『ワイルド・スピード9』でハンが復活
ワイスピシリーズ9作目となる『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』の日本公開が2021年8月6日となり、先日、新予告編も公開。テズとローマンが“宇宙進出”する様子や、日本が舞台のシーン、ミセス・ショウが念願のハンドルを握る姿など、内容が盛りだくさんの4分間となっている。
そして本作では、『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』で命を落としたと思われていたハンが復活することが、公開前から長らくファンを興奮させている。ハンに関しては、劇中で彼を殺した実行犯の1人だったデッカード・ショウを主人公としたスピンオフ作品『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』が制作されたことなどから、ファンから「Justice for Han(ハンに正義を)」という声があがっていた。
その流れを受けて実現したハンの復活について、ジャスティン・リン監督が思いを語った。
ジャスティン・リン監督、アジア系アメリカ人として…
監督もまた、6作目を最後にシリーズから離れていたけれど、リン監督はハンを演じるサン・カンと、2002年の映画『Better Luck Tomorrow(原題)』からの付き合いであり、アジア系アメリカ人としてハリウッドで苦楽を共にしてきた。
そんな背景もあり、ハンの復活は、その過程も含めて監督にとってとても意味のあることだという。監督は米EWのインタビューで、まず、『ワイルド・スピード』シリーズが始まったばかりの頃を振り返り、アジア系アメリカ人の描かれ方について指摘する。
「1作目が大好きだった。映画館で見て、観客と作品やそのキャラクターの間に生まれた絆やエネルギーを感じることができた。しかし同時に、車を改造するシーンは非常に多様であることも知っていた。アジア系アメリカ人が多くいたけれど、でも映画では、“彼らはただの悪者で、仏の像の近くでたむろしてる”って感じだっただろう。その数年後に僕が(シリーズに)参加することが出来て、その点を改善することができたという事実は、僕にとってとても意味のあること。そしてシリーズ作品として僕達が成長し続けていることも、とても意味があることだ」
ハンの復活はファンの声がなければ実現しなかった
『ワイルド・スピード』の第1作目が公開されたのは、もう20年も前の2001年のこと。社会は日々改善されていくものであり、どんな作品であっても20年も前に作られたものであれば、ほとんどの場合に問題はある。
しかし3作目から6作目までを自分が手掛け、シリーズとして成長してくることができたと語るリン監督。そして彼は、ハンの復活は、ファンの声がなければ起こらなかったことだと明かした。
「正直に言って、もし何も起こっていなかったら、ハンは帰ってこなかった。だから一旦シリーズを去り、そしてハンと戻ってきた。そしてハンと去っていく。だからもし“Justice for Han”がないままに僕が復帰していたら、多分僕はハンを戻らせなかった。すべてのことは意味があって起こったと感じているよ。なにかをジャッジするつもりはないけれど、(作品を)正しい雰囲気にすることが出来て嬉しい。1月にも言ったんだけど、“Justice for Han”はただ映画に関してだけでなく、僕達が進んでいくうえでこのキャラクターをどう扱うかというのが、“Justice for Han”だろうと思う」
ハンをただ復活させるのではなく、どう描くか。それこそがハンのための正義だと話すリン監督の姿勢には、公開を待つ『ジェットブレイク』、そして10作目と11作目にも期待が高まる。
監督はファンの声がハンの復帰を後押ししたと語るけれど、それは一方で、作品の進化がファンの成長にも繋がり、アジア系俳優が評価されるようになった結果起こったことであるとも言えるのではないだろうか。ハン役のサンは、JusticeForHanの声について、こんな感謝の言葉を述べていた。
「『#JusticeForHan』の件では、『私が俳優として行なった仕事を評価してくれる人たちが実際にいるんだ』と思いました。アジア系アメリカ人としてのハリウッドでの苦闘の中で、最も暗い時期に、『ワオ、私があのキャラクターでやったことを評価してくれる人が世界中にいるんだ』と思わされたのです」
ハンが復活する『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』は、8月6日に公開予定。(フロントロウ編集部)