新作映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で周囲に対して威圧的な主人公を演じる俳優のベネディクト・カンバーバッチが、「トキシック・マスキュリニティ(Toxic Masculinity)」の問題について指摘した。(フロントロウ編集部)

映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で主演を務めるベネディクト・カンバーバッチ

 ベネディクト・カンバーバッチが主演を務める映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が、11月19日より全国の一部劇場で公開された。

 12月1日からはNetflixでも配信されるこの映画でベネディクトが演じるのは、周囲に対して威圧的ながら、カリスマ的雰囲気をまとっている牧場主のフィル。1920年代のアメリカ・モンタナ州を舞台に、ベネディクト演じるフィルとその弟のジョージ、弟が結婚する妻と、彼女の息子の4人の関係性をスリリングに描く作品となっている。

ベネディクト・カンバーバッチが「トキシック・マスキュリニティ」の問題を指摘

 カリスマ的な雰囲気を持つフィルのキャラクターも注目ポイントの1つとなっている本作。英Sky Newsとのインタビューに応じたベネディクトは、本作について「トキシック・マスキュリニティ(Toxic Masculinity)」もテーマの1つだと語る。

画像1: ベネディクト・カンバーバッチが「トキシック・マスキュリニティ」の問題を指摘

 日本語では「有害な男らしさ」や「男らしさの呪縛」とされている「トキシック・マスキュリニティ」とは、“弱さを見せてはいけない”、“強くいなければいけない”といった、社会が男性に対して“男らしさ”を設定し、その“らしさ”に沿わない行動や思想を罵ったり、バカにしたりして排斥することや、またはその概念のことを示す。

 「男性たちの振る舞いを正していく必要がある。そのエンジンを覆う蓋を少しだけ上げる必要があるんだ」と英Sky Newsに語ったベネディクトは、「現状や家父長制に疑問を持ち、批判し、ついに問題点を指摘している世界では、それはさらに重要になってくる」と続け、トキシック・マスキュリティを打ち破るためにも、男性たちが振る舞いを正していくことは重要であると力説した。

 ベネディクトはさらに、こうした問題があがった時に頻繁に持ち出される、“すべての男性が悪いわけではない”という「Not All Men(ノット・オール・メン)」という言葉にも言及して、「『すべての男性たちが悪いわけじゃない』みたいな子供じみた弁解のような反発や否定がくることになるけど、そうじゃない。僕らはただ黙って、耳を傾ける必要がある」と、これはあらゆる男性たちが考えなければならない問題だと続けた。

画像2: ベネディクト・カンバーバッチが「トキシック・マスキュリニティ」の問題を指摘

 また、ベネディクトは英Sky Newsとのインタビューで、虐待や抑圧の問題についても触れ、社会はこうした問題に十分に対処できていないと指摘。「虐待や不利益がどれだけあるかを十分に認識できていない。同時に、今ではないかもしれないけど、今後どこかのタイミングで、この映画が描いていることに僕らも取り組む必要があると思う。男性たちを正すために、抑圧的な行動の背景にある理由を調べるということをね」とした。(フロントロウ編集部)

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