アンジェリーナ・ジョリーが蜂と共演
地理学、人類学、自然・環境学、ポピュラーサイエンス、歴史、文化、最新事象、写真などの多岐にわたる記事を掲載している米雑誌誌『ナショナルジオグラフィック』の公式SNSで映画『マレフィセント』などへの出演で知られ、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の特使としても活動している俳優アンジェリーナ・ジョリーが無数の蜂たちと共演した写真と映像(スライド2つ目)が公開された。
これは、5月20日の「World Bee Day(世界ミツバチの日)」を記念したもの。
2017年に国連総会で制定されたこの国際デーは、“ポリネーター(花粉媒介)”と呼ばれる、花から花へと花粉を運ぶことにより、農作物を含む植物を受粉させ、地球上の生態系を維持することに貢献しているミツバチをはじめとする生物たちの役割の重要性を認識するための日。
人間はポリネーターのおかげで食料を得ることができるほか、ポリネーターはサステナブルな農業の促進や生物の多様性の保全においても重要な役割を果たしている。つまり、ミツバチや養蜂を保護することは、生態系の維持以外にも、貧困・飢餓を減らすことにもつながる。
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)とアンジェリーナがアンバサダーを務めるフランス発のビューティーブランドのゲラン(Guerlain)は『ウーマン・フォー・ビーズ(Women for Bees)』という共同プロジェクトを始動。
このイニシアティブは、2025年までに2500の養蜂箱を設置し、1億2500万匹の蜂を再生させることを目標としており、女性養蜂家50名の育成にも乗り出している。アンジェリーナもこのプロジェクトに参加しており、この夏、フランスのプロヴァンス地方にて養蜂家のトレーニングを受けるという。
18分間蜂にまみれる
蜂たちがアンジェリーナの顔や剥き出しになった肩や首元を這う映像と写真は、ポリネーターとの共存を象徴するもの。
アンジェリーナ自らの希望で実現した企画で、米フォトグラファーのダン・ウィンターズがシャッターを切った。
約40年前に写真家のリチャード・アヴァドンが撮影した蜂にまみれた男性の写真に着想を得たという今回の撮影に使われたのは、穏やかな性格のイタリアミツバチ。
熟練した養蜂家の指導のもと、アンジェリーナ以外のスタッフはみんな防護服を着て立ち会ったほか、万が一、蜂たちを刺激することによってアンジェリーナが刺されてしまうことがないよう、静寂と暗闇のなかでフォトシュートが行なわれた。
リチャード・アヴァドンが1981年に発表したある養蜂家の男性の写真。
アンジェリーナは撮影の3日前からシャワーを浴びないよう、養蜂家から指導されたそう。というのも蜂たちはシャンプーや香水の香りを嫌うから。
「3日前からシャワーは禁止と言われました。シャンプーや香水といった類の香りがすると、蜂たちが私が何者なのか戸惑ってしまうからだと説明されました」とナショナルジオグラフィックに撮影を振り返ったアンジェリーナ。さらに、昆虫学者が特別に調合した「女王蜂フェロモン(Queen mandibular pheromone/QMP)」を体に塗ってカメラの前に立った。
アンジェリーナが蜂に覆われていた時間は18分間。なるべく動かず、じっとした状態をキープして、1カ所も刺されることなく無事撮影を終えたという。(フロントロウ編集部)