※この記事には、映画『007 スカイフォール』、『007スペクター』のネタバレが含まれます。
『007 スペクター』、悪役のアイディア
1962年から続く映画『007』シリーズでは、ジェームズ・ボンドを演じる俳優たちが映画史に名前を刻んできたが、イギリス情報局秘密情報部MI6の部長であるMも、多くの名優が演じてきた。
『007 スカイフォール』からは、『イングリッシュ・ペイシェント』や『ハリー・ポッター』シリーズのヴォルデモート卿役で知られるレイフ・ファインズが演じているMだが、じつは、彼が悪役になるというアイディアがあったという!
サム・メンデス監督の才能
レイフは、オスカー監督であるサム・メンデスが手掛けたシリーズ23作目でありシリーズ50周年記念作品でもある『007 スカイフォール』からシリーズに出演。そこで、1995年から17年にわたってMを演じたジュディ・デンチからバトンを渡された。『スカイフォール』について、レイフはポッドキャスト番組『Happy Sad Confused』で、サムの手腕を絶賛した。
「サム・メンデスが『スカイフォール』を監督したわけですが、伝えられた設定は素晴らしかったです。ジュディ・デンチのMが死に、次のMに決まり、素晴らしいと思いました。ダニエルのボンドが好きだし、サムの知性やアプローチの仕方、彼のやり方を尊敬しています。『スカイフォール』は素晴らしい脚本でした」
『スペクター』でMが悪役になる予定だった!
しかし、その次作である『007 スペクター』で、問題が発生。じつは、Mがエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドであるとするアイディアがあったという。
「今なら言えますが、『スペクター』においてサムが描こうとしていたM像と闘って、止めなければいけなかったんです。私がMを演じたくないと言ったら、方向転換をして彼を悪い奴にすると。Mは絶対に悪い奴ではない。だからサムと非常に激しい議論をしなくてはいけなくなりました。“私はこれに納得できない…”といったようなね。あれはMがブロフェルドかなにかとでも言うようなものでした。でもそれは超えてはいけない一線でした」
シリーズの名悪役であるエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドは、『スペクター』ではクリストフ・ヴァルツが演じた。正直に言って、Mがブロフェルドであるという展開も気になりはするが、両キャラクターとも歴史のあるキャラクター。そのため、物議を醸すであろう展開に、その2人を組み込むことはリスキーであったことは確実。最終的に、サムもそのアイディアを断念した。
『スペクター』は、2014年に発生したソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントへのハッキング事件で、初期の脚本が流出するという出来事にも見舞われた作品。様々な出来事を経て、映画が完成した。
(フロントロウ編集部)