「もし今世界が終わるなら 君は来てくれるよね?」と歌う切ないラブソング「イフ・ザ・ワールド・ワズ・エンディング」が2020年に12億回再生の大ヒットとなり、2021年のグラミー賞最優秀楽曲賞にノミネートされたJPサックス。ついにデビューアルバム『デンジャラス・レヴェル・オブ・イントロスペクション』をリリースした彼の人柄から音楽スタイル、ブレイクしたきっかけまでを解説。

正統派な音楽一家出身、JPサックス

 ドレイクと同郷のカナダ・トロント出身のJPサックスは、グラミー賞受賞チェロ奏者である祖父と、クラシックピアノ奏者である祖母を持つ音楽サラブレッド。2013年に88歳で他界した祖父のヤーノシュ・シュタルケルは、2014年のグラミー賞で追悼されたほどの世界的チェリスト。

画像: 実家に置かれたグランドピアノに座る、幼い頃のJP。ちなみにJPは名前であるジョナサン・パーシーの略。©︎ JP Saxe/Twitter

実家に置かれたグランドピアノに座る、幼い頃のJP。ちなみにJPは名前であるジョナサン・パーシーの略。©︎ JP Saxe/Twitter

 JP自身、そんな祖父からチェロを習ったほか、幼い頃からギターとピアノの才能も見せ、14歳ですでに夢はプロのミュージシャンに。地元のピアノバーでライブ経験を詰みながら、高校卒業後、ロサンゼルスに移住する。

良いソングライティング=正直なソングライティング

画像: JPがSNSで語るソングライティングの持論にはいつも“正直であること”が共通する。

JPがSNSで語るソングライティングの持論にはいつも“正直であること”が共通する。

 ソングライティングにおいてJPが最も大事にしているのが、自分の心が訴える真実をありのままに歌うこと。繊細で、複雑で、正直な言葉を、心にじんわりと暖かさが広がるような優しい声で歌うJPの楽曲は次第に人々の共感を呼ぶようになり、2018年にリリースした、「25 in Barcelona」と「Blurry」を収録したEP『Both Can Be True Part 1』がアリスタ・レコードの社長兼CEOであるデヴィッド・マッセイの目にとまってレコード契約を果たす。

 そして「25 in Barcelona」は、JPの人生を変える別の出会いも生み出すことに。

先輩スター、ジュリア・マイケルズとの運命的な出会い

 JPの曲「25 in Barcelona」はシンガーのショーン・メンデスの目にとまることになり、そんな彼におすすめされたシンガーソングライターのジュリア・マイケルズがインスタグラム・ストーリーズで楽曲を紹介

画像: ジュリア・マイケルズがキューピッドとなったショーン・メンデスへの感謝をTwitterで述べて。

ジュリア・マイケルズがキューピッドとなったショーン・メンデスへの感謝をTwitterで述べて。

 これをきっかけにDMすることになった2人は、2019年7月に一緒にソングライティングのセッションを行ない、好きだった人に「もし今世界が終わるなら 君は来てくれるよね?」と歌う、胸をつきさすような終焉のラブソング「イフ・ザ・ワールド・ワズ・エンディング」が誕生

 ピアノに並んで座り切ないラブソングを作っている時からお互いを意識していることは明白だったという2人は、米E!とのインタビューによると、そのセッションの9日後から交際を始めたという。

「イフ・ザ・ワールド・ワズ・エンディング」

君も僕もわかっていたはずだよね
ずっとは一緒にいられないって事も それでいいんだって事も
君も僕も、お互いわかっていたはずだよね
運命の人じゃないって でも気にしないで
でももし今世界が終わるなら 君は来てくれるよね?
ここに来て 最後の夜を一緒に過ごしてくれるだろ?

オフィシャルMV

JUNOアワードでの生パフォーマンス

※JPサックスはJUNOアワードで新人賞にあたるブレイクスルー・アーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

 現在でも交際している2人。SNSでJPが「ジュリア・マイケルズ、君に夢中だ」と、ジュリア愛を絶叫することが頻繁にあったり、ジュリアが新作アルバムにJPについて歌った楽曲「ライ・ライク・ザット」を収録したりと、超がつくほどラブラブな2人には、“理想のカップル”という声が多く挙がっている。

画像: 2021年7月で交際2周年の人。現在はLAで同棲しているそう。©︎JP Saxe/Instagram

2021年7月で交際2周年の人。現在はLAで同棲しているそう。©︎JP Saxe/Instagram

コロナ禍に、「イフ・ザ・ワールド・ワズ・エンディング」がぴったりハマる

 ジュリアと「イフ・ザ・ワールド・ワズ・エンディング」を作った翌年の2020年、意図せずも新型コロナウイルスのパンデミックで人々が感じていた気持ちに曲の歌詞や世界観が寄り添う形となり、世界で12億回再生されるほど大ヒット。JPはついに世界的ブレイクを果たした。

