ジョー・ローガンのポッドキャストをめぐりスポティファイに批判
音楽ストリーミングサービスの大手であるスポティファイが、そのポッドキャストをめぐって揺れている。問題視されているのは、スポティファイで2021年に“世界で最も人気があるポッドキャスト”にもなった、ジョー・ローガンが司会を務める大人気ポッドキャスト『The Joe Rogan Experience(原題)』で、ジョーをめぐっては、新型コロナウイルスのワクチンについて根拠のない誤った情報を拡散しているとして、270人の医者や研究者たちがスポティファイに対し、彼が番組で誤情報を拡散することを阻止するよう求める公開書簡に署名している。
そうしたなか、スポティファイで音楽を配信していた大物ミュージシャンのニール・ヤングも先日、昨年にスポティファイと約110億円(1億ドル)の独占契約を締結したとされるジョーについて懸念を表明。
米Rolling Stoneによれば、ニールは「私がこのような行動を起こすのは、スポティファイがワクチンについての偽の情報を拡散し、彼らによって拡散された虚偽の情報を信じてしまった人たちに死をもたらしかねないからです」と綴った公開書簡のなかで、「どうか今日すぐに行動を起こし、その(今後の計画についての)スケジュールを私に共有してください」と、スポティファイに対してすぐにワクチンの誤情報について対処するように請願。
「私が今日、スポティファイに伝えたいのは、彼らのプラットフォームから私の音楽をすべて取り下げてほしいということです。彼らが残せるのは、(ジョー・)ローガンかヤングです。両方ではありません」と続けて、スポティファイがジョーの番組を取り下げないのであれば、自身の音楽を取り下げるよう求めた。
ニール・ヤングやジョニ・ミッチェルらがスポティファイを撤退
その後、スポティファイ側はジョーを取り下げることはせず、代わりにニールの音源のほとんどすべてが取り下げられることとなった。スポティファイは発表した声明で、「リスナーたちの安全とクリエイターたちの自由のバランスを取る責任がある」とした上で、「パンデミックが始まってからこれまでにCovidに関連した、2万を超えるポッドキャストのエピソードを削除してきた」と強調。その上で、「我々は音楽をスポティファイから削除するというニールの決断を残念に思っていますが、彼をまたすぐに迎え入れられることを願っています」とした。
ニールの決断は多くの反響を呼ぶこととなっており、ロックの殿堂入りを果たしている大御所であるジョニ・ミッチェルはニールの決断に賛同して、自身もスポティファイから音楽を取り下げることを表明。「私はスポティファイから自分の音楽をすべて取り下げることを決意しました。無責任な人たちが拡散している嘘が、人々の命を危険に晒しているのです。私はニール・ヤングや、この件に関する世界中の科学や医療のコミュニティと結束します」とジョニは声明を発表した。
また、ニールに賛同する形で、こちらもロックの殿堂入りを果たしているニルス・ロフグレンもスポティファイから音源を取り下げることを表明している。
ヘンリー王子とメーガン妃がスポティファイについてコメント
そうしたなか、スポティファイとポッドキャストの契約を結んでいるヘンリー王子とメーガン妃も今回、この問題についてコメントを発表。
2人は自分たちの非営利団体であるアーチウェル財団のスポークスパーソンを通じて声明を発表して、「数億人もの人々が日々、横行している誤った情報や虚偽の情報に傷つけられています。昨年4月、我々の共同創設者たちはパートナーであるスポティファイに対し、そのプラットフォーム上におけるCovid-19にまつわる誤情報のために引き起こされている、現実としての結果についての懸念を表明しました」と、スポティファイに懸念を表明したことを明らかに。
「この公共の健康的な危機において、スポティファイがそのプラットフォームを支援のために提供できるよう、我々は継続してスポティファイに懸念を表明して来ました。我々は、スポティファイがこの状況に向き合うことを願っており、今後も協力して仕事ができればと思っております」として、スポティファイがこの件にいち早く対処してくれることを求めるとした。
ヘンリー王子とメーガン妃は2020年12月にスポティファイと複数年契約を締結したことを発表。スポティファイは当時、2人が「ポッドキャストの司会やプロデュースを通じて、経験や物語、価値観を共有するコミュニティを築いていく」と発表していた。記事執筆時点で、スポティファイはヘンリー王子が懸念を表明したコメントについてリアクションしていない。(フロントロウ編集部)