テイラー・スウィフトに関するドラマの「性差別的ジョーク」が炎上
Netflixで2月24日から配信が開始したオリジナルシリーズ『ジニー&ジョージア』は、30歳のシングルマザー、ジョージアが娘のジニー、息子オースティンとともに、数年間の逃亡生活を経てたどり着いたニューイングランドで人生の再建をめざすコメディドラマ。
若くして母になったジョージアと15歳という多感な年頃の娘ジニーの母娘の絆、友情、恋愛、そして家族の再起を一筋縄ではいかないものとするジョージアの過去の秘密が紐解かれていく物語の本作は、2007年代に大ヒットしたドラマ『ギルモア・ガールズ』を彷彿とさせる設定も話題となり、海外ではたくさんの視聴者たちが一気見した。
しかし、本作のあるエピソードに登場するジョークが、シンガーのテイラー・スウィフトのファンたちの逆鱗に触れることに。
それは、10代後半から20代前半にかけて数々の男性とのロマンスが報じられたテイラーの恋愛遍歴を揶揄するこんなジョーク。
「何を心配してるの? あなたはテイラー・スウィフトよりも早く男をとっかえひっかえしてるじゃない」。
性差別的な物言いに苦言を呈してきたテイラー
テイラーは、これまで何度も、自身が“恋多き女性”というレッテルを貼られ、「恋愛してはそれをネタに曲を書いている」、「今のキャリアがあるのは男性たちとの失恋を曲にしてきたから」などと世間から陰口をたたかれた経験に関して苦痛だったと吐露してきた。
2014年に豪シドニーのラジオ局『2DayFM』の番組に出演した際、世間で「ボーイフレンドに関する曲ばかり書いている」と言われていることに関してどう思うかと尋ねられると、「正直言って、それってすごく性差別的な考え方だと思う。(男性シンガーの)エド・シーランやブルーノ・マーズだって、過去の恋人にまつわる曲を書いてるけど、彼らに対してそんな事を言う人は誰もいない」と男女間のダブルスタンダード(二重基準)を指摘。
2016年に応じた米Vogueの動画インタビュー『73の質問』では、「もし19歳の頃の自分と話せるなら、『あなたは普通の20代に許されているのと同じように、いろんな人とデートすることになる。でも、全米におけるスラット・シェイミング(※)の矢面に立たされることになるからね』と教えてあげたい」と自虐的に発言して、世間に根強く残る女性蔑視的な考え方を遠回しに批判した。
※女性が露出の高い服を着たり、性的な行動をすること、恋愛経験が豊富なことなどに対して「スラット(尻軽)」と批判すること
『ジニー&ジョージア』の制作・配信元でもあるNetflixで配信された自身のドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』でも、男性優位・女性蔑視が根底にある音楽界や社会の在り方に疑問を呈したことで知られるテイラー。そんな彼女のメッセージを完全に無視した『ジーナ&ジョージア』のジョークには、ファンたちがカンカンになり、SNS上で抗議のコメントが殺到した。
テイラーがシリーズ&配信元のNetflixを一喝
Netflixで配信された作品で、テイラーに関する性差別的なジョークが含まれていることが問題視されているのは『ジニー&ジョージア』だけではない。
カナダ発の人気ティーンドラマ、『デグラッシ』の続編として2017年に配信が開始した『デグラッシ:ネクスト・クラス』にも、「テイラー・スウィフトは元カレたちを踏み台にしてキャリアを構築した」というセリフが登場する。
ファンたちが怒りを爆発させるなか、静観するかと思われていたテイラー本人もツイッターを通じて悪趣味すぎるジョークに反応した。
Hey Ginny & Georgia, 2010 called and it wants its lazy, deeply sexist joke back. How about we stop degrading hard working women by defining this horse shit as FuNnY. Also, @netflix after Miss Americana this outfit doesn’t look cute on you � Happy Women’s History Month I guess pic.twitter.com/2X0jEOXIWp
— Taylor Swift (@taylorswift13) March 1, 2021
「ねえ、『ジニー&ジョージア』。2010年が、あの性差別的でつまらないジョークを返却して欲しいって言ってるよ。ナンセンスなジョークをさも面白いと定義づけることで、一生懸命頑張っている女性たちの評判を傷つけるのはやめたら? それから、Netflixさん。『ミス・アメリカーナ』を配信しておきながら、こんなの全然似合ってないよ。ハッピー、女性史月間!」
皮肉たっぷりかつ、ごもっともな言い分で『ジニー&ジョージア』とNetflixに苦言を呈したテイラー。女性蔑視なジョークなど、もう完全に時代遅れだと強調し、そんなセリフを含む脚本を“良し”としたNetflixにも落胆したと一喝した。
普段なら、こういった問題は熱心なファンたちに“任せておく”傾向が強いテイラーだけど、毅然とした態度で発言した背景には、彼女の発言の最後にも含まれている通り、3月が女性史月間であるという点も影響しているよう。
テイラーからの名指しの公開説教に『ジーナ&ジョージア』の公式およびNetflixは現時点では応答していないが、どんな対応をするのだろうか。(フロントロウ編集部)