15年でHSMの男性キャラに変化! 「花形」から「フツメン」へ
ドラマ『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』は、映画『ハイスクール・ミュージカル(以下HSM)』から約15年が経ったイースト高校を舞台に、“現代の高校生たちが『HSM』をミュージカルとして再現する”という設定で描かれるミュージカル・コメディ。主人公2人のロマンスや10代の時に経験する悩みを心踊らせる歌と踊りと共に描くという映画版の魅力をしっかりと受け継いでいる本作だけれど、時代に合わせて、主人公の男子生徒に変化が生まれている。
2006年の映画版でザック・エフロンが演じたトロイは、高校の花形プレーヤー。サラサラヘアに端正なルックスで、運動神経抜群なバスケ部のエースであるトロイは、男子からは頼られ、女子からはモテるという、まさに昔ながらの少女マンガから飛び出してきたかのようなイケメンスポーツマン。
一方ドラマ版でトロイ役に抜擢されたリッキーは、映画版だったらトロイのずっと後ろに立って踊っていたような“普通”な男子生徒。スケボーが趣味で、自慢できる特技もない彼は、ガブリエラ役に抜擢された幼馴染のニニを追って演劇部に入るのだけれど、ニニの気持ちが読めずに空回りばかり。自分の悩みでいっぱい一杯になってしまうこともあれば、泣き腫らした目でニニの家にやってくることもある。
テレビドラマ界で変わる“男らしさ”
アメリカのエンタメ界における“理想の男子像”はずっとトロイのような完璧なスポーツマンタイプだったけれど、現代はリッキーのような冴えないところもある“完璧じゃない男子”が主人公を演じることが増えてきている。その理由は、“男らしさ”が時代と共に変わってきているから。
これまでの男性のかっこよさは“泣かない”や“リードする”といったことがあったけれど、自分のメンタルヘルスやアイデンティティを大切にする10~20代のZ世代にとって、それは大人が作ったジェンダー・ロールという負の歴史。今は逆に、繊細さを見せられる男性こそ強い男性とする人が増えている。
実際に、『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』のほか、『13の理由』、『ユーフォリア/EUPHORIA』、『セックス・エデュケーション』など、最近の10~20代に人気のドラマはどれも、昔からある男らしさの逆を行くキャラクターやそれに疑問を投げかけるキャラクターたちがメインキャストを務める。
『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』のリッキーも、悲しいことがあったら好きな女の子の前であっても目に涙をためて、怒ってしまったら感情をぶつけてしまうこともある、自分の気持ちにフタをしないで正直に生きる、まさに“現代の男らしさ”を持ったキャラクター。
そしてそれは裏を返せば、リッキーの口から出る言葉は本当の気持ちで、変に計算などをできるタイプではないということ。リッキーの行動にイライラしてしまう時もあるかもしれないけれど、人間らしくて真剣に向き合いがいのある男性だから魅力的、というわけ。
ドラマ版の恋は映画版以上にヤキモキ!
ドラマ版ではほかにも、映画版から進化した点がある。
映画版ではトロイとガブリエラのデュエットした時の稲妻が走るような相性の良さが強く記憶に残っている人は多いはず。ドラマ版でのリッキーとニニはこれを継承しているのだけれど、それだけでなく、役を演じるジョシュア・バセットとオリヴィア・ロドリゴがソングライターという特技を活かして劇中のラブソングを共作している。
さらに、リッキーとニニは赤い糸で結ばれているかのように引き寄せられるところはトロイとガブリエラと一緒だけれど、ニニを狙うライバル男子EJがいたり、リッキーに家庭の事情があったり、そして第1話でリッキーが“痛恨のミス”を犯してしまったりしたせいで、2人の関係のヤキモキ度は映画を超えるものに!このように、ドラマ版は映画版の良いところを継承しながらも、それを進化させて新しい魅力を増やしている。
イマドキ男子のリッキーとニニのロマンスでもファンを楽しませているドラマ『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』は、シーズン1がディズニープラスで全話配信中。そして待望のシーズン2が2021年5月21日から配信開始。
<作品情報>
『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』
■シーズン1
ディズニープラスで全話配信中
『ハイスクール・ミュージカル』が約15年前に撮影されたのと同じ場所で、現代の高校生たちがその歴史的作品のリメイクに挑戦する。演劇合宿を終えたばかりのニニと、ニニとヨリを戻すために演劇部に入部したリッキー。新曲や『HSM』の定番曲のリメイクを通じ、イースト高校で新たな青春ドラマが幕開ける。
■シーズン2
ディズニープラスで2021年5月21日(金)配信開始
春の大会に向け、ミュージカル『美女と野獣』の準備を進めていたイースト高校のメンバーたち。しかし、彼らの前に立ちはだかるのは、ブロードウェイ帰りの教師率いる強豪ノース高校の演劇部だった。最も優れた高校演劇部に贈られるという“アラン・メンケン賞”と賞金5万ドルを懸け、学校対抗のバトルが始動!
(フロントロウ編集部)