画像: ©︎JP Saxe/Facebook

©︎JP Saxe/Facebook

 “苦難の時には自分たちがそっちに行く”という国境なき医師団のミッションとも共鳴しあい、サム・スミスやH.E.R.、ケシャ、アレシア・カーラなど堂々たるアーティストが自宅で歌いつなぐチャリティソングとしてカバー。ステイホームを呼び掛けながら世界中に力を与える一曲として大きな反響を呼んだ。

国境なき医師団チャリティバージョン

 そして「イフ・ザ・ワールド・ワズ・エンディング」は、2021年の第63回グラミー賞授賞式で最優秀楽曲賞にノミネートされた。

嘘がつけないミュージシャン、JPサックスのミューズはジュリア・マイケルズ

 自身の日記が楽曲を作る1番のインスピレーションだとするJPは、人間心理を深く掘り下げた歌詞が印象的。自分の内側から湧いてくる想いを赤裸々に楽曲に表し、その世界観で人々を魅了している。

画像: 嘘がつけないミュージシャン、JPサックスのミューズはジュリア・マイケルズ

 そんなJPの心を今最も夢中にさせるのは、他でもない、ガールフレンドのジュリア・マイケルズ。だからこそ、6月25日にリリースされたデビューアルバム『デンジャラス・レヴェル・オブ・イントロスペクション(意味:危険なレベルでの内省)』の収録曲の多くで、ジュリアについて歌っている

画像: インスタグラムにアップされたこの写真では、「君は素晴らしい人で、僕はあなたを愛することができて幸せだ」とジュリアへの愛を綴っていた。©︎JP Saxe/Instagram

インスタグラムにアップされたこの写真では、「君は素晴らしい人で、僕はあなたを愛することができて幸せだ」とジュリアへの愛を綴っていた。©︎JP Saxe/Instagram

 ツイッターでファンからアルバムを表す色を聞かれた時には、ジュリアが赤毛のJPにつけたあだ名である「オレンジ・マジック」と即答していたところからも、今作がどれだけジュリアに影響されているかがわかる。

「ライン・バイ・ライン/Line By Line」

4 つのコードと 3 分の演奏に君を収めることなんてできない
だから 1 行ずつ君に届けるよ
Oh 生涯をかけて君の歌を作っていくよ
1 行ずつ丁寧に


「モア・オブ・ユー/More of You」

雨の中腰掛けて話していたのに ふと黙り込んで見つめられると
すべてを投げ出しても君が欲しいと気づく
その視線で何を伝えようとしているのか説明して欲しい
気にしないで 自分でもびっくりしてる
君は別格だ
これまで僕が知る他のどんなものと比べても


「ライク・ザット/Like That」

こんな風に愛してくれた人ははじめて
こう言ってくれる「大丈夫、強がらなくたっていい 間違えたっていい」
こんな風に愛してくれた人ははじめて
ママは涙している 君の愛は
僕が見つけられますようにと願っていた愛だから

ジュリアがJPの人生に与えたもう一つの影響

ジュリアは楽曲や恋愛以上の影響をJPの人生に与えていた。JPがジュリアと「イフ・ザ・ワールド・ワズ・エンディング」を作ったのは、じつはJPが、癌のため余命宣告された母親に会いに行った直後。そしてその後、楽曲は大ヒットしてJPはブレイクを果たし、母親は息子が有名トーク番組『トゥナイト・ショー』でパフォーマンスする姿を“最後に見る息子のライブ”として生で見られたという。ジュリアにあの時出会わなければ、母親に最後の勇士を見せられなかったかもしれない。そんな運命的な出来事をインスタグラムで明かしたJPは、「人生最悪の一年だったが、同時に最高の一年でもあった」と綴った。

 アルバム『デンジャラス・レヴェル・オブ・イントロスペクション』には、ジュリアに捧げたラブソングのほかにも、JPの音楽的ヒーローであるジョン・メイヤーがギターで参加した、添い遂げられたなかった相手への切ない系ラブソング「ヒヤーズ・ホーピン/Here’s Hopin’」や、傷つく恋ばかりしているエミリーという人に“自分はどんな時も味方だよ”と歌う「フォー・エミリー/For Emilee」、相手との間の緊張感を楽しんでしまっている自分について歌う「テンション/Tension」など、人間と愛をテーマにした多様な楽曲が収録されている。

<作品情報>

画像: 世界が終わる前に聴きたい1枚、歌詞がじんわり心にしみるアーティスト「JPサックス/JP Saxe」とは

『デンジャラス・レヴェル・オブ・イントロスペクション』
配信中

Photos: ※フォトクレジットは写真に記載。不記載のものはゲッティ・イメージズ

(フロントロウ編集部)

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