ロックバンドとして成功を収めたプリティー・レックレス
ブレイクするきっかけとなったドラマ『ゴシップガール』からシーズン4をもって降板し、現在はロックバンド、プリティー・レックレスのフロントウーマンとして活動しているテイラー・モムセン。
2月12日にはおよそ5年ぶりとなる通算4作目のニューアルバム『デス・バイ・ロックンロール』のリリースも控えているプリティー・レックレスは、2010年にデビューアルバム『ライト・ミー・アップ』をリリースした頃から大きな注目を集め、2014年にセカンドアルバム『ゴーイング・トゥ・ヘル』をリリースした際には、シングル「Heaven Knows」が同年に最も売れたロックソングとなるなど、成功を収めてきた。
テイラーが女性差別に提言
ロックバンドとして、シーンで早くから認められていたようにも思えるプリティー・レックレスだけれど、テイラーによれば、自分が女性であるが故の差別もあったそう。英The Forty-Fiveのインタビューに応じたテイラーは今回、「周囲の人たちからは何年も前から、音楽の世界には女性蔑視や女性差別があるって言われてきた。年齢を重ねるにつれて、特定の状況について振り返ってみると、その時は褒め言葉として受け取っていた誰かからの言葉が、ポリティカルコレクトネス(※)に引っかかるような女性蔑視的な言葉だったって気がつくことがある」と語り、具体例は挙げなかったものの、音楽活動をしていくなかで、女性蔑視的な言葉を投げかけられたことがあったと振り返った。
※※性別や人種、民族、宗教、セクシュアリティなどに基づく偏見や差別を含まない言動のこと。
テイラーは昨年、英Louder Soundのインタビューに応じた際にも過去に女性蔑視を感じた経験について振り返っており、「女性蔑視は実在するもの。残念なことに、そうなの。人生にはくだらないことがたくさん起きるけど、私たちはそれに対処しなくてはいけない。社会として進歩して、これ以上議論しなくても良いトピックになったら嬉しいんだけどね」と語っていた。
テイラーは英Louder Soundとのインタビューで、「大人になるにつれて分かったのは、ロックンロールにおいてはボーイズ・クラブ(※)というものがあるということ。そこを突き破って、認めてもらって、男性のようにリスペクトしてもらうには苦労する」として、ロックンロールの世界が男性主体の業界だとも語っていた。
※男性中心にまわっていて、女性が入る隙を与えない団体・企業・状況のこと。
今回、テイラーは英The Forty-Fiveのインタビューで音楽を評価する基準についても提言しており、「音楽をジャッジする時には、どの曲がベストで、どのシンガーがベストかということだけで決めるべき。性別やジェンダーと結びつけてはいけない」と断言している。「良い人は良い人だし、良いミュージシャンは良いミュージシャン。それくらい基本的なこと」とテイラーは続けて語り、音楽を評価する際には、音楽そのもので評価されるべきだと強調した。
ロックミュージックにおいて女性であるが故の苦労
ロックのシーンにおける女性差別の問題は長らくあるもので、テイラーが憧れているバンドの1組で、2020年にテイラーがゲストとして参加したシングル「Use My Voice」をリリースしたエヴァネッセンスのフロントウーマンであるエイミー・リーは2017年、米Billboardとのインタビューで過去に経験してきた女性蔑視の経験について、「私は多くの闘いをくぐり抜けてきた。その多くで勝利を収めてきたと思う」とした上で、次のように振り返った。
「『君は子供だからね。他のみんなの方がわかっている』と言われた時、バカな若者と思われて言われているのか、女性だから言われているのか、区別が難しかった時もあった。経験を重ねるにつれて学んだのは、そうやって言われていたのは多くの場合において、私が女性だったからということ。人々は自然と私たちのことを、端に避けて男性たちに“本当の”仕事をさせるような、ソフトな方の性別だって見なしてくるの。それを目の当たりにして、状況を読んで、『いいえ。そんなことはさせない。私は自分が正しいとわかっているし、これは私の芸術。あなたたちには変えさせない』って言わなくてはいけないことが何度もあった」。(フロントロウ編集部)