SDGsを100文字ぴったりで説明
基本的人権の保証がある環境の中、地球環境を壊すことのないサステナブル(持続可能)な方法で経済や社会を発展させていく世界を作る為に193の国連加盟国が2030年を達成期限として取り組んでいる17の目標。
SDGsのポイント1<誕生秘話>
史上最大級規模で贈る続編
SDGs(持続可能な開発目標)には、MDGs(ミレニアル開発目標)という先輩がいるのをご存知?
MDGsは、2000年に191の国連加盟国が「世界の『貧しい』を半分に」をスローガンに8つの目標を掲げて、達成期限の2015年までに一定の成果をあげた国際目標。しかしまだまだ課題ややり残したことがあったため、83ヵ国700万人への調査という国連史上最大級の“制作陣”によって、MDGsのいわば“続編”であるSDGsが誕生。
MDGsの時には8つだった“キャラクター(目標)”は17に増えてよりパワーアップした。
出典元:United Nations Sustainable Development Group「THE SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS ARE COMING TO LIFE」、United Nations「‘7 million voices’ weigh in on future development agenda in UN survey」
SDGsのポイント2<達成期限>
エマ・ワトソンが40歳になるまでに達成したい
2015年に採択されたSDGsの達成目標期限は2030年。これは、1990年生まれの俳優であるエマ・ワトソンが40歳になる年。あのエマ・ワトソンが40歳なんて想像できない!と思う人も多いはず。あと10年以内と短いようではあるものの、それだけアクションを取れる年数が残されているという考え方もできる。
SDGsのポイント3<これまでとの違い>
アメコミ映画級のスーパーヒーローがやって来た
よくラディカル(急進的/徹底的/過激派)という言葉を使われるSDGs。その理由は、SDGsがアメコミのスーパーヒーローのような行動規範を持っているから。
こんなシーンを想像してみてほしい。たくさんの一般市民が戦闘に巻き込まれている中で、1人目は多くの人を救って「前回の戦闘よりも被害者が少なくて済んだ!」と成功を祝う。2人目は「誰1人取り残してはいけない!」と言って全員を救う規格外のアクションを見つける。これまでの世界的な問題への取り組みは、1人目のように過去と比較して「平均給与が上がった、貧困率が下がった」といった“平均”で成果を測ることが一般的だった。しかしその影では、数百万もの人が取り残され犠牲に。
一方でSDGsは、アメコミ映画のスーパーヒーローのような2人目の人物と一緒。SDGsの17の目標は“平均”を良くすることではなく“ゼロ”にすることを目的に作られており、貧困をゼロに、飢餓をゼロに、予防可能な子供の死をゼロに、AIDS・結核・マラリア感染をゼロに、女性や女児への差別をゼロに、人身売買をゼロにといった、社会を劇的に変える多くの“ゼロ”を達成しようとしている。
“もはやフィクションでは!?”と懐疑的な指摘が出ることもあるけれど、忘れてはならないのが、SDGsは国連史上最大規模の調査・コンサルをもとに作られた開発目標であること。世界中の専門家や行政関係者が何度も話し合いを重ねて視野に入る目標として設定している。もちろん、今までどおりの行動や考え方では達成できない。私たちの意識や行動を変えるためにも、SDGsの17の目標が重要ということ。
出典元:UN Development Programme「5 things you need to know about the 2030 Agenda for Sustainable Development」
SDGsのポイント4<17の目標>
一番重要なのはどれ?17の目標は愛憎ドラマの相関図のように絡み合っている
<人間><地球><繁栄><平和><協力>の5つのカテゴリーに分けられる17の目標に対して、「とくに重要なのはどれ?」という疑問が出ることが多いけれど、17の目標の関係は、ドロドロの愛憎劇が楽しめるドラマの相関図のように絡み合っているため、“同時に考えて取り組む”ことが重要とされている。
例えば、海へのプラスチック流出問題(目標14 海の豊かさを守ろう)に取り組む際は、選択肢が少ない貧困地域でなぜプラスチックの使用が不可欠なのか(目標1 貧困をなくそう)を一緒に考えないといけない。国際学術会議の調査によると、17の目標はすべてが複雑に絡み合っている一方で、1つの目標の達成が別の目標の達成を阻むような“不和合性”はないとしている。
出典元:United Nations ESCWA「The 5Ps of the Sustainable Development Goals」、International Science Council「A Guide to SDG Interactions: from Science to Implementation」
フロントロウ編集部Memo
『ノッティング・ヒル』とSDGsの繋がりとは?
SDGsが作られていた当時の心配点とされたのが、“難しすぎて広く認知されるのか”ということ。そこで登場したのが、映画『ノッティング・ヒル』『ブリジット・ジョーンズの日記』『ラブ・アクチュアリー』などでヒュー・グラントに数々の名シーンを演じさせたロメコメ脚本の帝王リチャード・カーティス! カーティス氏は、シンプルなデザインとメッセージで理解を広げるために、スイス人デザイナーのヤーコブ・トロールベックと連携して、現在知られるあのロゴとスローガンを制作した。
SDGsのポイント5<参加者>
主人公だけではストーリーが進まない
SDGsは、ルール作りをする政府や、大規模なスケールで取り組める団体や企業、情報を拡散するメディアが主人公で、個人である自分にはあまり関係ないと思うかもしれないけれど、映画『ハリー・ポッター』の壮大な物語は、ハリー、ハーマイオニー、ロンだけで完結しただろうか? もちろんしない。確かにハリーら3人は最重要キャラであるため責任は大きい。しかし、メインからサブまでその他大勢のキャラクターたちが総動員した結果、ヴォルデモート卿を倒すことができた。
一人ひとりが、政府や企業にしっかりアクションを取るよう求めたり、SDGsに関する情報をまわりに共有したり、ボランティアや寄付をしたりすることは、大きなパワーになる。また、正当な金額が生産者に入るフェアトレード品を購入してゼロ貧困・ゼロ飢餓を応援する、接種が決められたワクチンを接種して世界の健康を支える、古いメールや読んでいない定期配信メールを削除・配信解除してCO2排出量の削減に協力するなど、日常生活の小さなことから出来ることはたくさんある。
(フロントロウ編集部)