攻撃の応戦続くパレスチナとイスラエル
イスラエルと、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの間で、5月10日より激しい軍事衝突が続いている。
イスラエルとパレスチナのあいだでは70年以上にわたって土地を巡る争いが起きており、今年に入って、シェイク・ジャラー地区に住むパレスチナ人にイスラエルが立ち退きを迫っていた件が一因となり、10日以降、双方が空爆やロケット弾で攻撃を開始。
ハマスはイスラエルの都市テルアビブや各地の空港や石油施設などを標的に連日のように数百〜数千発のロケット弾をイスラエルに発射している一方、イスラエル軍による空爆では、パレスチナ側の難民キャンプやAP通信の報道機関が入るビルなども攻撃された。
アルジャジーラの最新の報道では、10日に衝突が始まってからガザでは58人の子供と34人の女性を含む192人が死亡しており、イスラエル側では2人の子供を含む10人が亡くなっている。両者の死者に大きく差がある理由は、ハマスとは比べものにならないくらいのイスラエルの武力レベルにあり、ハマスのロケット弾の大半はイスラエルの防空迎撃システムに撃墜されている。
また現地では、イスラエル警察とパレスチナ人の対立も激化している。
紛争地域における女性と少女たち
この攻撃では多くの市民も巻き込まれ、命を奪われている。そしてUN Women(国連女性機関)のパレスチナ支部とアラブ諸国支部は、攻撃が激化するなかで声明を発表。弱い立場に置かれ、衝突の影響を受ける女性や子供たちへの支援を呼びかけた。
「女性、平和、安全についての国連の安全保障理事会決議 1325(2000)は、武力紛争によって悪影響を受ける人の大部分が民間人、特に女性と子どもであることを認識しています。この決議は、紛争中および紛争後の女性と子どもの権利を保護するために、すべての当事者の責任を規定した国際的な人道法と人権法の導入の必要性を再確認するものです。
占領下で生きるパレスチナ人女性と少女たちも、例外ではありません。
UN Womenは国際社会に対し、このような暴力の連鎖が弱い立場にいるグループ、特に現在、東エルサレムでの強制立ち退きやガザでの家屋取り壊しに直面する女性や子どもたちに与える影響に注意を払い、とくに新型コロナウイルスというパンデミック下で、ジェンダーに対応した人道的支援の拡大、ジェンダーに基づく暴力、 健康 、精神的サービスの必要性を予見することを求めます」
また、現在の武力攻撃による危機だけでなく、以前から紛争地域における女性への暴力は深刻となっている。アムネスティによると、とくにイスラエルに住むパレスチナ人女性への暴力が問題視されている。
そしてこのUN Womenの声明を、俳優のアン・ハサウェイが支持。
「パレスチナとイスラエルにおいて、ひどく、激化している暴力、虐殺、死、殺された子供たちを見ることに心を痛めています。私はUN Womenや、今すぐ衝突を縮小するよう呼びかけているすべての人々の声に賛同します。すべての人には、平和と尊厳のなかで生きる権利があります」と呼びかけた。
(フロントロウ編集部)