ホワイ・ドント・ウィーが1月15日にリリースしたセカンドアルバム『ザ・グッド・タイムズ・アンド・ザ・バッド・ワンズ』には、自らプロデュースを手掛けたメンバー5人の“成長のすべて”が詰まっている! アルバムに収録されている全10曲を、アルバムタイトルに合わせて、前向きで「グッド・タイム」な楽曲と、後ろ向きで「バッド・タイム」な楽曲の2つに分類しながら、彼らの成長と共に紐解いていく。(フロントロウ編集部)

自分たちで初プロデュースしたニューアルバムをリリース

 2020年1月、「次のスタジオアルバムに向けたソングライティングとプロデュースに取り組むため、2020年の最初はオフをとる」ことを宣言して、表舞台から距離を置いたホワイ・ドント・ウィー。

 当初、オフに充てるのは3ヶ月を予定していたものの、世界中で今も猛威を振るっている新型コロナウイルスによるパンデミックの影響を受け、ダニエル・シーヴィ、ザック・ヘロン、コービン・ベッソン、ジョナ・マレー、ジャック・エイブリーの5人が、グッと大人になったビジュアルと共に最終的に表舞台に帰ってきたのは、オフ宣言から9ヶ月が経った2020年9月のことだった。

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 待望のカムバックシングル「Fallin’ (Adrenaline) (フォーリン(アドレナリン))」を2020年9月29日にリリースした後に、同曲など全10曲が収録されたセカンドアルバム『ザ・グッド・タイムズ・アンド・ザ・バッド・ワンズ』を2021年1月にリリースしたホワイ・ドント・ウィー。

 アルバムは、バンドが初めて自分たちでプロデュースを手掛けた作品となっているのだけれど、ジャック(21)はコロナ禍でアルバムをリリースしたことのポジティブな側面について、「難しい時間のなかで、書くべきことがたくさんあったことだね。それから、それぞれの曲に完璧にフィットするものを書くための時間ができたこと」と米Billboardに語っている。

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 バンドが自分たちで書き上げた『ザ・グッド・タイムズ・アンド・ザ・バッド・ワンズ』は、彼ららしさが詰まった作品になっているといい、「僕らは大人になったんだ」とジョナ(22)は米Peopleに語っている。「(2018年にリリースしたデビューアルバムの)『8 レターズ』の素晴らしかったところは、成功を収めることができたおかげで、世界中を回ることができて、僕らが大きく成長できたということ。今回のニューアルバムは、そうした経験の賜物なんだ」

 彼らの実体験がベースになっているという本作では、『ザ・グッド・タイムズ・アンド・ザ・バッド・ワンズ』というタイトルが表しているように、メンバーがこれまでに経験してきた「楽しい時間(グッド・タイム)」「楽しくない時間(バッド・タイム)」が歌われている。

 ここでは、1曲目に収録されている「Fallin’ (Adrenaline) 」から、アルバムを締めくくる10曲目の「Stay(ステイ)」まで、それぞれの楽曲で歌われているテーマを、前向きな気持ちについて歌った「グッド・タイム」赤色で、どちらかというと後ろ向きな気持ちについて歌った「バッド・タイム」青色で、2つのカテゴリーに分けながら、それぞれの楽曲の魅力を紐解いていく。

アルバム収録曲を「グッド」「バッド」にカテゴライズ!

1. Fallin' (Adrenaline) (フォーリン(アドレナリン))

「思いきって恋しちゃおうよ/それから夢中になるかもしれない」

 カニエ・ウェストの「Black Skinhead(ブラック・スキンヘッド)」をサンプリングした力強いドラム音から幕を開ける「Fallin' (Adrenaline) 」は、「どうしても振り向かせたい女の子についての歌」byジョナ。

 結成以来、初めて5人全員がMVで楽器を弾いたことでも話題になった同曲で、バンドは次のように歌っている。「約束してよ、ずっとそばにいるって/正直言うと、どうなるか僕にもわからないけど/聞きたいのはそれだけなんだ/いつまでもじらさないでよ」

