『ターミネーター』のアイディアはどこから来た?
1984年に公開された『ターミネーター』は、その後6作品が制作される大ヒットシリーズとなり、俳優アーノルド・シュワルツェネッガーの代表作になった。そして生みの親であるジェームズ・キャメロン監督はSF映画の巨匠として知られることになった。
そんなキャメロン監督が『ターミネーター』を思いついたのは、映画公開の3年前のこと。監督は当時26歳で、B級映画の帝王と呼ばれるロジャー・コーマン監督の元で働いていた。
物語を含む創作活動というのは、自分が何を描きたいのか、何を描くべきなのかに思いを巡らせ、構想を練り、カタチにしていくといったプロセスが重要。下積み時代にキャメロン監督が苦労して『ターミネーター』を作り上げたのかと思いきや、『ターミネーター』誕生のきっかけは、なんと監督の見た“夢”だった!
ジェームズ・キャメロンが見た夢とは?
「悪夢はビジネスにおける資産だ。私はそう見ている」と、過去に米EWのインタビューで語る監督は、その夢についてこう振り返っている。
「私は体調が悪くて、お金がなくて、高熱を出していた。そしてその時、メタル製の死神が炎の中から出てくる夢を見た。炎によって肌が脱げ、それの本来のものが見えるという暗示だった」
その夢は、明らかに『ターミネーター』!
その後、彼はその夢から得たイメージを絵に描き、いくつかのメモを取った。そしてそれを、当時、同じくコーマン監督の元で働いていたゲイル・アン・ハードに見せたという。ゲイルは『ターミネーター』の共同脚本家でありプロデューサー。そして監督のその後の妻(そしてその後離婚)でもある。
監督のアイディアをゲイルが評価したことで、2人の『ターミネーター』制作の旅が始まる。そしてその結果は、ご存知のとおり。
素晴らしいアイディアが出たとはいえ、それを1つの物語として仕上げ、映像を完成させ、そして何よりも面白いものにするというのは、監督やゲイル、そして制作に携わった人々の努力のうえに成り立つ。とはいえ、その最初の1歩であるアイディアは“夢”から生まれたというのは、キャメロン監督の発想力の天才ぶりを感じずにはいられない。
また、ゲイルがその後、ドラマ『ウォーキング・デッド』で製作総指揮、映画『エイリアン2』や『アルマゲドン』、『イーオン・フラックス』などでも製作に携わる敏腕プロデューサーとなったことを考えると、彼女の才能や作品を見る目の高さにも唸らされる。
もちろん、『ターミネーター』で特殊メイクを担当したスタン・ウィンストンといった天才も無視できない。つまり、『ターミネーター』は、天才たちが集結して出来上がった作品だった。
(フロントロウ編集部)