バイセクシャルのスーパーマン、新しいモットーは…
スーパーマンは、お馴染みクラーク・ケントの息子ジョナサン・サミュエル・ケントへとその役が受け継がれた最新のコミックスで、バイセクシャルであることが明かされることが分かり、話題になったばかり。そして、10月17日にオンラインで開催されたDCコミックスのイベント「DCファンドーム」にて、そんなスーパーマンの新しいモットーが発表された。
これまでのスーパーマンのキャッチフレーズは「真実、正義、そしてアメリカン・ウェイ(Truth, justice, and the American way.)」であったが、このたび「アメリカン・ウェイ」を変更し、「真実、正義、そしてより良い明日へ(Truth, Justice and A Better Tomorrow.)」と、より包括的な表現になった。
Today, @JimLee unveiled a new mission statement for @DCSuperman at #DCFanDome: Truth, Justice and a Better Tomorrow. pic.twitter.com/hImOzDSHN3
— DC (@DCComics) October 16, 2021
DCのチーフ・クリエイティブ・オフィサー兼パブリッシャーであるジム・リーは、これまでは異性とのロマンスのみが描かれてきたスーパーマンが、来月出版される新しいコミックの中で、同性の友人と交際に発展することを挙げ、「DC全体で展開しているストーリーをよりよく反映するためと、80年以上にわたってよりよい世界を築いてきたスーパーマンの素晴らしいレガシーを称えるために、スーパーマンのモットーは進化していく」とコメント。
そして、「スーパーマンは長い間、世界中の人々を奮い立たせる希望の象徴であり、その楽観主義と希望が、この新しいミッション・ステートメント(※)を前進させる原動力となっている」と付け加えた。
※モットーのこと。
DCコミックスによると、この新しいモットーは、クラーク・ケント/スーパーマンのメインストーリーで使用されることはもちろん、他のコミック、テレビ、ビデオゲームなど、すべての媒体にまたがって使用されるという。
「真実、正義、そしてアメリカン・ウェイ」の歴史
スーパーマンのクラシックなモットーである「真実、正義、そしてアメリカン・ウェイ(Truth, justice, and the American way.)」のオリジンは、じつはコミックではない。第二次世界大戦の愛国的な雰囲気で満ちていた1940年代に放送された、『鋼鉄の男(マン・オブ・スティール)』のラジオ番組のオープニングで初めて使われた。
その後「真実、正義、自由」とされた時期を経て、1978年に公開されたクリストファー・リーブ主演映画『スーパーマン』で「真実、正義、そしてアメリカン・ウェイ」というフレーズが使われたことで、スーパーヒーローの信条として人々の文化的な意識に定着。
しかし90年代になると、もともとアメリカのナショナリスト精神に由来する「アメリカン・ウェイ」というフレーズは人気がなくなり、「真実、正義」のみが注目されるように。最近発売されたコミック『バットマン/スーパーマン #16』では、「真実、寛大、そして正義」というフレーズが使用されるなど、時代とともに微妙な変更が加えられていた。この背景には、アメリカのナショナリスト=多様性に寛容ではない、というイメージが強まったことがあると考えられる。
また、2011年に発売された『アクション・コミックス #900』では、なんと米国市民権を放棄するという衝撃の展開になったこともあるだけでなく、映画『マン・オブ・スティール』でスーパーマンを演じたヘンリー・カヴィルはイギリス人俳優。
そんななか、DCが社をあげて「真実、正義、そしてより良い明日へ(Truth, Justice and A Better Tomorrow.)」という新しいモットーを発表したのは、非常に注目すべきこと。80年間も親しまれてきたモットーの変更にさまざまな意見が上がるかもしれないが、これまでも抜本的な改革を行なってきたDCコミックスであるからこそ、今後の動向を見守っていきたい。(フロントロウ編集部)