ふとした仕草や立ち居振る舞いがセクシーなサイモンが、恋の駆け引きをしながらじわじわと距離を縮めていく様子はもちろん、麗しい2人がついに結ばれた後の情熱的なセックスシーンのロマンチックかつ過激な描写に、視聴者たちは完全に心を奪われてしまっている。
とくに、サイモン役のレゲは、『ブリジャートン家』の配信開始をきっかけにファンが爆増。インスタグラムのフォロワー数が2週間で170万人以上増加(※)したほか、映画『007』シリーズの最新作の主人公ジェームズ・ボンド役に彼を起用して欲しいという声まで噴出している。
※Ninjaliticsにて算出
レゲ演じるサイモンのホットすぎるシーンとして、ファンを大興奮させたのが、「スプーンを舐めるシーン」。
このシーンにあやかって、「@thedukesspoon(公爵のスプーン)」というインスタグラム(非公式)が開設されるほどの人気ぶりとなっている。
ちなみに、『ブリジャートン家』で描かれるすべてのセックスシーンは、インティマシー・コーディネートと呼ばれる、ラブシーンの専門家が監修。
セックスにおける最も重要なポイントとして、近年注目されている「同意(コンセント)」の大切さについても、独自の視点で題材にしている。
「女性の幸せ」とは? 時代劇を通して現代人に問題提起
生家よりも裕福な家柄の男性に見初められ、結婚して子を産み、家庭を支えていくことが、何よりの「女性の幸せ」とされていた摂政時代。
主人公ダフネは、母からの教えを守り、家族のためにも位の高い男性との結婚を目標にして前進していくけれど、ブリジャートン家の姉妹たちのなかには、必ずしも結婚して子供を持つことで、幸せを手に入れられるとは考えていない娘もいる。
次女のエロイーズは、ダフネの次に社交界デビューを飾るのは自分だとわかりつつ、男性の気を引くために着飾ったり、好かれようと振る舞うよりも、読書や勉強が好き。社会進出を望み、女性たちが男性の所有物のように扱われることに疑問を抱いている。
そのほかにも、自分の幸せのためなら、どんな手でも使う女性の強かさや、そんな女性たちに運命を変えられる男性たちの姿も映し出されている。
煌びやかで優雅なファッションに注目!すでにトレンドが誕生
英語では「リージェンシー・エラ」と呼ばれる摂政時代は、芸術や文化が大きく花開いたことでも知られる。
そんだ時代を反映した『ブリジャートン家』では、女性らしいボディラインを強調するためのコルセットやボリュームスカート、荘厳な髪飾りや、ロマンチックなエンパイアシルエットのドレスといった女性キャラクターたちの装いはもちろん、男性たちも、フリルのついた立ち襟のブラウスに、ベルベット素材のジャケット、絹紋織物柄のベストといった極上のリージェンシー・ファッションを披露している。
衣装担当のエレン・ミロイニックいわく、これらの登場人物たちの衣装は、摂生時代の貴族たちが実際に身につけていたアイテムを、より色鮮やかに、そして、「現代人も着たいと思えるようなデザイン」を心がけてアレンジされたものだそう。
『ブリジャートン家』のファッションを日常着でマネしたいという視聴者は多く、摂政時代の世界観に通じるアイテムを取り入れる「Regencycore(リージェンシーコア)」と呼ばれるトレンドに熱い視線が集中。
ファッション界の大手オンライン検索エンジンLystは、『ブリジャートン家』の公開直後から、「コルセット」の検索数が123%、「エンパイアラインドレス」の検索数が93%も増加したというデータを発表している。
現代のヒット曲をクラシカルにアレンジ! 音楽が最高すぎる
『ブリジャートン家』の魅力をさらに深めているのが、いくつかのエピソードの目玉シーンのBGMとして流れる現代のヒット曲の弦楽器アレンジバージョン。
アリアナ・グランデの「サンキュー、ネクスト」やビリー・アイリッシュの「バッドガイ」、テイラー・スウィフトの「ワイルデスト・ドリーム」を上品かつ趣深くアレンジした楽曲が、なぜか見事に社交界の雰囲気と絶妙にマッチ。
次はどの楽曲の“ブリジャートン・バージョン”が聴けるのかと、音楽目当てでドラマを見てしまうという人も多い。
計8エピソードから成るシーズン1の最終話では、思わず「えっ!?」と、目を見開いてしまうクリフハンガー(続きを期待させるようなシーン)が投下された『ブリジャートン家』。
シーズン2の制作は、まだ発表されていないものの、もともと原作がシリーズものであることや、海外での大フィーバーぶりを見ても、シーズン2以降も制作されることは堅いはず。
貴族たちの優雅でロマンチックな日常や、時代や地位は違えど、つい共感してしまう人間臭さ、コメディ要素なども網羅した『ブリジャートン家』は、まだまだ続く外出自粛中のおうち時間を充実させる現実逃避にピッタリ。
めくるめくような、モダン時代劇の甘美な世界観にどっぷり浸ってみては? Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』はNetflixで独占配信中。(フロントロウ編集部)