4月23日に劇場公開される映画『スプリー』で、SNSの闇にハマったサイコな主人公を演じるジョー・キーリーにフロントロウ編集部がインタビュー。SNSとの付き合い方、映画の思い出のシーン、ドレイクやBABYMETAL、ガールフレンドとのお忍び来日、『ストレンジャー・シングス』の新シーズンなど、さまざまな話題についてトークしてくれた。

映画『スプリー(原題:Spree)』
ライドシェアドライバーのカート・カンクルは、SNSをバズらせて人生の一発逆転を狙うために、乗客を手にかけ、その様子をライブストリーミング配信するという恐ろしいアイデアを思いつく。フォロワー至上主義から生まれた新たなるスリラー作は、33スクリーンの小規模公開ながら全米興行収入ランキング9位に食い込む脅威のハイアベレージを獲得!
監督:ユージーン・コトリャレンコ/キャスト:ジョー・キーリー、サシーア・ザメイタ、デヴィッド・アークエット、カイル・ムーニー、ミーシャ・バートンほか

画像: フロントロウとのリモート取材に参加してくれたジョー・キーリー。

フロントロウとのリモート取材に参加してくれたジョー・キーリー。

役作りのリサーチをしている過程で、どのようなコンテンツに最も影響を受けましたか?

最も参考にしたのは、フォロワーを増やすことを夢見ている、フォロワーが一桁台のような無名のインフルエンサーたちだった。カート自身がそういうキャラクターだからね。YouTube、そしてTwitchやインスタグラムも参考になったよ。カートは動画から始まってライブ配信に進んでいくっていう展開だから、基本はYouTubeだったけどね。

画像1: © 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

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この映画はサイコすぎる内容ながら、見ていると“もしかして事実に基づいているのか?”と思ってしまうような社会の怖さを反映していますよね。

実は僕もそんな視点から見ていたんだ。脚本を読んだとき、なんて今の時代にタイムリーなんだと思ったよ。とくにアメリカは、銃など暴力の問題を抱えている。この映画の風刺的な描き方がうまくいっている理由は、そういったテーマを美化するのではなくストレートに笑いのネタにしているからだと思う。映画では冒頭で観客に「このカートってのはどんなヤツだ?」って興味を持ってもらうことが重要だった。そして彼に好意を抱くのだけれど、映画が進むうちに彼の行動には嫌悪感を持つ。ユージーン(・コトリャレンコ監督)は、高いところから始まって落ちていくっていう描き方を非常にうまくやったと思う。

映画ではサイコなカートを最後まで陽気に演じ切っていて、それが彼の怖さを増長しています。あり得ないほど暴力的でクレイジーなシーンであの陽気さを保つのに苦労しましたか?

カートは、車のヘッドライトに照らされて動きが止まった鹿のように死んだ目をして笑うヤツだよね。僕としては逆にそれ(陽気さ)があったおかげで演じやすかった部分がある。と言うのも彼は、本気で自分のライブ配信を通してフォロワーを助けてると思っているんだ。結果的にはそれでフォロワーを増やして自分が得をしようとしているんだけどね。善行をしていると自分自身に暗示をかけている。だから“クレイジーなヤツ”っていうより、“人助けをしようとしているヤツ”という設定で演じることが逆にやりやすさを生み出した。

画像2: © 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

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SNSはさまざまな業種にプラスとマイナスを生み出していますが、俳優として感じるプラスとマイナス点は何でしょう?

マイナス点は、役者から謎めいた部分を奪っているところ。役者にとってそれは重要なことだと思うんだ。作品を見ている時に、作品の外での自分たちの言動を思い出して欲しくないからね。映画を見てもらう時は、その役自身なんだと信じてもらいたい。だからその部分では有害だと思う。あと、みんなが大量のコンテンツをすごいスピードで消費しているせいで、アーティスト側はどんどんコンテンツを制作しなければいけなくなっている。プラス点は、SNSがなければ繋がれなかった人たちと繋がれること。これは役者に限ったことというより、僕が個人的に感じることだけどね。

この映画に出演したことで、SNSとの付き合い方は変わりましたか?

付き合い方を再検討したね。きっとこの映画を見た人はみんながそうすると思う。僕としては、知らないうちに、自分が思っている以上に依存が起きていることに気づいた。だから少しだけ距離を置いたよ。個人的にはそのおかげで良い感じだよ。SNSは良いものではあるんだけど、同時に、過飽和状態になりやすいという側面がある。みんなが大量の情報やコンテンツをインプットするなかで、同じような影響を持つコンテンツにずっと浸かっている状態になりやすい。だから僕としては、自分の時間を他でも使うように心がけているよ。

インスタグラムに存在するカートのアカウント(@kurtsworld96)の制作にはどれだけ関わったのですか?未だに投稿も続いていますが...

