ギャング映画『デスペラード』で名を挙げたサルマ・ハエック
サルマ・ハエックは映画『フリーダ』や『フロム・ダスク・ティル・ドーン』などの作品で知られる俳優。メキシコ出身の彼女は、同じラテン系の血を引くロバート・ロドリゲス監督の作品に数多く出演しており、1995年に出演した同監督映画『デスペラード』のヒロインを演じたことで一気にスターダムへ駆け上った。
『デスペラード』は1992年に公開された映画『エル・マリアッチ』の続編で、アントニオ・バンデラス演じる主人公のエル・マリアッチが、元恋人を殺害したギャングに復讐する物語。サルマは本作でカロリーナという書店主を演じた。
そんな彼女は、最近出演したポッドキャスト『Armchair Expert』で、『デスペラード』のセックスシーンを撮影した時の苦労を明かした。
サルマ・ハエック、『デスペラード』のセックスシーンに苦労
前述の通り、『デスペラード』はサルマにとってブレイクのきっかけになった作品で、メキシコからやってきた彼女にとって初めてのハリウッド大作出演だった。
脚本には当初、セックスシーンは入っていなかった。ところがサルマとアントニオの息ぴったりの演技を見た映画スタジオは、2人のセックスシーンを追加。それを聞いたサルマは、アントニオといくら仲が良くても、セックスシーンに対して不安を覚えている自分がいることに気づいたそう。
サルマは「ロバート・ロドリゲス監督の奥さん(プロデューサーのエリザベス・アベラン)は、当時、私の親友で、ロバートはありがたいことに、映画のセットでは何でもできる人だった…。彼は音響もできるし、カメラの操作もできるし、私の弟のような存在。だから(セックスシーンの撮影では)彼らはセットを閉じ、ロバート、エリザベス、アントニオ、そして私だけになった」と語った。
サルマは、この対応は良かったと認めているけれど、セックスシーンが初めてだったため、撮影が始まると、彼女は思わず泣いてしまい、「できるかわからない」「怖い」と繰り返していたそう。
そして彼女は、自分を怖がらせたものの一部として、アントニオの自由な精神を挙げた。サルマは「彼は絶対的に紳士でとても素敵な人で、私たちは今でもとても仲良し。でも彼は非常に自由な人。彼にとってそれ(セックスシーン)が何ともないようだったことが私には怖かった。私はあんな状況でそう振る舞える人に直面したことがなかったから。私が泣き出すと彼は『なんてこった。自分が悪いことをしているみたいな気分だ』と言った。泣いていたことがすごく恥ずかしかった」と明かした。
さらに彼女は、「彼らは素晴らしかったけど、私はタオルを手放さなかった 」と述べた。ロドリゲス監督、アントニオ、エリザベスは、彼女にタオルを脱がせるために笑わせようとしたけれど、脱がせるとすぐにまた泣き出してしまったそう。
そしてサルマは、ロドリゲス監督もアントニオも、泣いてしまったサルマに対しプレッシャーをかけたことはないとも明かし、その問題に対処するため、セックスシーンはできるだけ短く終わらせたという。とはいえサルマは、今でもそのシーンを見ながら楽しむことはできないと認めている。
サルマのように映画出演におけるトラウマを告白する俳優は増加しており、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のエミリア・クラークや、映画『レオン』のナタリー・ポートマンなどをはじめ、数々の俳優が、環境の改善を促すために、過去の辛かった経験を勇気を持って発信している。
そのかいもあってか、近年ハリウッドでは俳優のベッドシーンやヌードシーンに対し、苦痛を軽減するような取り組みが徐々に行なわれつつある。
たとえば、それらのシーン撮影を行なう俳優たちをサポートする専門家であるインティマシー・コーディネーターが雇われるようになったり、監督自らが俳優の負担を減らす取り組みをしたりといったように。
今後このような対策が十分に講じられ、俳優たちに辛い経験が繰り返させないような環境づくりをすることが求められている。(フロントロウ編集部)