気候変動は、女性差別も引き起こす? それって一体どういうこと? 女の子や女性の支援を行なう国際NGOプラン・インターナショナルの石丸晴菜さんに話を聞いた。(フロントロウ編集部)

気候変動がめぐりめぐって女性差別を引き起こす

 女性差別、気候変動、経済、教育、福祉…。これらの分野はそれぞれ別々の社会問題と捉えられがちで、その結果、例えば経済の問題を考える時には経済のことだけを考えていれば良いと思われることが多い。しかしこれらの問題は、すべて繋がっている。

 でも、すべて繋がっているって、どういうこと? とくに若い世代の間で関心が高い気候変動を例にして、それが引き起こす女の子への差別を考えてみると分かりやすい。


 気候変動×人身取引

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 気候変動によって、すでに毎日の生活のなかで影響を受けているのが、農業を行なう人々。気候変動によって干ばつや洪水などが発生し、農作物の不作が深刻化しており、それは農業による収入から、日々の食料の減少までを引き起こす。

 では、そうなった時に、とくに発展途上国ではどういった対策が取られる? お金を作り出すために、もしくはお金を使わずにすむように、娘に早すぎる結婚や親の借金の肩代わりとしての労働、性売春をさせることで家計への負担を減らしているということが現実に起きてしまっている。

 この件について、女の子・女性の支援を行なう国際NGOプラン・インターナショナルの職員である石丸さんに話を聞いた。

 石丸さんは、これまでにイギリスやエチオピア、カンボジアで国際開発の研究や実務を行なってきた経歴を持つ。大学在学中には6回ほど現地へ飛び、長期滞在。エチオピアでのインターンも経て、現地に住む人々、その生活環境や社会状況について見識を深めた石丸さんは、現在プラン・インターナショナルでベトナムの現地事業責任者を務めている。そんな石丸さんは、現地で今起こっている変化について、こう話してくれた。

画像1: プランの石丸さん

プランの石丸さん

現地でも、早すぎる結婚は良くないという意識が根づいてきています。そのため、子供を結婚させると地域から白い目で見られることもあるのですが、経済的に苦しくなった家庭では、娘を“奉公に出した”といった言い方で早すぎる結婚を継続しているところもあります。

女の子・女性への差別などジェンダー平等に向けたこれまでの歩みは、気候変動によって減速してしまっているという印象があります。


 気候変動×教育格差

 さらに、経済的余裕がなくなった時に女の子から取り上げられるのが、教育を受ける権利。

 女の子は教育を受ける必要がないと考える大人は多く、子供を何人も学校に行かせられないという状況になった時には、成績にかかわらず、学校に行くのは男の子が選ばれることが多い。また、気候変動によって豪雨や洪水などが頻繁に引き起こされるようになった地域では、学校に通えていたとしても、通学が困難になる。

画像2: プランの石丸さん

プランの石丸さん

気候変動によって発生した災害によって通学路が閉鎖となり、遠くの学校に通わなくてはいけなくなった場合、女の子の教育は男の子に比べて優先されないので交通費を出してもらえず、学校に通えなくなる子もいます。

また、1人っ子であっても、親が使う車や畑を買うために教育費を節約するといった理由から学校に通えない女の子もいます。


 気候変動×経済格差

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 そして、女の子が教育を受けられないことは、彼女たちのその後の人生をまったく別のものにする。

 考える機会や、様々な知識を得られなかった女の子たちは、社会進出をしてお金を稼ぐことや政治に参加することが難しくなり、貧困のスパイラルから抜け出すことが困難になる。さらに、変化を起こせる立場に女性が少ないままとなるため、女性の立場を向上するための動きもなかなか活発にならない。

画像3: プランの石丸さん

プランの石丸さん

例えば多くの国では女性が家事をすることが期待されていますが、そこに賃金は発生しません。そのため経済的自立が難しくなってしまいます。


 気候変動×性暴力

 気候変動による干ばつや洪水といった自然環境の変化は、人々の行動範囲も変化させる。干ばつによって家から遠く離れた場所へ水を汲みにいかなければならない女の子は、その道中で性暴力被害に遭う可能性が高まる。国連は、気候変動によって女性に対する暴力が増加していると発表している。

