マイケル・J・フォックス、感動ポルノにNO
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作の主人公であるマーティ・マクフライ役で有名な俳優のマイケル・J・フォックスは、1991年より、パーキンソン病を患っている。2000年には、パーキンソン病の研究を支援するマイケル・J・フォックス財団を立ち上げ、精力的に活動しているマイケルは、2010年から2016年まで、ドラマ『グッド・ワイフ』に出演。
そこで彼が演じたのが、遅発性ジスキネジアを患う弁護士のルイス・ケニング。裁判ではその持病すら利用して闘う嫌味なキャラクター。このキャラクターを演じるにあたり、マイケルが考えていたこととは何だったのだろうか?
米ATX Television Festivalで俳優のデニス・リアリーと対談したマイケルが明かしたところによると、そこには1つのシンプルな思いだけがあったという。
「この男の後ろにあるアイディアは、本当にシンプルなコンセプトだよ。人々がテレビで車いすに乗った人や障がいを持った人を見る時、音楽は柔らかく繊細なもので、その人はありがちな課題に苦労していて、それに打ち勝とうとしている。例えば僕が、ゴルフティーにボールを乗せようとしているみたいに。そしてついにそれを成し遂げた時、音楽は最高潮になる…。
でも障がいを持つ人々だってくそったれになれるんだ。障がいを持つ人々だって最低で、物事を思い通りにしようとする奴になれる。だからこの役を演じるのは楽しかったよ」
身体障がい者は、何かしらに苦労していたり、困難に挑戦していたりする姿が描かれることが多い。身体障がい者が頑張る姿を取り上げ、感動を煽る“感動ポルノ”は、ここ数十年で問題となり、改善されてきた。そのなかでマイケルは、当事者として、これまでにあまりされてこなかった障がい者の描き方に挑戦するため、あえて“嫌な奴”を演じることにしたという。本作における彼の演技は高く評価され、これによってエミー賞にノミネートされた。
障がい者に対するステレオタイプを感じている俳優は他にも
障がいを持つ俳優で、様々な役柄を演じてきた代表的な俳優と聞けば、ピーター・ディンクレイジを思い浮かべる人も多いはず。小人症である彼は、映画『ペネロピ』や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、『I Care a Lot(原題)』といった多種多様な作品で存在感を見せつけた。
ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のティリオン・ラニスターは、メインキャラクターのなかでも高い人気を誇ったが、彼もまた、小人症の俳優にはステレオタイプがあると印Hindustan Timesのインタビューで語る。
「自分に偏見があるのかもしれないが、私のサイズの人々を見かけた時、ファンタジー作品でその人々がどう描かれるのか見かけた時、それはいつも非常にコミカルなものだ。ファンタジーを撮影する時に従わなくてはいけないルールブックがあるかのように感じる」
しかし『ゲーム・オブ・スローンズ』では先の展開が見えなかったと言い、従わなくてはいけないものはなかったよう。
(フロントロウ編集部)