Photo:ニュースコム、ゲッティイメージズ、
映画『ハリー・ポッター』シリーズの第1作目である『ハリー・ポッターと賢者の石』は、ストーリー上なくてはならない要素のために、イギリスの法律上の問題で制作が難航してしまった。それを解決した方法は、まさかの法律改変⁉(フロントロウ編集部)

映画『ハリー・ポッター』の制作チームが直面した問題とは?

 映画『ハリー・ポッター』は世代を超えて数多くのファンに愛され続けるファンタジーシリーズ。2021年には公開から20周年を迎え、再び話題を呼んでいる。

画像1: ⓒWARNER BROS. PICTURES

ⓒWARNER BROS. PICTURES

 ダニエル・ラドクリフエマ・ワトソンルパート・グリントといった人気俳優を多数輩出した本作だが、制作時には、ストーリー上なくてはならない要素が問題で、イギリス国内で映画を作ることが難しくなってしまっていた。

 その要素とは、「子供がたくさん登場するところ」。

 『ハリー・ポッター』は、幼いハリーの成長と、ホグワーツ魔法魔術学校での生活がメインの物語。ダニエルやエマをはじめ、何百人もの子役やエキストラを登用した撮影が必須だった。そのうえ、撮影には時間がかかる。また、筆者のJ・K・ローリングは、本作を英国国内で撮影することを望んでいた。

 しかし、当時のイギリスの児童労働法では、午後3時30分以降に労働させることができなかったため、『ハリー・ポッター』スタッフを大いに悩ませたそう。

『ハリポタ』スタッフ、法律を変えるため国会へ

 本作でプロデューサーを務めた一人のダンカン・ヘンダーソンは、ポッドキャスト『Behind the Wand』に出演し、2001年に公開された映画『ハリー・ポッターと賢者の石』の制作について、「最大の問題は、児童労働法を解決しなければならなかったこと」だったと語った。

画像2: ⓒWARNER BROS. PICTURES

ⓒWARNER BROS. PICTURES

 彼は、「最初に(法律を)読んだときは『うわー、この法律はどっから来たものだ?』と思うほど奇妙だった。もともとそれは映画用ではなく、舞台用に作られたものだったから」とコメント。

 子供の労働は搾取や虐待がないように厳しい法律で限定されるべき。とはいえ、映画やテレビの現場に舞台と同じルールがあてはめられるのは適切ではないと考え、子供の人権を守ったうえでルールを調整するため、国会に申し立てに行ったそう!

 その結果、当時映画大臣だったジャネット・アンダーソンと当時首相だったトニー・ブレアの支持を得て、より適切に法律を改正することに成功。若い俳優の1日の労働時間を長くする一方で、全体の労働日数を減らすという変更が行なわれた。アンダーソン元大臣は「子供たちが搾取される危険はない」と述べたという。

画像: ダンカン・ヘンダーソン

ダンカン・ヘンダーソン

 彼は、「大ごとだったが、達成できた。そしてこれは、イギリスの映画コミュニティに貢献する出来事だったと思う。なぜなら、(児童の労働に対する)国際的な基準のある法律がなかったからだ。大半は、全米映画俳優組合やカリフォルニア州の規則に基づいていた。だから、我々が規則を廃止したわけではない。僕らは、それらをより効率的にした」とコメントした。

 とはいえ、1本の映画が国の法律を変えるというのは驚き。こうした苦労の末に映画『ハリー・ポッター』シリーズは完成したのだった。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.