スターバックスの店員が描いたイラストが賠償問題に発展
アイルランドのダブリンにある人気コーヒーチェーンのスターバックスで働く店員が、客が注文したドリンクのカップに「不適切なイラスト」を描いたとして、現地の労働委員会がスターバックス側に約150万円の賠償金を支払うよう命じたことがわかった。
トラブルが起きたのは昨年1月。英BBCによると、スターバックス タラト店を訪れた女性客は、店員にちゃんと名前を伝えたが、注文したドリンクのカップには名前のかわりにイラストが描かれていたそうで、しかもそのイラストは東南アジアのタイにルーツを持つ女性客の人種を揶揄するようなものだったという。女性客の証言では、欧米でアジア系の人たちに対する差別的な表現として捉えられることが多い「つり目」の人物が描かれていたとのこと。
スターバックスは「女性客に対して屈辱を与えたり、不快に感じさせたりするつもりはなかった」としているが、イラストを描いたことは「間違いだった」と非を認めており、当該の従業員も自身の行いを後悔していることを明かした。
防犯カメラに残された映像からも、女性客が店側から“良い扱いを受けた”とは言えず、わざわざ外見を弄るようなイラストを描いたことは人種差別にあたるとして、最終的にスターバックス側が女性客に約150万円の賠償金を支払うことで決着がついた。
過去にカップに差別的な表現や名前を書いて問題になったことも
ちなみに、日本ではあまり主流ではないが、欧米のスターバックスでは注文の際に客の名前を聞いてそれをカップに書き、ドリンクが出来上がった時にカップに書かれた名前を呼ぶというのが、定番となっている。そのため今回のようなトラブルが起きることも少なくない。
例えば、以前、アメリカのミネソタ州にあるスターバックスで、ヒジャブを被ったイスラム教徒の客のカップに、店員がイスラム過激派のテロ組織である通称イスラム国の名称である「ISIS」と書いて問題になったことがあるほか、インド系アメリカ人俳優のカラン・ブラーが、名前を聞かれることなく、インドの男性の名前としてよく使われる「Raj」という名前をカップに書かれたことを暴露して、波紋を呼んだこともある。
こういった事態をうけて、スターバックスでは、多様にある人種・性別・年齢・性的指向・身体的な特徴、価値観や宗教を理解して、どのように対応すべきかを従業員に教育する、ダイバーシティ・トレーニングと呼ばれる研修を従業員に対して行なっているが、また騒動が起きてしまった。(フロントロウ編集部)
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