黒人学生のための奨学金を設立したトラヴィス・スコット
今年7月に米マイアミで開催される世界最大級のヒップホップの祭典「ローリング・ラウド」フェスティバルでヘッドライナーを務めることが決定しているなど、ヒップホップシーンにトップアーティストの1人として君臨するかたわら、マクドナルドとのコラボで大成功を収めるなど、ビジネスマンとしても確かな手腕を持つトラヴィス・スコットは、その資金で積極的にチャリティ活動を行なっていることでも知られている。
そんなトラヴィスは昨年10月、黒人のために設立された歴史的黒人大学(HBCU)にあたる大学に通う5人の学生のために、最初の学期に必要な学費を提供することを発表。その翌月には、Cactus Jack Foundation(カクタス・ジャック基金)を設立し、基金を通じた新たな奨学金のプログラムを発表した。
THAT ATTENDS AN HBCU https://t.co/5eQ6YXQMc5
— TRAVIS SCOTT (@trvisXX) October 7, 2020
そうした取り組みが評価され、トラヴィスは先週、今年から新設されたレッド・カーペット・アドボカシー(RAD)によるRADインパクト賞を受賞。これにより、トラヴィスによるカクタス・ジャック基金は、RADと提携を結んでいるアマゾン社とパートナーシップを結ぶことになり、今後さらに、HBCUに通う学生のための奨学金制度を充実させることができるという。
コロナ禍で経済的に困窮している家庭を助けたいとトラヴィス
今回、トラヴィスはRADインパクト賞の受賞を受けてAP通信のインタビューに応じており、そのなかで、奨学金を設立することを決めた理由について語っている。
HBCUの1校であるプレイリービューA&M大学の大学院で学部長を務めていた今は亡き祖父を持つなど、教育一家に生まれたトラヴィスにとって、教育は常に身近にあったものだそうで、「インスピレーションや知識を共有することが大切だと思ったんだ。それが目的の1つだよ」と、奨学金設立の目的を明かした上で、次のように続けた。
「父方の祖父はかつて、プレイリービューA&M大学院で学部長を務めていたんだ。祖母はプレイリービューA&M大学で教えていて、父やおじたちもプレイリービューに通っていた。僕も入学するはずだったんだけど、別の大学(テキサス大学サンアントニオ校)へ入学したんだ。教育への意識は、祖父母や両親を通じていつだって僕の中にあったものなんだよ」。
大学は中退したトラヴィスだけれど、自分の力を使って亡くなった祖父の教育への情熱を他の人たちに伝えていきたいと願っているそうで、「何にも妨げられることなく教育を受けられることを望んでいる人」を助けたいと語った。
続けて、「奨学金は、基金の側面の1つでしかないんだ」とした上で、「過去に奨学金を提供した時には、パンデミックが原因で新入生たちはキャンパスに行くことができなかった。キャンパスライフを謳歌することができなかったんだよ」と、昨年、奨学金を提供した学生たちは、新型コロナウイルスによるパンデミックが原因で通学することができなかったと明かしたトラヴィス。
「彼らの両親たちはもしかすると、仕事に行けなくなってしまったかもしれない。僕はただ、助けたいと思ったんだ」と、新型コロナウイルスで財政的に厳しい状況に陥ってしまった家庭を手助けしたいという想いも、奨学金を設立するきっかけになったと力強く語ったトラヴィスは、次のように続けた。「困難さえなければ、多くのことを実現できるという人たちが大勢いるんだ。自分がそこに駆けつけ、彼らから負担を取り除けるのであれば、それは喜ばしいことだよ」。(フロントロウ編集部)