約3万人の中からマリア役に選ばれたレイチェル・ゼグラー
1957年にブロードウェイ・ミュージカルとして誕生し、1961年には映画化もされた不朽の名作『ウエスト・サイド物語』を、巨匠スティーブン・スピルバーグが50年ぶりに再び映画化した『ウエスト・サイド・ストーリー』が、2月11日についに日本で公開。日本に先駆けて2021年12月に海外で封切られた本作は、批評家たちからも絶賛されており、第79回ゴールデングローブ賞では、作品賞含む主要部門で3部門受賞したほか、先日発表されたアカデミー賞でも作品賞を含む7部門にノミネートされた。
『ウエスト・サイド・ストーリー』あらすじ
夢や成功を求め、多くの移民たちが暮らすニューヨークのウエスト・サイド。だが、貧困や差別に不満を募らせた若者たちは同胞の仲間と結束し、各チームの対立は激化していった。ある日、プエルトリコ系移民で構成された“シャークス”のリーダーを兄に持つマリアは、対立するヨーロッパ系移民“ジェッツ”の元リーダーのトニーと出会い、一瞬で惹かれあう。この禁断の愛が、多くの人々の運命を変えていくことも知らずに…。
本作で、主役の1人であるプエルトリコ系のマリアを演じたのは、なんと本作がスクリーンデビューとなる新人俳優レイチェル・ゼグラー。コロンビア系である母親を持ち、自身もラテン系であるレイチェルは、高校生だった時に臨んだおよそ3万人が参加した約1年におよぶ長期のオーディションで見事にマリア役を射止め、俳優としてのデビューを果たした。レイチェルは本作が初めての映画出演にもかかわらず、2022年の第79回ゴールデングローブ賞で名誉ある主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。早くも最重要若手俳優の1人と目されている。
まだ『ウエスト・サイド・ストーリー』しか出演作が公開されていないレイチェルだが、既に他の大作への出演も決定しており、ディズニーによる実写版『白雪姫』で主人公の白雪姫を演じるほか、DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)映画『シャザム!』の続編である『Shazam: Fury of the Gods(原題)』への出演も決定。ハリウッドから引っ張りだこな存在となっている。
学校のミュージカルで鍛えた力強い歌声
2001年に米ニュージャージー州で生まれたレイチェルが、本格的に俳優を志すようになったのは、12歳だった時に地元の劇場で『屋根の上のバイオリン弾き』に出演したのがきっかけ。レイチェルは「君ならどの役でも代役を務められる」と当時の監督から称賛されたことで、「『残りの人生、これをやり続けてもいいかもしれない』と思いました」と米Town&Countryに明かしている。「『私はこれをやる。実現するまで絶対に休まない』と思ったのです」
その後、高校のミュージカルで『美女と野獣』のベルや『リトル・マーメイド』のアリエルなどを演じて、演技力や歌唱力に磨きをかけていったレイチェル。この時期には、YouTubeに自身のチャンネルも開設。カバー動画などをアップするようになった。
好きなアーティストはテイラーやガガ、アリアナ
普段からミュージカルの楽曲を好んで聴いているというレイチェルだが、もちろん、ポップミュージックも大好きだという。中でもレイチェルのお気に入りは、テイラー・スウィフトやレディー・ガガ、アリアナ・グランデといったシンガーたち。
レイチェルのYouTubeチャンネルでは、レイチェルによる彼女たちの楽曲のカバーを聴くことができ、中でも、レディー・ガガが主演を務めた映画『アリー/ スター誕生』の主題歌「シャロウ ~『アリー/ スター誕生』愛のうた」のカバー動画は、320万回以上も再生されている。
「シャロウ ~『アリー/ スター誕生』愛のうた」のカバー
テイラー・スウィフト「All Too Well(オール・トゥー・ウェル)」のカバー
アリアナ・グランデ「goodnight n go(グッドナイト・アンド・ゴー)」のカバー
俳優としてデビューする以前より、その高い歌唱力で既にYouTubeでは定評を得ていたレイチェル。2019年1月に『ウエスト・サイド・ストーリー』マリア役への抜擢が発表された当時、8万人の登録者がいた彼女のYouTubeチャンネルは、この3年間でさらに多くのファンを獲得し、現時点で21万人を超えるユーザーにフォローされている。
そして、現在では自身の憧れの1人であるアリアナ・グランデにも認知されて、インスタグラムではお互いをフォローする間柄にまでなった。
スティーブン・スピルバーグもその歌唱力に太鼓判を押す
「アイ・フィール・プリティ」
『ウエスト・サイド・ストーリー』に出演するまでは、学校でのミュージカルを除けば、人前で「仕事として」歌唱したのは、結婚式で歌を披露したことがあったのみだったというレイチェルだったが、その歌唱力はオーディションの当初から抜きん出ていたよう。当時16歳だったレイチェルから『ウエスト・サイド・ストーリー』のオーディションのために送った「アイ・フィール・プリティ(I Feel Pretty)」のデモテープが届くと、製作陣は高校生とは思えない見事な歌唱力に圧倒されたという。