2. Slow Down(スロー・ダウン)

「会いたい、きみに会いたい/こんなに離れていなければ会えるのに」

 冒頭で流れる心地の良いギターラインは、1990年代を代表するバンドの1組であるスマッシング・パンプキンズの代表曲「1979」をサンプリングしたもの。1曲目でカニエをサンプリングしていたことからも、メンバーが受けた音楽的な影響の幅広さが分かるけれど、彼らがこの曲で歌うのは、離れ離れになってしまったかつての恋人を思う切ない気持ち

 「ニューヨークを発つ前の、僕を見るきみの目が恋しくて/助けを求めていたんだよ、だって、否定できない/きみといる時の気持ちを/何だってする、きみを手に入れるためなら」という歌詞を聴いて、コロナ禍でなかなか会えずにいる誰かを思い浮かべる人もきっといるのでは。

3. Lotus Inn(ロータス・イン)

「太陽がヨソ見していてくれたらいいのに/今夜は終わってほしくないから」

 映画『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 盗まれた雷撃』に出てくるシーンからインスピレーションを得ているとジョナが語る、架空のホテル“ロータス・イン”での出来事がテーマになっている「Lotus Inn」は、楽しい時間が終わってほしくないという気持ちを歌った楽曲。

 「僕らが泊まっているのはロータス・イン/ねえ、時間を巻き戻して/また最初からやれるかも/明日になったら巻き戻しボタンを押せばいい/この夜に終わってほしくないんだ」と、ホテルでの時間を惜しむように歌われるこの楽曲を聴けば、頭の中には“ロータス・イン”の光景が広がるはず。

4. Be Myself(ビー・マイセルフ)

「連れてって、どこか、僕が、僕でいられる場所へ」

 優しいポップバラードとなっている「Be Myself」は、ダニエルが、2019年に娘が誕生して父親になったジャックのために書いた楽曲だという。「僕は若くして父親になって、多くのことを抱えることになった。それで、最終的に、大きな不安を抱えていることをメンバーに打ち明けたんだ」とジャックは米PopBuzzに語っている。「それをメンバーに伝えた時に、ダニエルがそれを曲にしてくれたんだよ」。

 日本語で「自分らしく」を意味するタイトルがつけられた「Be Myself」では、自分自身への葛藤を抱えながらも、前向きに進もうとする力強い気持ちが歌われている。「自分を誇りに思ったことなどなくて/それが僕には誇らしいんだ/だって、今の僕は他の誰かでしかなくて/他人の言葉に自分の価値を探してもしょうがないから」

5. Love Song(ラヴ・ソング)

「きみへの思いが僕のインスピレーション」

 もしもこの曲を聴いて“カリードみたい”と感じたファンがいれば、かなり鋭い耳をしていると言えるかも。バンドは、「またラヴソングにしたよ、きみのこと」というフレーズから始まる文字通りのストレートなラヴソングを書くにあたり、シンガーソングライターのカリードにアドバイスを求めたそう。

 「1秒ごとに1曲書けてしまう、きみがいないと/こんな感じのを ohh」と歌われるメインパートは、伝えているメッセージこそシンプルなものだけれど、バンドがこれまでの期間で積み上げてきたソングライターとしての実力が、楽曲全体に厚みをもたらしている。

6. Grey(グレイ)

「きみを手放した自分が信じられない」

 こちらも、メンバーが受けてきた音楽的な影響の幅広さが感じられる1曲。ジャスティン・ビーバーの最近のシングル群を思い起こさせるような、恋人を手放してしまったことへの後悔を歌うバラード「Grey」は、バンドが、ジャスティンの「Holy」や「Anyone」を共作したマイケル・ポラックとのセッションにヒントを得て作られた楽曲。

 「どうか、どうかお願いだよ/もう僕のこと、ほしくないんだね/こんなに傷ついたのは初めてだ/どうか、どうかお願いだよ」と、切ない思いが繊細な歌声で歌われるこの曲を聴くときには、クライマックスで披露される美しい高音パートにも注目してみて。

