11月20日のトランスジェンダー追悼の日に、ラバーン・コックスなど、多くの人々が思いを綴った。(フロントロウ編集部)

トランスジェンダーの人々を狙った犯罪が増加

 2021年は、これまでに最も多くのトランスジェンダーの人々が殺された年となった。

 TGEUによるリサーチプロジェクトTransrespect versus Transphobia Worldwide (TvT)によると、2020年10月から2021年9月にかけて、375人のトランスジェンダーの人々が殺された。これは、2020年の記録から7%の増加となった。また、2020年は2019年から6%の増加数だったこともあり、トランスジェンダーを狙った殺人が今後も増加していくことが懸念されている。

 また、そのうちの96%がトランスジェンダー女性や、トランスフェミニン(※)の人々だった。そして、職業が判明している被害者のうち57%が、セックスワーカーとして働いていた。
 ※生まれたときに割り当てられた性別は男性ながら女性的だと自認している人。

 アメリカにおいては、その被害者のうち89%が有色人種だった。ヨーロッパにおいては、その被害者のうち43%が移民だった。

 そのような背景もあり、今年のトランスジェンダー追悼の日には、多くの当事者や政府関係者が、トランスジェンダーの人々を狙った犯罪について声を上げた。

画像: トランスジェンダーの人々を狙った犯罪が増加

ドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のラバーン・コックス

 「今日はトランスジェンダー追悼の日。今年殺されたトランスジェンダーの仲間たちを覚えてる。みんなの命は重要。今でも重要。2021年は、去年の記録を超えて、アメリカにおいて最も多くのトランスジェンダーの人々が殺された年になった。
 アンチトランスジェンダーの暴力は止めなくてはいけない。暴力というのは直接的なものであることに加え、構造的なものでもある。構造的暴力については、ヨハン・ガルトゥングの考えを読んで。
 私のトランスジェンダーの兄弟姉妹たちへ。あなたたちは美しく、必要で、ここにいるためのすべての権利を持ってる。あなたたちがここにいるのには理由がある。抑圧されないでいよう。何があっても生き延びると決意しよう」


アメリカのジョー・バイデン大統領

 「今年、この国で少なくとも46人のトランスジェンダーの方々が、そして世界ではさらに数百人のトランスジェンダーの方々が、悲惨な暴力行為によって殺されました。その命は1つ1つがかけがえのないものでした。その方々は自由、正義、そして幸福を得るに値していました。トランスジェンダー記念日である今日、私たちは、アメリカのトランスジェンダーにとって記録史上最悪の年に亡くなった人々を追悼するとともに、残酷な暴力や差別、ハラスメントに直面している無数のトランスジェンダー(不均衡に黒人や褐色のトランスジェンダー女性や少女)を追悼します」


リアリティ番組『ル・ポールのドラァグ・レース』のジア・ガン

 「今日は、トランスジェンダー追悼の日。個人的には、非常に苦く甘い日。私たちトランスジェンダーや、様々なジェンダーを持つ人間の間における死亡者の数を減らすために、私たちは何をしてる?あなたの意見が聞きたい。なぜなら私たちは一緒に成長していくから。そして私たちは、一緒に闘い続けていくから」


リアリティ番組『ル・ポールのドラァグ・レース』のカルメン・カレラ

 「これ(“トランスジェンダーの子供たちを守れ”と書かれたパーカー)を着てジムに行った。何人かから質問をもらった。
 今日はトランスジェンダー追悼の日。トランスジェンダー&ジェンダー・ノンコンフォーミング(※)の人々で、自分自身でいることで命を落とした人に敬意を払い、その人々の名前をリストにしたから、その人たちのために黙とうする時間が持てると良いね。私たちが変化になり続けよう。そうすれば、私たちの未来のコミュニティはより安全な世界に行ける」
 ※社会が決めたジェンダー規範に従って生きない人


映画『ハスラーズ』のトレイス・リセット

 「私たちが亡くした人々のことを思ってる。そして、まだここにいる人々を抱きしめてる」


人気司会者のエレン・デジェネレス

 「今日は、トランスジェンダー追悼の日。トランスジェンダー嫌悪による暴力行為によって私たちが失った美しい人々のことを考えています」


 また、『マトリックス』3部作で有名なリリー・ウォシャウスキー監督は、ツイッターで多くの関連ツイートをリツイートし、トランスジェンダー追悼の日にメッセージを示した。

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.