オリジナルの『ウエスト・サイド物語』でスティーブン・ソンドハイムが作詞を手がけた「アイ・フィール・プリティ」は、50年以上の歴史のなかで多くの俳優やシンガーたちに歌い継がれてきた名曲だが、レイチェルによるバージョンは、そのどれにも当てはまらない、まったく新しいものだったという。
「レイチェルが録音したテープが送られてきた時、ソンドハイム(の曲)をこんな風に歌うのは聴いたことがないと思いました」と、『ウエスト・サイド・ストーリー』のキャスティング・ディレクターを務めたシンディ・トランは米Town&Countryに証言している。「技術やスキル、感情の表現方法、優雅さや美しさは、17歳にはなかなか見られないようなものでした」
「トゥナイト」
そして、レイチェルがオーディションの時に「アイ・フィール・プリティ」と共にテープを送ったのが、本作でのレイチェルの最初の歌唱シーンとなる「トゥナイト(Tonight)」。
劇中で、1961年版の『ウエスト・サイド物語』でアニータを演じたリタ・モレノ演じる、バレンティーナが披露する「サムウェア(Somewhere)」と並ぶ、『ウエスト・サイド・ストーリー』を代表する名曲の1つである「トゥナイト」を、レイチェルは映画初歌唱とは思えない堂々としたパフォーマンスで歌い上げ、その透き通るようなクリアな歌声で、観る人たちに超大型新人の登場を宣言する。
ア・ボーイ・ライク・ザット/アイ・ハブ・ア・ラヴ
そんな、高校生離れした歌唱力を持つレイチェルでも、特に歌うのが難しかった楽曲の1つが、映画終盤のエモーショナルなシーンの中で披露される「ア・ボーイ・ライク・ザット/アイ・ハブ・ア・ラヴ(A Boy Like That / I Have a Love)」だったそう。
アニータ役のアリアナ・デボーズと共に、2日間にわたって歌唱シーンを撮影したという「ア・ボーイ・ライク・ザット/アイ・ハブ・ア・ラヴ」について、「スコアの中で最も難しい楽曲の1つでした」と米BuzzFeedとのインタビューで振り返ったレイチェルだったが、撮了後にはスピルバーグ監督本人から「素敵な褒め言葉」をもらったという。
「君はエモーショナルなマラソンを走り終えて、見事に勝利を収めたんだ」ースティーブン・スピルバーグ
無名の高校生だったにもかかわらず、約3万人の候補者の中から見事に『ウエスト・サイド・ストーリー』の主役に抜擢されたレイチェル・ゼグラー。実写版『白雪姫』の主役にも抜擢されているレイチェルの、将来有望すぎる俳優としてのストーリーはまだ始まったばかりだが、まずはデビュー作となった『ウエスト・サイド・ストーリー』で披露した、スピルバーグ監督も認めたその圧倒的な歌唱力を映画のサウンドトラックで堪能してみて。
<リリース情報>
スティーブン・スピルバーグ監督作品
作曲:レナード・バーンスタイン
作詞:スティーブン・ソンドハイム
指揮:グスターボ・ドゥダメル
CD購入/ダウンロード/ストリーミングはコチラ
CD発売日:2022年2月9日(水)
CD定価:¥2,750(本体 ¥2,500 税率 10%) 品番:UICH-1017
初回限定特典:プレミアムグッズ応募抽選用シリアルナンバー封入
※ライナーノーツの和訳、歌詞対訳は権利者の意向により封入されておりません。
- プロローグ Prologue
- ラ・ボリンケーニャ(シャークス・ヴァージョン) La Borinqueña (Sharks Version)
- ジェット・ソング Jet Song
- サムシングズ・カミング Something's Coming
- ダンス・アット・ザ・ジム:ブルース、プロムナード
The Dance at the Gym: Blues, Promenade - ダンス・アット・ザ・ジム:マンボ The Dance at the Gym: Mambo
- ダンス・アット・ザ・ジム:チャチャ、ミーティング・シーン、ジャンプ
The Dance at the Gym: Cha-Cha, Meeting Scene, Jump - マリア Maria
- トゥナイト Balcony Scene (Tonight)
- トランジション・トゥ・スケルツォ/スケルツォTransition to Scherzo / Scherzo
- アメリカ America
- ジー、オフィサー・クラプキ Gee, Officer Krupke
- ワン・ハンド、ワン・ハート One Hand, One Heart
- クール Cool
- トゥナイト(クインテット) Tonight (Quintet)
- ランブル The Rumble
- アイ・フィール・プリティ I Feel Pretty
- サムウェア Somewhere
- ア・ボーイ・ライク・ザット/アイ・ハブ・ア・ラヴ A Boy Like That / I Have a Love
- フィナーレ Finale
- エンド・クレジット End Credits
サウンドトラック・アルバム
プロデューサー:デヴィッド・ニューマン, マット・サリヴァン & ジェニン・テソリ
エグゼクティブ・サウンドトラック・プロデューサー :スティーブン・スピルバーグ、クリスティ・マコスコ・クリーガー
音楽編曲:デヴィッド・ニューマン
音楽監督: マット・サリヴァン
ボーカル監修・指導: ジェニン・テソリ
(フロントロウ編集部)