『ワン・トゥリー・ヒル』のソフィア・ブッシュが、男性によって描かれた少女像について不快感をあらわにした。(フロントロウ編集部)

その少女像は誰の願望を描いたものなのか

 2000年代にヒットしたドラマの1つである『ワン・トゥリー・ヒル』は、9年続くシリーズとなり、登場人物たちも高校生から社会人に成長。高い支持を誇った作品といえるが、多くの女性出演者や俳優は、その物語や制作環境に声をあげてきた一面がある。

 ブルック・デーヴィスを演じたソフィア・ブッシュは、本作の撮影で下着姿になることを強要され、抵抗し続けた過去を明かしており、「私たちは(ドラマを見ている)16歳の少女たちに、こんな行動や、こんな方法で評価されようとすることを教えるべきじゃない」という信念を貫いた。

 そんなソフィアは、『ワン・トゥリー・ヒル』における少女たちの描かれ方には、他にも問題があったと指摘する。米ポッドキャスト番組『Chicks in the Office』で、彼女はこう話した。

 「『ワン・トゥリー・ヒル』の女友達とは、いつもそれについて話してる。(現実の)女の子たちは、ドラマの中で私たちがしなきゃいけなかった話し方では話さないし、ドラマでの私たちのように行動しない。ほんとにもう!気持ち悪い年配男のファンタジーだよ。不快だった」
 「いくつかの点では、私たちは大人のように扱われた。今振り返って考えてみると、私たちは性的に執着されていたし、“成熟化”のレンズを通して見られていた」

画像: その少女像は誰の願望を描いたものなのか

 例えば、女性たちの連帯ではなく対立ばかりエンタメ化されたり、現実ではあまり使われない女言葉を話す女性ばかり描かれたりと、物語のなかではねじ曲げられた女性像が多く描かれるというのは、指摘されてきた問題。

 ソフィアは、自分が出演している作品でそういったことが起こっていたと、不快感をあらわにした。

女性のボスがいなかった『ワン・トゥリー・ヒル』

 ソフィアと似たような意見は、ペイトン・ソーヤーを演じたヒラリー・バートンからも出ていた。ヒラリーは、制作の上層部に女性がいなかったことを明かし、男性が少女の性的関心を描いていたことについて、嫌悪感をあらわにしている。

画像: 2006年に一緒にイベントに参加したソフィア・ブッシュとヒラリー・バートン。

2006年に一緒にイベントに参加したソフィア・ブッシュとヒラリー・バートン。

 「10代の少女たちの性的関心は、『ワン・トゥリー・ヒル』のベースとなるものだった。だからこそ、決定権を持つ立場に女性が1人もいなかったことは、私にとってはかなり不快。私たちのために主張してくれる人はいなかった。男性たちが少女たちの性的関心を語るなんて、赤信号でしょう。女性のボスとやり直したい」

 『ワン・トゥリー・ヒル』が完結してから約10年が経った。この10年で、アメリカの映像業界では女性やLGBTQ+コミュニティなどを正しく描く意識が大きくなり、そういった作品も増えた。しかし、まだまだ改善点は多く、こういった業界の当事者たちが声をあげることは変化を生むという点でも重要。

(フロントロウ編集部)

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