スペインのインディーバンドがソーシャルディスタンスのないライブを開催
昨年に発生し、今も猛威を振るい続けている新型コロナウイルス。世界各地を襲ったこのパンデミックは、人々の日常生活に大きな変化をもたらし、とりわけエンターテインメント業界は大きくその経済活動が制限されることとなった。特に影響を受けたコンテンツの1つが音楽ライブで、コロナ禍の今、ソーシャルディスタンスを取ることが前提となり、収容できる人数も減少するなど、大幅な変化を余儀なくされている。
そうしたなか、スペインのインディーバンドであるラヴ・オブ・レズビアンが現地時間3月27日、スペインの保健当局による特別な許可を得た上で、ある実験的なライブを行なった。
パラウ・サン・ジョルディ・アリーナで行なわれたこの日のライブは、スペインの保健当局が、迅速な抗体検査が感染拡大の防止にどれだけ効果があるかを調査するために行なったライブとなっており、ライブの当日、開演に先駆けて3箇所で新型コロナウイルスの抗体検査を実施。新型コロナウイルスの陰性が出た人にのみ入場の許可が降り、最終的に5,000人以上の観客がライブ会場に入場した。
観客はソーシャルディスタンスを取る必要はなかったものの、条件として、マスクを着用した上でライブを鑑賞。英BBCは、1年以上前に新型コロナウイルスによるパンデミックが発生して以来、ヨーロッパにおいて最も観客を集めて行なわれたライブイベントの1つになったと報じている。
あくまでも、検査の時点での“陰性”ということではあるものの、ジョゼップ・マリア・リブレ医師はAFP通信に対し、「完全に安全だと考えています」と、直前の検査結果による安全性を確信していると述べた上で、「今後14日間にCovid-19の陽性反応が出たオーディエンスの数を調べ、改めて報告します」とコメントした。
とはいえ、バンドにとって久しぶりに大勢の観客を集めてライブを開催できたことの喜びはひとしおだったようで、フロントマンを務めるサンティ・バルメスは観客に向けて、「すごく興奮しているよ。ステージに立つのは18ヶ月ぶりのことで、メンバーの1人は涙を流してる」と語ったという。
スペインは、ヨーロッパで最も多くの新型コロナウイルス感染者が発生した国の一つで、現地時間3月30日までに累計で327万825例の感染が報告されているほか、直近の3月30日に発表された1日の感染者数は1,564例となっている。(フロントロウ編集部)