キャスティングでいろいろあった『BTTF』
1作目の公開から35年以上が経っても、今なお愛される名作SF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作。
映画の中に登場した様々な近未来的アイテムやストーリーだけでなく、主人公のマーティ・マクフライを演じたマイケル・J・フォックス、デロリアンをタイムマシンに改造した博士のドクを演じたクリストファー・ロイド、ロレイン・マクフライ/マギー・マクフライを演じたリー・トンプソンといったキャストたちも、作品が長く愛されている理由の1つとなっている。
一方で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は3作品を通してキャスティングで様々な問題が発生していたことでも知られる。マーティの父であるジョージ・マクフライを演じたクリスピン・グローヴァーと制作陣は著作権関連の問題で裁判となり、1作目でマーティの恋人ジェニファーを演じたクラウディア・ウェルズは、母親が癌にかかっていることが発覚し、2作目と3作目の出演を辞退。エリザベス・シューがその後を担った。
エリック・ストルツが決定していたマーティ・マクフライ役
そして、主人公のマーティすらも、当初はマイケルが演じる予定ではなかった。最初にマーティ役として決定していたエリック・ストルツは、撮影にも参加しており、1カ月以上が経った時に、マイケルへの交代が発表された。
さらに、ドクを演じたクリストファーによると、エリックは明らかにマーティに合っていないというようなことはなく、俳優交代を告げられた時には驚いたという。米GQのインタビューで、彼が当時を振り返った。
「別の俳優がいて、マイケルは私たちが撮影を始めてから6週間後にやって来ました。制作陣は、コミカルな才能を持った人が必要だと判断したんです。ストルツは素晴らしい俳優で、私はそのような変更が起こるとは思いもしていませんでした。ある晩、私たちはショッピングモールで撮影していました。冒頭のシーンですね。深夜1時に1台のトレーラーに集まるように言われ、そこにはプロデューサーのスティーヴン・スピルバーグがいて、その変更を発表しました。私が一番恐れていたのは、私はドクを正しく捉えるために本当に努力していたし、それがスタート地点だったので、“それをもう1度やれるだろうか”と思いました」
自分が役をおろされたわけではなかったが、“新しい相棒”とふたたび一から始めなければならないというのは、彼にとってもプレッシャーだったよう。
しかしクリストファーが「心配したけれど、でもすべてはうまくいきましたね」と話すように、彼とマイケルのコンビがどれほどぴったりだったかは、ご存知のとおり。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のキャストは今でもたまに再会しているところが目撃されるほどの絆を育んだ。
クリストファーは、「マイケル(と私)には、途切れることのない相性があったんです。休暇のあとでも、戻ってきてすぐに(役の空間に)いることができる。そのために努力する必要もなかった。それは素晴らしいことでした」と語った。
(フロントロウ編集部)