7. For You(フォー・ユー)

「覚えていてほしい、僕はきみの味方だって」

 「Grey」に流れていた悲しい雰囲気は「For You」で一変する。スクリレックスやザ・チェインスモーカーズにインスピレーションを得たという「For You」は、失恋してしまった人たちに前を向かせてくれるような、心地の良いテンポで奏でられるEDMバラード

 「でも気づいたんだ、僕はこれでいいんだって/ヘンなことを考えちゃうのは、きみを思い出した時だけだ/きみはきっと大丈夫、僕もきっと大丈夫」と歌いながら、5人は自分の気持ちをどうにか納得させ、前に進もうとしている。

8. I'll Be Okay(アイル・ビー・オーケイ)

「長い一日だったから/今夜はきみの愛がほしい」

 「楽しかったり、楽しくなかったり(the good times and the bad ones)」というアルバムのタイトルにつけられたフレーズに続けて、「結果なんか考えてなかったけど/きみが火をつけたら最後、燃え上がってしまう」と歌われる「I'll Be Okay」は、心では相性が良くないことをわかっていながらも、どうしても魅了されてしまう女性について歌ったポップソング

 「きみは天使だ、何も悪いことはしていない/でも、きみのせいで僕はつらい目に/きみのせいで僕はつらい目にあっているんだ」と、どうしても傷ついてしまう複雑な心境を歌いながら、「僕は大丈夫、きみがそれでいいなら/長い一日だったから/今夜はきみの愛がほしい」と、愛を求める気持ちを歌っている。

9. Look At Me(ルック・アット・ミー)

「ひざまずいたきみが、僕を見る/その目を僕に見せてごらん」

 ヒップホップからの影響を感じさせるサウンドも印象的な、映画『ダークナイト』で故ヒース・レジャーが演じたジョーカーの不気味な笑い声から幕を開ける「Look At Me」では、恋人との愛を確認し合うようなワイルドで大胆な歌詞が歌われる。

 「ねえ、僕の声に耳を傾けて/きみのポジションは任せるよ/それだけ声を出してるってことは、いい感じなんだね」と囁くような歌声からも伝わってくるのは、つい最近まであどけなさが残っていた気がしたホワイ・ドント・ウィーの5人が、ベッドルームのサウンドトラックにもしっくりくるような、成熟したグループに成長したということ。

10. Stay(ステイ)

「ここにいてよ、もう一晩」

 ヒップホップ的なリズムで奏でられる「Stay」は、その軽快な曲調とは対照的に、自分をもう思っていない恋人を思い続ける、行き場のない思いが歌われている

 『ザ・グッド・タイムズ・アンド・ザ・バッド・ワンズ』を締めくくるのは、消え行くような歌声で歌われる「あの頃みたいになればいいのに/なるはずないけどね、僕にはきみの心が読める/どんなにきみが恋しいか、伝えられたらいいのに」というフレーズ。

 メンバー自身の経験が詰め込まれているという、アルバムに収録されている多岐にわたるサウンドで構成された10曲から感じられるのは、ホワイ・ドント・ウィーの5人が多くの経験を経て大人になりながら、ソングライターとしても立派に成長してみせ、ボーイズグループと呼ばれていたフェーズを卒業し、大人のバンドへと変わろうとしているということ。

画像1: 10. Stay(ステイ)

 9ヶ月も表舞台から離れていたかと思えば、一回りも二回りも大きくなって帰ってきてくれたホワイ・ドント・ウィー。『ザ・グッド・タイムズ・アンド・ザ・バッド・ワンズ』には、サウンドから歌詞、ミュージックビデオで垣間見られる大人っぽくなったルックスまで、彼らの成長のすべてが詰まっている。

<作品情報>

ホワイ・ドント・ウィー
ザ・グッド・タイムズ・アンド・ザ・バッド・ワンズ

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画像2: 10. Stay(ステイ)

(フロントロウ編集部)

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