映画やドラマの「女性向け・男性向け」は必要ない
女性である自分の好きなあの作品は、男性向けってことにされている。男性である自分の好きなあの作品は、女性向けってことにされている。
そんな違和感を覚えたことがある人は、どれくらいいるのだろうか? そこで、フロントロウ編集部がアンケート調査を実施。
「映画やテレビ作品の“女性向け・男性向け”という考えに違和感を覚えますか?」という質問において、最も多かった回答は「はい」という結果になった。
また、女性でも、男性でも、性別を回答しなかった回答者でも、最も多かった回答は「はい」という結果となった。
女性回答者からの意見では、現実に即していないマーケティングによって逆に観客を劇場から遠のかせているという声、映画そのものとマーケティングが合っていないことがあるという指摘、マーケティングによって観客側にもジェンダーバイアスが生まれているという経験談、マーケティングにおける女性の性的モノ化を問題視する声など、鋭い意見が多く寄せられた。
さらに、男性回答者からもバイアスがかかった“男性向け“マーケティングや、性的な内容を含む広告への厳しい意見が寄せられた。
よく見るジャンルは女性と男性で違うのか?
続いて、よく見る映画・テレビのジャンルを複数回答可で答えてもらった。
項目は、アクション、SF、コメディ、ヒューマンドラマ、ミステリー、サスペンス、アニメ、ホラー、ファンタジー、戦争・ミリタリー、ロマンス、青春、ドキュメンタリー、ファミリー、ミュージカル、その他からなる15個から。
その結果、性別によって結果の順番に違いはあれど、回答のトップ3のうち2つは同じジャンルが選ばれるという結果になった。
女性・男性の好きな映画は?
回答者につき最大3つまでで、好きな映画のタイトルを自由回答してもらったところ、人気が高かったのはさすがのMCU映画。また、『スター・ウォーズ』や『ハリー・ポッター』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』など、老若男女問わず楽しめる作品は根強い人気を誇るよう。
個人の好みや趣味を考える時はその人の性別で勝手に傾向を予想しがちだが、実際には、生まれた時から女性はこの映画・ドラマが好き、男性はこの映画・ドラマが好き、ということはない。
ジャンルや作品に“女性向け/男性向け”というラベルを貼ってしまえば、エンターテイメントをより多くの人に楽しんでもらうためのマーケティングのはずが、逆に興味を持つ人を作品から遠ざけて観客を減らしてしまう結果になりかねない。さらに、そういったバイアスが、「あの作品を好きなんて男っぽいね」「女なのに珍しいね」といったジェンダーバイアスのある価値観/会話を生み出す原因になる。
何が女性と男性を分けるのか。分けるべきなのか。“女性向け・男性向け”という考えに違和感を覚えている人が半分以上となった今、その点に関して考えるべき時が来ている。
(フロントロウ編集部)