フェミニズム映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』を彼氏と見に行ったら? エメラルド・フェネル監督の考えが、なかなかハードルが高い。(フロントロウ編集部)

脚本がとくに高い評価を受ける『プロミシング・ヤング・ウーマン』

 レイプ犯に復讐するというシリアスなテーマでありながら、その緻密な脚本から、復讐劇×ラブコメ×スリラーという作風を完成させた映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』。脚本と監督を務めたエメラルド・フェネル監督は、本作によって第93回アカデミー賞脚本賞を受賞した。

画像: エメラルド・フェネル監督

エメラルド・フェネル監督

 脚本賞を女性が受賞するのは13年ぶりであり、さらにその作品がフェミニズム作品であることには感慨深く感じてしまう。自分が受賞するとは予想していなかったフェネル監督は、受賞スピーチを用意していなかったことをジョークにして、受賞スピーチとしていた。

『プロミシング・ヤング・ウーマン』と彼氏と見に行ったら?

 そんなフェネル監督は、『プロミシング・ヤング・ウーマン』を「毒のあるポップコーン映画」と表現している。カラフルな衣装にブリトニー・スピアーズやパリス・ヒルトンのポップな音楽などが作品を彩るが、そのなかには毒が潜んでいる…。

 そしてアカデミー賞受賞後のプレスインタビューで、監督は、そんな“毒のあるポップコーン映画”を今後も作り続けたいかと質問され、「あぁ…。分からない」と反応したうえで、こう考えをまとめた。

 「難しく問題のあることについてであっても、人々が見に行きたくなるものをいつだって作りたかった。友達や彼氏と一緒に見に行って、見終わった後にはそれについて話すような作品も映画だし」

画像: 『プロミシング・ヤング・ウーマン』と彼氏と見に行ったら?

 『プロミシング・ヤング・ウーマン』では、主演のキャリー・マリガンが、「女性が経験してきたあきらかな暴行や、極端な権利の侵害を描いた作品ではない。当たり前になっていたことに着目している。私が関心を持ったのは、女性に日々起きている出来事が描かれている部分。社会で暮らしているなかで見過ごしてきたことがある」と評価するとおり、かなり事細かに、女性が日々被っている被害を描いている。

 それを彼氏と見に行った場合、見終わったあとにそれについて話せるかどうか、話が悪い方向に向かわないかは、2人の間の関係性を問われそう。

 とはいえ、主人公キャシーに大きな影響を与えるライアンを演じたボー・バーナムは、「(本作は)先の読めない展開に何度も驚かされるから、スリラー映画のように見ることもできる。だから楽しんで見てもらえたらうれしい。内容は深いけど、映画の楽しさは一切減っていない」と話しており、本作の面白さは折り紙つき。

 また、ボーは、「僕たちこそ、これについて話さなきゃいけない。彼女たちじゃない。女性たちじゃない。彼女たちはそれ(性被害)のなかを生きてきた。だから彼女たちがそれについて話す必要はそこまでない」とも話しており、男性たちが友達同士で連れだって見に行くということも、もちろんアリ。

 性別に関係なくすべての人に見て欲しい『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、現在公開中。

『プロミシング・ヤング・ウーマン』あらすじ
医学部に通う“有望な若い女性(Promising Young Woman/プロミシング・ヤング・ウーマン)”だったキャシーは、ある事件から大学を中退。カフェの店員として働いている。しかし夜になれば1人でクラブやバーへ向かい、泥酔したふりをして、酔った女性をお持ち帰りしようとする男たちに復讐していく。そんな日々のなかで、大学時代の同級生であるライアンと再会したキャシーは、その心に変化が生まれるが、あることをきっかけにふたたび復讐劇の幕が開く…。

(フロントロウ編集部)

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