海外で「アップサイクル・コスメ」が話題
環境に配慮したサステナブルな美容製品は、繰り返し使うことでごみを減らせる製品や、ごみになった後も環境への影響が少ないパッケージの製品などさまざまなものがあるけれど、ここ最近トレンドの仲間入りを果たしたのが、ごみになるはずだった材料からコスメをつくる「アップサイクル・コスメ」。
アップサイクル・コスメとは、食品などで使用する作物のうち、廃棄されてしまう部分やその副産物を原料として利用した美容製品のこと。
このトレンドの背景にあるのが、日本でもここ最近頻繁に耳にする食品廃棄や食品ロスの問題。国連食糧農業機関(FAO)の発表によると、全世界の食品の約3分の1が毎年廃棄されていて、さらにその廃棄にかかる温室効果ガスの排出量も膨大なことが問題になっている。
そんな廃棄物の問題を改善するために生まれたアップサイクル・コスメは、昨年頃から海外で話題を呼んでいて、専門のブランドも続々と誕生。米大手スーパーマーケットの「ホールフーズ(Whole Foods)」が選ぶ、2021年の美容トレンドにも選出されるなど、今もっとも注目のトレンドになっている。
実際にどんな製品が登場しているのか、海外で注目のアップサイクル・コスメ製品をご紹介。
捨てるはずのコーヒーかすからつくる美容製品
アップサイクル・コスメ製品を代表する製品のひとつが、捨てるはずのコーヒーかすを再利用した美容製品。
コーヒーを淹れた後に出るコーヒーかすは、ほとんどの場合捨てられるけれど、じつはその廃棄物の量は膨大で、英ロンドンだけでも年間50万トン以上のコーヒーかすが廃棄されているという。
でもコーヒーには抗酸化物質やカフェインといった肌によい成分がたくさん含まれているため、海外では最近コーヒーかすを使った美容製品が数多く登場。アップサイクル・コスメのブームの火付け役となった専門ブランド「Up circle beauty」は、コーヒーかすから抽出される成分を取り入れたアイクリームやボディスクラブを販売。そのほかにも多くのブランドから、コーヒーかすからつくったクレイマスクやフェイススクラブなどの製品が登場している。
規格外の果物や種を活用するブランドも
コーヒーかすのほかにも、さまざまな廃棄物や副産物からアップサイクル・コスメ製品がつくられている。そのひとつがバナナを使った美容製品。
じつはバナナは、ポリフェノールやビタミンE、オメガ6、9脂肪酸などが豊富だけれど、形の悪いものなどが売り場に並ばず生産量の半分もの量が廃棄されている。そんなバナナの廃棄量を問題視して生まれた米国発の「Kadalys」というブランドは、規格外のバナナを使った美容製品を専門に展開。バナナの成分を主成分としたリップバームやフェイスオイル、クレンジング、トナー、フェイスクリームなどたくさんの製品を販売している。
またコーヒーやバナナのほかにも、プラムやオリーブの種、ココナッツの殻、木材として使われる木の葉っぱ部分など、今まで当たり前のように捨てられてきた廃棄物を材料として取り入れた美容製品が話題を呼んでいる。
廃棄を減らすことにもつながる注目の美容トレンド「アップサイクル・コスメ」。そのパイオニアであるブランド「Up circle beauty」の創設者であるアンナ・ブライトマンは米Todayで次のように語っている。「ものの見方を見直してほしい。無駄だと思っているものは、じつは大切な資源かもしれないから」(フロントロウ編集部)