出演作の幅を広げるスティーヴン・ユァン
大ヒットドラマ『ウォーキング・デッド』にシーズン1からシーズン7まで出演し、人気を博したスティーヴン・ユァン。彼が演じたキャラクターのグレンの最後は、ファンの間で『ウォーキング・デッド』離れを引き起こしたほどだったが、スティーヴンはその後、映画『ミナリ』や『オクジャ』などで幅広い演技を見せ、高い評価を得ている。
そんな彼の新作映画『The Humans(原題)』が、トロント国際映画祭で初上映された。本作は、ステファン・カラムによる同名の演劇を映画化したもの。演劇は第70回トニー賞で最優秀演劇賞を受賞しており、映画版ではステファンが監督デビューする。
スティーヴン・ユァンが感じた『TWD』の影響
『ミナリ』ではアジア系アメリカ人俳優として史上初めてアカデミー賞にノミネートされ、『The Humans』や、人気ホラー映画監督ジョーダン・ピールの次回作『Nope(原題)』にも出演するスティーヴン。
『ウォーキング・デッド』での演技がその後のキャリアに繋がったと言えるが、ドラマを卒業した直後は困難もあったと、映画祭でのインタビューで語る。
「僕は大学卒業後の7年間を、『ウォーキング・デッド』との素晴らしい旅をして過ごした。だからこそ、その経験が僕の現実とアイデンティティにどれだけ染み込んでいたのか気がつかなかった」と、当時を振り返った彼は、自分自身を見つめ直す必要があったと話した。そしてドラマの卒業直後には様々な作品への出演オファーが届いたそうだが、作品選びは慎重に行なったよう。
「『ウォーキング・デッド』の後に僕にオファーが来たものの数々は、じつは非常に良いプロジェクトで、僕が主演ということだった。あるテレビドラマの主演をオファーされたこともある。でもなぜだか、あらすじを読んだ時、それはグレンに似ていると感じた。僕が演じたキャラクターだ。そして僕は、1つの場所に長く留まりたくはない」
主演作のオファーは、俳優であれば喉から手が出るほど欲している人もいるもの。しかしいくら主演であっても、彼が7シーズンにわたって演じたグレンという役に似ているものは断ったというスティーヴン。一方で、『オクジャ』や『ホワイト・ボイス』のオファーはすぐに受けたそうで、彼の作品選びのセンスが感じられる。
そんな彼だからこそ、『ミナリ』といった優れた作品にも出会えたのだろう。『The Humans』や『Nope』にも期待が高まる。
(フロントロウ編集部)