辛くも美しい映画『Supernova』
スタンリー・トゥッチとコリン・ファースが、20年寄り添ったパートナー同士を演じた映画『Supernova(スーパーノヴァ)』が、批評家たちから高い評価を得ている。
本作でスタンリーが演じるのは、早発性認知症と診断されたタスカー。コリンが演じるサムとタスカーは、イギリスの湖水地方へ向かって旅をし、そのなかで家族や友人と再会し、お互いへの思いを溢れさせ、最期の時を過ごす…。
絵本『ピーターラビット』の原作者であるベアトリクス・ポターのゆかりの地として有名なケズウィックの美しい映像にも心が揺さぶられるが、ともにアカデミー賞ノミネートの経験がある名優コリンとスタンリーの共演は必見。
スタンリーとコリンの絆
そんなスタンリーとコリンも、役柄と同じくらいの長さで友人関係を築いている。なぜだか気が合うそうで、米Colliderのインタビューでスタンリーは、その関係性についてこう話した。
「彼のことが大好きだね。20年くらい友達だけど。彼は信じられないほど良い人で、素晴らしい友人なんだ。素晴らしい父親でもある。そして、最高な俳優の1人だろう。僕たちは一緒に良い時間を過ごしてる。お互いに飽きないみたいなんだ。なんでか分からないよね。だって僕たちは特別興味深いタイプってわけでもないのに」
ファンからしてみれば、スタンリーもコリンも興味深いタイプに思えるけれど、本人たちの思いは違うよう。しかしそれでも“飽きない”という彼の言葉には、2人の間に深い絆があることが感じられる。
2人の関係は映画にも良い影響を与えた
また、そんな似た物同士だからこそ、一緒に仕事をするうえで良い変化も作っていけたという。じつは当初、スタンリーが演じるのはサムで、コリンが演じるのはタスカーという、最終決定とは逆の予定で企画が進んでいたという。しかし、スタンリーもコリンも違和感を覚えていたそう。
「脚本を読んで、『何かが違う。僕たちは(役柄を)交換するとどうなるのかな』と考えていた。そしてある日、コリンが僕に、『僕たちは役を交換すべきじゃないかな』と言ってきた。だから、『そうだね。同じことを考えていたよ』と言ったよ」
そしてその後、2人は役を変えていくつかのシーンの読み合わせをしてみたところ、「それこそがそうあるべき感じだった」ことは明らかだったという。
ある1組のカップルの成熟したラブストーリーを描いた映画『Supernova』は、アメリカではデジタル配信中。日本での公開は未定。(フロントロウ編集部)