エリオット・ペイジ、カミングアウトは「無理」だと思っていた過去
Netflixで配信中のオリジナルシリーズ『アンブレラ・アカデミー』でNo.7ことヴァーニャを演じる俳優のエリオット・ペイジは、2020年12月、インスタグラムに投稿した声明を通じてトランスジェンダー男性であることをカミングアウト。
それまで使用していたエレン・ペイジから改名し、今後は「エリオット・ペイジ」として活動していくことを報告した。
映画『JUNO/ジュノ』でアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたエリオットは、『X-MEN』シリーズや2009年公開のドリュー・バリモア監督作『ローラーガールズ・ダイアリー』、レオナルド・ディカプリオらと共演した2010年の映画『インセプション』のほか数々の作品で、映画ファンたちの記憶に残る名演を披露してきた実力派。
トランスジェンダー公表後、初めて応じた米TIME誌とのインタビューで、自身のアイデンティティを受け入れていくなかでの葛藤や公表に至るまでの道のりを語ったエリオットは、上記の作品に出演していた当時は、自分が築いてきたキャリアを壊すことになりかねないため、性自認や性的指向についてカミングアウトすることは、「絶対に無理」だと思っていたと振り返った。
仕事のオファーが続々と舞い込む
“女性らしい”役を演じることには違和感や居心地の悪さを抱きながらも、演技の仕事そのものは幼い頃から大好きだったというエリオット。
キャリアを失いたくないばかりに、世間には本当の自分を見せずに来たけれど、いざカミングアウトしてみると、思いもよらなかった嬉しい変化が待っていた。
インスタグラムでの公表の直後から、エリオットのエージェントのもとには、出演オファーの連絡が続々と届いているという。
もともと、ハリウッドにおける“女性はこうあるべき”という狭き型にははまらなかったため、近年では、女性主人公の役を得るのに苦戦していたというエリオット。しかし、トランスジェンダー公表後には、演技だけでなく、プロデュースや監督を担当してみないかというオファーも舞い込んでいる。
それらの多くがトランスジェンダーに関する作品だが、これまでにはなかった男性役のオファーも含まれているという。
エリオットは今、『アンブレラ・アカデミー』のシーズン3を撮影中。同作のショーランナーであるスティーブ・ブラックマンは、カミングアウト後のエリオットの現場での様子について「肩に乗っていた重荷が下りたように見える。ほっとしているように見えるよ。雰囲気が軽くなったし、前より笑顔が増えたね」とTIMEに語っている。
カミングアウトに先立ち、「トップ・サージェリー」と呼ばれる胸を平らにするための乳房切除術を受けた事も明かしているエリオット。「この身体で、完全に“自分”になれた今、演技をするのが本当に楽しみ。試練や困難もたくさんあるけど、今この瞬間自分が感じていることに勝るものはない」と、これからの役者人生に胸を膨らませている。(フロントロウ編集部)