永遠の名作『ターミネーター』シリーズ
『ターミネーター』は、未来で繰り広げられる人類とアンドロイドとの死闘を描き出したSF映画。1984年に第1作目が公開され、2019年までには6作品が公開されている。
本作でアーノルド・シュワルツェネッガーは、“T-800”と呼ばれるターミネーターを演じ、爆発的な人気を呼んだ。アーノルドは長年にわたってシリーズのほとんどの作品でT-800を演じている。
ところがそんなアーノルドだけれど、1作目が公開される前はT-800ではない役をやりたかったそう。
アーノルド・シュワルツェネッガーが『ターミネーター』でやりたかった役
実は、アーノルドが最初にやりたかったのは、物語の鍵を握るジョン・コナーの母親となるサラ・コナーを守るために2029年から1984年にやってきた戦士、カイル・リース。
アーノルドは2015年、米『The Howard Stern Show』に出演した際、「まったくの偶然だった。だって私はターミネーター役のオーディションに参加すらしていないのだから」と告白。「私はカイル・リースになろうとしていたが、監督のジェームズ・キャメロンと会ったランチの間、ずっとターミネーターの話をしていたんだ」と言った。なんとアーノルドは、カイルを演じるつもりでキャメロン監督に会いにきたというのに、気づくとターミネーターの演技についてばかり話してしまっていたという。
実はその時、すでにターミネーターのキャストは元アメフト選手のO・J・シンプソンに決定しており、アーノルドもそれを承知していた。ところがアーノルドはキャメロン監督とのランチで、「誰が演じようとはっきりさせておきたいのが、彼(ターミネーターを演じる者)は目隠しをしたまま武器を分解して武器を組み立て、銃を撃ち、装填する訓練をしなければならないということ。ターミネーターは何をしていようが、自分の手を見下ろすことができないから、要は完全に目隠しされている状態だ。彼は機械だから」と前のめりで力説。
さらに、ターミネーターの演技についてかなりのアイデアを持っていたアーノルドは、ターミネーターの歩き方や話し方、機能などについてさらに熱弁。まるでカイル・リースを演じにきたとは思えない様子で1時間は語っていたという。
ジェームズ・キャメロン監督、折れる
アーノルドの話をたっぷり聞いたキャメロン監督は、ランチの後「ターミネーター役をやってみないか」と聞いてきたそう。続けて、「つまり、きみはターミネーターというキャラクターをとてもよく理解しているんだ。それこそが私たちの求めているものだよ」と、役をアーノルドに変える意思を伝えた。
しかしカイルを演じるつもりだったアーノルドは焦ってしまったようで、「いや、いやいや、ジム(キャメロン監督の愛称)」と大慌て。そして「こいつ(ターミネーター)が言うセリフの量を数えたら27だった。…僕は後退しないよ…他の人に譲ってもいい…俺はたくさん話したいし、演技もしたいし、主役になりたいんだ…」と本音をポロリ。
つまりアーノルドがT-800を演じたくなかった理由は、ただセリフの量が少なかったからというだけ。そんな葛藤があったものの、結局アーノルドはターミネーター役を選び、最終的にはシリーズを通して出演するような名キャラとなった。(フロントロウ編集部)