黒人ビジネスをサポートする「15 Percent Pledge」
黒人に対する暴力や差別の撤廃を訴える抗議運動「Black Live Matter/ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命にも価値がある)」をきっかけに、「15 Percent Pledge(15パーセントプレッジ)」というムーブメントが広がっている。
直訳すると15パーセントの誓約を意味する「15 Percent Pledge」は、ファッションやビューティ製品を扱う小売店の棚の15%を黒人が展開するブランドに与える誓約のこと。ファッションデザイナーのオーロラ・ジェームズ氏が非営利団体を立ち上げて発足させたこのムーブメントは、アメリカの人口の15%が黒人であるのにもかかわらず、百貨店などで取り扱われるブランドの多くは白人が展開するブランドであることを問題視して、2020年の6月1日に発足。
その直後から「15 Percent Pledge」のムーブメントは瞬く間にSNSで広まり、発足されてからわずか10日後に参加を表明したのが人気コスメ専門店のセフォラ(Sephora)。大手企業ではじめて「15 Percent Pledge」と正式な契約を結んだセフォラのグローバルチーフマーチャンダイジングオフィサーのアルテミス・パトリック氏は、「ただ数を増やすためだけでなく、黒人が展開するブランドを長期的に適切にサポートするために必要なことだと思った」と米Glossyでコメント。
実際にセフォラは、昨年6月からの1年間で黒人が展開するブランドの取り扱いをわずか8ブランドから14ブランドまで増加。さらに今年中に2倍まで増加させる予定だそうで、これによって一部カテゴリーでは15%の割合に到達する見込みだという。また、セフォラのサイトには、「15 Percent Pledge」の取り組みを紹介するページや、ユーザーから取り扱ってほしい黒人展開ブランドを募るべージなども掲載されている。
セフォラが参加を表明したことをきっかけに、海外では多くの百貨店やブランドが参加。メイシーズ (Macy's)やブルーミングデールズ (Bloomingdale's) などのデパートのほか、ギャップ(GAP)やキス(KITH)なども署名していて、15%の割合を満たすことを約束。そして最近では、全米に1,000軒以上の店舗を持つ大手コスメ専門店であるアルタ・ビューティー(Ulta Beauty)が参加を表明し、大きな話題となった。
海外の有名メディアでもこの基準を採用
商品を販売する企業だけでなく、美容メディアも「15 Percent Pledge」の参加を表明している。
米美容メディアのByrdieは、製品をまとめた特集記事などで15%以上の割合で黒人が展開するブランドの製品にすることを約束。また美容アワードなどでも積極的に黒人が展開するブランドを候補に入れることを誓っている。実際に今年の7月時点では、新しく公開された記事の89%が「15 Percent Pledge」の条件を満たしていて、美容アワードでも黒人が設立したブランドが15%を超えた。
海外の有名メディアでは、Byrdieのほかにも米Vogueや米Instyleも「15 Percent Pledge」に署名している。
「15 Percent Pledge」は、人種を問わず誰もが平等にビジネスの機会を得られるための取り組みだけれど、海外の大手企業の中でもまだまだ表明していない企業は多い。発足者であるジェームズ氏は、多くの企業がこの取り組みに賛同してもらうよう今後も働きかけを続けていくと語っている。(フロントロウ編集部)