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『スター・ウォーズ』シリーズ初のドラマシリーズ『マンダロリアン』でキャラ・デューンを演じていた俳優のジーナ・カラーノがSNSでの不適切な投稿がきっかけでシリーズから事実上の解雇。スピンオフ作品の計画が白紙になるほど根深い、騒動のいきさつを解説。(フロントロウ編集部)

『マンダロリアン』ジーナ・カラーノが不適切投稿を理由に解雇

 映画『スター・ウォーズ』シリーズ初の実写ドラマとして、ディズニーの公式動画配信サービス、ディズニープラス(Disney+)で、現在シーズン2までが配信されている『マンダロリアン』

 同作でメインキャラクターの1人であるキャラ・デューンを演じていた元格闘家で俳優のジーナ・カラーノがシリーズを離脱することが、同作の制作を手がけるルーカスフィルムから発表された。

画像: 『マンダロリアン』ジーナ・カラーノが不適切投稿を理由に解雇

 ルーカス・フィルムが出した声明には、「ジーナ・カラーノは現在、ルーカスフィルムと雇用関係になく、将来的にも彼女が雇用される予定はありません」と綴られており、実質的にジーナがシリーズから解雇となったことが明らかに。

 さらに、ジーナがその前日に行なった“不適切なSNS投稿”についても触れられており、「彼女のSNS投稿は、文化的・宗教的アイデンティティに基づき人々を中傷するものであり、忌まわしく、許容できるものではありません」と厳しいひと言も添えられていた。

画像: シーズン1のプレミアにて、エグゼクティブ・プロデューサーのジョン・ファヴローを囲む『マンダロリアン』のキャストたち。

シーズン1のプレミアにて、エグゼクティブ・プロデューサーのジョン・ファヴローを囲む『マンダロリアン』のキャストたち。

 ジーナの“不適切な投稿”とは、現在のアメリカの政治情勢をユダヤ人迫害という歴史に重ねた別のユーザーによる投稿をインスタグラムストーリーでシェアしたもの。

 この投稿は、ナチス軍から暴行を受け、血を流しながら逃げ惑う女性の写真に「ユダヤ人はストリートでナチス兵士だけじゃなく、隣人たち、子供たちからでさえも暴行を受けていた。歴史は編集されているから、現代人の多くは、ナチス軍がいとも簡単に何千人ものユダヤ人を迫害したと信じているけれど。政府が、まず隣人たちにユダヤ人であることだけで人々を嫌悪するように仕向けた。政治観が違う人への嫌悪と、これのどこが違うんだ?」という文言が添えられたものだった。


問題投稿は1度だけじゃない 昨年から解雇が検討されていた

 ドナルド・トランプ前大統領率いる共和党の支持者であることを公言しているジーナは、解雇の引き金となった今回のSNS投稿以前にも、何度も不適切とされる発言や投稿が問題視されており、2020年11月の大統領選挙後には、ジョー・バイデン大統領が勝利した裏には不正があったと根拠なく主張する内容のツイートを投稿。

 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を遅らせるためのマスク着用に反対し、揶揄するような投稿を行なったり、トランスジェンダーに対する差別的な投稿を行なったりしていたことから、ジーナの行動に難色を示す『スター・ウォーズ』、『マンダロリアン』のファンや、それ以外の人々からも、彼女を解雇するべきだという声が上がっていた。

 そんななか、ユダヤ人だというだけで600万人以上もの人が虐殺された負の歴史であるホロコーストと自身が置かれている現代アメリカでの状況を比較するという今回の投稿には、ホロコースト被害者に失礼だという批判が続出。

画像: 問題投稿は1度だけじゃない 昨年から解雇が検討されていた

 『マンダロリアン』からの解雇と同時に、マネージメント契約を結んでいたエージェンシーからも契約を打ち切られたというジーナ。

 このニュースを受けて、ある関係者がThe Hollywood Reporterに語ったところによると、ディズニーやルーカスフィルムは、ジーナが11月に行なったある2つのツイートをとくに問題視し、「2カ月以上にわたって、彼女を解雇する理由を探っていた」といい、先日のユダヤ人迫害と比較した投稿が「最後の一撃となった」という。


スピンオフ計画がお蔵入りに

 ルーカスフィルムは、ジーナ演じるファン人気も高いキャラクターであるキャラを主人公に迎えたスピンオフシリーズをディズニープラスで配信することを計画していたという。

 2020年12月に行なわれたディズニーの投資家向け説明会でこのスピンオフについて発表する予定だったが、ジーナの11月のツイートを受け、やむなく計画を白紙としたともThe Hollywood Reporterが伝えている。

 今後、『マンダロリアン』シリーズにおいてキャラ役の代役が立てられるのか否かは現時点では発表されていないが、「スター・ウォーズ」ファンたちの間では、早速、希望の代役候補の名前が挙がっており、とくにドラマ『宇宙空母ギャラクティカ』でナンバー3を演じた俳優のルーシー・ローレスに、ぜひキャラ役を引き継いで欲しいとラブコールが集中している。

画像: ルーシー・ローレス

ルーシー・ローレス


アクション俳優として話題作に出演

 MMAファイターとして名を馳せたジーナは映画『ブラッド & ボーン 真拳闘魂』で俳優デビュー。

 『マンダロリアン』のほかにも、映画『ワイルド・スピード EURO MISSION』のライリー・ヒックス役や映画『デッドプール』のエンジェル・ダスト役など、激しいアクションをこなせる女性の俳優として話題作に出演してきたが、エージェントからも契約を解除された今、彼女のキャリアが今後どうなっていくのかは不明。

画像: 映画『ワイルド・スピード EURO MISSION』より。©UNIVERSAL PICTURES / Cortessa Album/Newscom

映画『ワイルド・スピード EURO MISSION』より。©UNIVERSAL PICTURES / Cortessa Album/Newscom

 ただ、ジーナは、『マンダロリアン』離脱のニュースが世間を駆け巡る直前、「面白くなりそう」と笑顔の絵文字を添えた不敵なメッセージをインスタグラムに投稿しており、何か思惑を秘めているよう。


「#CancelDisneyPlus」がトレンド入り

 ジーナの解雇を不当だと感じる一部の支持者もおり、そういった人々はSNS上で「#CancelDisneyPlus(ディズニープラスをキャンセルせよ)」というハッシュタグを使い、ディズニープラスやルーカスフィルムへの不信感を訴えている。

 しかし、ディズニープラスには、今後楽しみにしている作品がたくさんあるのに、「なぜこのハッシュタグが頻用されているのか?」、「キャンセルされたら困る」といった意味合いや、ジーナを支持する人に対抗するつもりで「#CancelDisneyPlus」を使っている人も多いため、このハッシュタグは記事執筆現在ツイッターでトレンド入りしている。(フロントロウ編集部)

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