94歳のおばあちゃん、70年以上思い続けた夢
アメリカのアラバマ州に住む94歳のマーサ・タッカーは、1952年に結婚。今では4人の子供、11人の孫、18人のひ孫、1人の玄孫がいる。
そんなマーサは先日、お気に入りの映画である『星の王子 ニューヨークへ行く』を孫と一緒に見ていたそう。エディ・マーフィが、アフリカの架空の王国ザムンダの王子を演じ、ニューヨークで出会ったシャーリー・ヘドリー演じるリサと恋に落ちる本作では、最後に結婚式のシーンがある。
そんな結婚式のシーンを見ていたマーサが、孫のアンジェラにこんな一言を呟いたそう。
「私もウェディングドレスが着られていたら」
孫たちがおばあちゃんの夢を叶える!
マーサが結婚した1952年は、黒人差別が今よりも酷く、あからさまで、そしてそれがまかり通っていた時代。黒人であるマーサは、ブライダルショップに入ることは許されなかったという。
そのためマーサは青いドレスで、夫は黄色のコートに白いパンツで愛を誓いあった。
しかしウェディングドレスへの憧れは、94歳になるまで彼女の心の中にあり続けた。そしてそんな祖母の思いを聞いた孫たちは、即座に行動を起こした! アンジェラはすぐにブライダルショップに予約を取り、その数日後に、マーサをサプライズでショップへ連れて行った。
メイクアップアーティストも呼び、完璧な状態で、70年越しに念願のウェディングドレスを着たマーサの姿がこちら…。
マーサの、その笑顔。
マーサは50年以上にわたって投票所係員として働き、選挙において黒人の投票がきちんとカウントされていることを確認してきた。黒人であることが理由でウェディングドレスが着られず、その後は黒人の権利を守ってきた彼女が、94歳にして念願のウェディングドレスをまとった姿には、感動を覚えずにはいられない。
彼女の夫は1975年に死去しており、妻のウェディングドレス姿を見ることはできなかったが、マーサは米ALに、「これがどれだけスペシャルなことか表現できない。これはスペシャルすぎる。これを長い間待っていたの」と、その感激を語った。
(フロントロウ編集部)