リドリー・スコット監督による『エイリアン』のチェストバスターのシーンで、撮影現場は「臭かった」! その理由がなかなか…。(フロントロウ編集部)

『エイリアン』、チェストバスター誕生

 1979年に公開されたSF映画の金字塔、映画『エイリアン』は、リドリー・スコット監督やシガニー・ウィーバーの出世作となり、今でも根強いファンを誇る。『エイリアン』シリーズはこれまでに6作品が制作され、2012年の『プロメテウス』と2017年の『エイリアン: コヴェナント』では、スコット監督が約30年ぶりにシリーズに復活したことも記憶に新しい。

 そんな『エイリアン』では、作品自体も映画史に残るものだけれど、そのなかでも特に有名なシーンがある。それはもちろん、ジョン・ハートが演じたケインの胸を食いちぎってチェストバスターが体外に出てきたシーン!

画像: ⓒ20TH CENTURY FOX

ⓒ20TH CENTURY FOX

『エイリアン』現場は臭かった…

 チェストバスターのシーンといえば、俳優たちがあの展開を知らされておらず、叫び、驚き、慌てふためくクルーたちの演技はリアルなものだという逸話は有名。また、スコット監督は米GamesRadarのインタビューで、部屋を白くし、その中で血をまき散らしたのはデザイン的視点からだったと語っている。

 そんな名シーンだけれど、観客には伝わってこない撮影現場での苦労があったよう。それは、“匂い”。監督はキャストや制作陣とともに参加した英The Guardianのインタビューで、こんな舞台裏エピソードを明かしている。

 「あの頃の小道具はあまり良くなかった。そして私は、肉屋と魚屋から物をもらってくるのがベストだと分かったんだ。(撮影の日の)朝、(エイリアンの)フェイスハガーを調べていて、それは貝や牡蠣、シーフードだった。それは臭くなるのが早かったから、早く撮影しなければならなかった。あれより良い物はないんだ。あれはオーガニックだからね」

画像: 撮影現場でのシガニー・ウィーバーとリドリー・スコット監督。

撮影現場でのシガニー・ウィーバーとリドリー・スコット監督。

 映像を見てみると、なんとなくドロっとした質感であることが分かる“血”。そこにはなんと、血のり以外に魚介類が使われていた。しかし脚本家の故ダン・オバノンは、当時、インタビューでさらに衝撃的な事実を明かしている…。

 「あの生物(チェストバスター)が準備できたら、肉屋からもらってきた内臓を(ジョンの)胸の穴いっぱいに詰めた。そして血のりをまくためにいくつかのホースを使った。この間、リドリーは動き回って、細かい部分を見ていた。彼が最低でも30分は牛の内臓を調整し、あの生物の口に引っかかるようにしていたことを覚えてるよ」

 なんと、あのシーンで使ったのは牛の内臓! シーフードに加え、牛の内臓が使われたとなれば、その匂いは強烈だろう。どの程度使用したのか、どのような安全対策がなされたのかは不明だけれど、それだけ聞くと、安全面でも不安がよぎる。

 キャストたちが動揺する演技は、突然チェストバスターが仲間の胸から出てきてことだけでなく、その匂いや材料にもあったのかもしれない…。(フロントロウ編集部)

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