酷評された『ターミネーター:新起動/ジェニシス』
1984年に記念すべき第1作目が公開された映画『ターミネーター』シリーズは、これまでに6作品が公開されている。巨匠ジェームズ・キャメロン監督が生み出したターミネーターの世界観だが、3作目から5作目はキャメロン監督の手を離れたこともあり、評価は低い。
とくに、2015年に公開された5作目の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は、シリーズのなかで最も失敗した作品といっても過言ではない。批評家の評価をまとめ、その結果を%で示す映画評価サイトのRotten Tomatoesでは、1作目は驚異の100%という評価を得ているが、3作目は69%、4作目は33%、5作目はなんと27%という、ある意味驚異の低評価を記録している。
じつは、『ターミネーター』シリーズにおいての興行収入ランキングでは5作目が2位につけており、興行収入的には大失敗となったわけではない。ちなみに、1位は納得の『ターミネーター2』。
しかし、ここまでの低評価を受けたことによって、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』から始まる3部作の構想は当然ながら立ち消えとなるなど、様々な影響が発生した。そしてそれは、ある人の“心”にも影響したよう。
アラン・テイラー監督の苦悩
本作で監督を務めたのは、2013年のMCU映画『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』やドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のいくつかのエピソードでメガホンを取ったアラン・テイラー。彼は、2007年には、ドラマ『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』でエミー賞の監督賞も受賞しているが、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』では酷評を経験することとなった。
そしてその経験によって、アランは映画制作への情熱を失くしてしまったという。米Hollywood Reporterで、アランが当時を振り返った。
「映画制作への意志を失くしてしまった。監督として生きる意志を失くしてしまった。あれについて、誰も責めてはいない。でも制作過程が私にとっては良いものではなかった。だからあれの後には、ふたたび映画制作の喜びを見つけなくてはならなかった」
映画制作は1人で出来ることではなく、酷評されることになった5作目では、制作過程も良いものではなかったと明かしたアラン。作品づくりにおいて仕方がないとはいえ、監督という立場で制作に携わり、そして酷評を受けることは苦しい経験だったよう。
ちなみに、アランの長年の恋人であるストーリーボードアーティストのジェーン・ウーは、脚本を読んだ後、アランに別のプロジェクトに取り組むようアドバイスしていたそう。
(フロントロウ編集部)