 また、日本でもよく耳にする災害発生時の避難先における性暴力も、自然災害が増えれば、増える。

画像4: プランの石丸さん

プランの石丸さん

先ほど話に出た、遠くの学校に通わなくてはならなくなった女の子たちのなかには、通学路で安全が確保できないという理由から、学校に通わなくなる子もいます。バイクに乗せてもらう代わりに性行為を要求されるといった事例は、よく聞く話です。


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 女の子・女性は『支援』の時にも差別をうける

 女の子・女性には問題が降りかかることは分かった。しかし、さらに重要な点が、彼女たちは、“支援を受ける時”にも問題に直面することがあるということ。

 災害時の避難所における簡易トイレのプライバシーが保たれていなかったり、避難所での性暴力が発生・放置されたりするといった問題は、日本人でも想像しやすいところ。しかし、例えば、2001年にインドで地震が発生して多くの家が倒壊した時には、復興プロジェクトに女性が関わっていなかったため、キッチンや家畜を飼育する場所など、現地の女性が必要とするスペースのない家が建てられた。

 また、ここ数年では、慈善団体の職員が現地の女の子・女性に性暴力をふるっていたという事実も発覚し、世界に衝撃が走った。

画像5: プランの石丸さん

プランの石丸さん

プランでは、支援から便益を得る人は最低50%以上を女性にすることを心掛けています。また、プロジェクトの形成やモニタリングにも現地の女性に参加してもらい、当事者の声が反映されるようにしています。

そして、スタッフやボランティアだけでなく、コンサルタントチームや調査員といったプランに関わるすべての人が、ジェンダー平等や子供を守るためのポリシーに同意・署名しなければいけません。また、性暴力に関する意識啓発に加え、性暴力を目撃した時やウワサを耳にした時に、どう対処をすれば良いかということを明確にし、被害を受けた人が声をあげられなくても、スタッフ同士がお互いを監視していくという体制を取っています。


 デモへの参加はハードルが高い...、自分に出来ることはなに?

 そんな女の子・女性たちのために、自分も行動したい。そこで多くの人が簡単に出来るのが、女の子たちをサポートし、エンパワメントするために活動している団体を支援すること。

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 気候変動や災害は男性にも女性にも、大人にも子供にも降りかかる。しかし、女の子・女性だから直面する問題が多いうえ、女性が必要とする支援ができていないなど、支援の視点からも抜け落ちることも。

 だからこそ、国際NGO「プラン・インターナショナル」のように、発展途上国で女の子や女性への支援を行なっている団体を応援することは重要。


 女性のための支援を行なうプラン・インターナショナル

 国連公認の国際NGOであるプラン・インターナショナルは、子ども・若者への教育支援や、ジェンダーに基づく暴力や差別のない学校づくり、女の子のリーダーシップ育成と政策提言など、これまでにあげた問題に対する支援を行なっている。

 突発的に起こる災害時の支援においても、女の子や女性たちのニーズに配慮して活動を行なっており、女性の存在を忘れないという非常に重要で価値のある姿勢を見せている。

画像6: プランの石丸さん

プランの石丸さん

プランのスタッフは女性が非常に多いです。一方で男性スタッフも男性の視点からジェンダー平等を実現する取り組みにも力を入れています。

また、直接的な支援だけでなく、現地の政府やメディアと連携していくこともプランが力を入れている点で、政府や社会の姿勢、法整備によって法律を実行していく人の姿勢が変わっていくことで、地域の人々の意識も変わっていくと考えています。


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 プラン・インターナショナルへの寄付は、1ヵ月に1,000円から始めることができ、1回1,000円という単発のものも可能。

・プラン・スポンサーシップ:地域の中で総合的にすすめ、住民の自立を目指すもの。
・ガールズ・プロジェクト:女の子が直面する問題に焦点を当てて解決を目指すもの。
・グローバル・プロジェクト:「紛争と難民」、「気候変動と災害」、「少数民族」、「障がい」、「弱い立場におかれた子どもの保護」のカテゴリーで、プロジェクトを複数実施中。

 一カ月に一回だけ、ランチ代を寄付する。それだけで世界は変わる。

(フロントロウ編集部)

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