近年、海外の美容業界で注目を集める“海”にフォーカスを当てたサステナブルなムーブメント「ブルー・ビューティー(Blue Beauty)」をご存じ? 海洋環境の保全に配慮された美容製品の開発など、豊かな海をまもることを目的として生まれたブルー・ビューティーを詳しく解説。(フロントロウ編集部)

海洋汚染を防ぎ、豊かな海をまもる「ブルー・ビューティー」

 ヴィーガン、ナチュラル、オーガニックなど、健康や環境に害のある成分を使用せず、環境や社会、動物に配慮された美容製品づくりを行なうムーブメント「クリーン・ビューティー(Clean Beauty)」。

 2010年ごろから始まったこのムーブメントは、現代のトレンドを担うミレニアル世代やZ世代たちから大いに支持され、2018年ごろには大手コスメブランドも「クリーン・ビューティー」の概念を取り入れた製品の開発に着手。オーガニックコスメの世界統一基準コスモス(COSMOS)認証を取得した美容関連商品は年々増加傾向にあり、その数はすでに1万品目を上回っている。

 そんなクリーン・ビューティーから派生した言葉として、いま美容業界で大きな注目を集めているのは「ブルー・ビューティー(Blue Beauty)」

画像: 海洋汚染を防ぎ、豊かな海をまもる「ブルー・ビューティー」

 その名からもわかるとおり「青」、つまり環境のなかでも「海」にフォーカスを当てたムーブメントで、海洋プラスチックごみの削減やリサイクルの促進、海洋生物に悪影響を及ぼす成分・製法(日焼け止めなど)を使用しない美容製品の開発など、豊かな海をまもることを目的としている。

なぜ「海洋環境の保全」が注目されているのか

 このムーブメントの発起人で米コスメブランドBeauty Heroesの創業者であるジーニー・ジャーノット氏は、米Elleで「クリーン・ビューティーとは、一般的に肌に対して害を与えないものとされている。しかし、シャンプー、シェービングクリーム、デオドラント、化粧品などに含まれる合成香料やシリコンが排水されたときにどうなるのか、考える必要がある」と、クリーン・ビューティーでも見落とされがちな「海洋環境への影響」を指摘。

 ジャーノット氏は「これらの成分は、今でも日常的な美容製品に非常に多く含まれており、環境や海洋生物、地球に与えるダメージの影響に気づかず、毎日大量に海に流されている」と警鐘を鳴らしている。

画像: なぜ「海洋環境の保全」が注目されているのか

世界で深刻化する海洋プラスチックごみ

 もうひとつブルー・ビューティーが注力しているのは、年間約800万トンほど新たに流入している「海洋プラスチックごみ」の削減。

 世界最大規模の自然環境保護団体である国際NGO「WWF」のサステナブル・マテリアルズ・スペシャリストのポーラ・チン氏は「美容関連製品のパッケージは、世界で毎年1200億個以上生産されているが、そのほとんどがリサイクルできていない」と指摘。

画像: 世界で深刻化する海洋プラスチックごみ

 一方で、チン氏は「環境に悪影響を及ぼす可能性があるからといって、必ずしもすべての製品を代替容器に切り替える必要はない」と説明し、続けて「重要なのは、パッケージを詰め替え可能または別の目的で再利用可能なものにすること。ブランドや小売業者が率先して容器を回収したり、容器にリサイクル可能な素材を使用したりすれば、全体的な二酸化炭素の削減にもつながる」と話している。

多くの海外ブランドがブルー・ビューティーに賛同

 この世界の豊かな海をまもる「ブルー・ビューティー」のサステナブルなムーブメントには、世界各国のコスメブランドが賛同。

 ロンドン発のクリーンスキンケアブランド、レン・クリーン・スキンケア(REN Clean Skincare)をはじめ、ニュージーランド発のサステナブルブランドであるエティーク(ethique)、南フランス発のロクシタン(L'Occitane)など、数多くのコスメブランドが海洋環境に負荷をかけない製品の開発やリサイクルの促進など、海洋環境の保全にむけた活動を行なっている。

 また、ジャーノット氏は「ブルー・ビューティーのブランドは、自社製品が環境に対して安全であることを保証している」と話し、続けて「これには、海洋環境にとって安全であること、持続可能な方法で調達されていること、二酸化炭素排出量を最小限に抑えることなども含まれており、また、自社の手法が環境に貢献し、プラスの効果をもたらす方法も検討している」と明かした。

 新しい美容業界のスタンダードとして世界に広まりつつある「ブルー・ビューティー」。次の世代に豊かで美しい海を引き継ぐためにも、化粧品選びという身近なところから海洋環境にやさしい選択を心がけてみて。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.