あれは(監督の)ユージーンが運営している。彼と一緒に事前に大量のコンテンツを制作して、撮影の前にも色々作ったね。映画を知ってもらう方法として面白い手法だと思ったんだ。みんなあのアカウントを見て、「あれ?あの役者の人だよね?ん?それとも似ている別人?」って困惑する。この映画にぴったりのやり方だと思ったよ。きっとユージーンは一生投稿を続けるんじゃないかな(笑)。

画像: インスタグラムに実在するカート・カンクルのアカウント。©︎kurtsworld96/Instagra

インスタグラムに実在するカート・カンクルのアカウント。©︎kurtsworld96/Instagra

本作はラッパーのドレイクがプロデューサーを務めていますよね?

クールだよね、ドレイクは最高だよ。彼のクルーも素晴らしかった。ユージーンを100%信頼して、彼のビジョンを応援してくれた。そして必要なことがあればいつもサポートしてくれた。ドレイク自身に会ったのは1回か2回。ドレイクは忙しい人だからね!

映画ではカートの餌食になる乗客として、俳優のミーシャ・バートンや、アリアナ・グランデの兄であるフランキー・グランデなど色々な方が登場しますが、彼らとの撮影はいかがでしたか?

彼らが出演したあの犬のシーンの撮影はヤバかった! オーマイゴッド、あれはすごい夜だったよ。映画からはカットされてしまったけど、フランキーは犬にやられた酷い傷のメイクをしていて。予算の大きい作品ではなくて20日とかで撮ったから、ハイピッチでの撮影だった。すごく楽しかったよ。

画像: 俳優のデヴィッド・アークエットもカートの狂気に振り回される役で登場する。© 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

俳優のデヴィッド・アークエットもカートの狂気に振り回される役で登場する。© 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

映画ではほとんどのシーンがカートの車の中で起きますが、一方で、あまりにも多くのことが起きていて、ずっと同じところにいるという閉塞感はありませんでした。車内での撮影は難しかったですか?

一度カメラを設定し終えたらすべてのテイクをそこで出来た点はやりやすかったよ。ただ、GoProはあのような形での撮影のために作られていないからすぐバッテリーがなくなってしまって大変だった。8台のカメラが同時にまわっていたんだけど、スマホの位置から車の運転まで、様々な動作を決められたタイミングで行なう必要があって、すごく変なレベルでのマルチタスキングという感じだった。そういった技術的な面を気にしながらやりたいことをやるのが難しい時もあったね。ただ、夢中になれるという意味ではとても自由に演じられる空間だったよ。

画像3: © 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

© 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

ご自身の発案で方向性が決まったシーンなどはありますか?

特定のシーンはないけど、その場で思いついたアドリブはけっこうあったかな。わざと言葉をつっかえたり、間違った言葉を使ったりっていうのは意識的にやっていたね。

日本について聞かせてください。SNSを覗いたところ、2017年に日本で撮られた写真がありました。

2017年にマニラで『ストレンジャー・シングス』のプレスの仕事があったんだけど、日本にはずっと行ってみたかったから経由して行ったんだ。Airbnbで宿泊先を探して、東京の色々な地域に滞在したね。あれが初の日本で、今のところあれっきり。また行きたいんだけど、まだそのチャンスが訪れていない。『ストレンジャー・シングス』は日本にキャストを送るときは若いキャストを送るんだ。僕はそれを見て、「クソォ〜〜!」と思ってきた(笑)。

日本には1人で行かれたんですか?

ガールフレンドと2人で行ったよ。あと、日本のフェスでライブがあった友達とも現地で合流した。Whitneyというバンドなんだけど、公演の後にBABYMETALのコンサートに行ってBABYMETALと会ったって。だからそのあと合流したんだ。東京ではとにかく色々歩き回った。すごく暑かったのを覚えているよ。小さなお店も巡って、クールなジャケットもゲットした。東京って世界でも最高レベルの古着屋があるよね。最高だった。お気に入りのコートの一つも東京でゲットしたものなんだ。

画像: ジョー・キーリーはプロのカイトサーファーであり俳優のマイカ・モンローと交際している。

ジョー・キーリーはプロのカイトサーファーであり俳優のマイカ・モンローと交際している。

画像: 取材中に着ていたこちらのTシャツはガールフレンドに借りたものだそう。

取材中に着ていたこちらのTシャツはガールフレンドに借りたものだそう。

BABYMETALにも会われたんですか?

僕は会っていないよ。会っていたら失神してたと思う。

コロナ禍の中で少しずつ色々な撮影が再開していますが、現在、撮影はされていますか?

もうすぐ(『ストレンジャー・シングス』の)現場に戻って撮影を再開するところなんだ(※本取材は2月に実施)。次のシーズンをみんなに届けるためにも、問題なく撮影が進むことを願うよ。(前シーズンから)しばらく経ってるからみんなに見てもらいたくてうずうずしてるんだ。

コロナ禍での撮影は通常より時間がかかりそうですね。

間違いなくスローペースだね。全員が安全に働けることを確認するためにテストとか隔離とかがあるし。(製作側は)それに関しては徹底しているから。あれだけの規模の作品になると、制作面で時間がかかるしね。でもとにかく、2035年くらいにはならずに作品を見てもらえるといいね(笑)。

 ジョー・キーリー主演の映画『スプリー』は2021年4月23日(金)に劇場公開。(フロントロウ編集部)

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