※この記事には、ドラマ『ウォーキング・デッド』シーズン11のネタバレが含まれます。
ユミコの設定、原作ではミショーンのものだった
現在、ついに最終章となるシーズン11に突入したドラマ『ウォーキング・デッド』。シーズン11では新たな共同体のコモンウェルスが物語のカギを握る重要な存在となっている。
コモンウェルスには、ユージーンとユミコ、エゼキエル、プリンセスの4人がまず先に足を踏みいれ、ついにダリルやキャロルといったメンバーも合流した。
先にコモンウェルスに連行された4人はひどい扱いをされたが、ユミコの兄トミがコモンウェルスにいたことが発覚し、コモンウェルスに残ることに。これまで、ユミコのバックグラウンドはあまり深堀りされてこなかったが、ここにきて描かれることに。
エレノアと、トミを演じたイアン・アンソニー・デイル。
そしてじつはこの設定、原作のコミックではミショーンに起こるものだったのをご存じだろうか?
ユミコの展開、そのアイディアはずっと前からあった
コミック版では、ユージーンに連れられたグループがオハイオ州にあるコモンウェルスに到着し、そこでミショーンは生き別れになっていた娘のエロディと再会するのだ。
10年以上続いてきたドラマでは、コミックと異なるところは多々あり、これもその1つと言える。とくに、ミショーンを演じるダナイ・グリラはシーズン9をもって本シリーズを卒業しており、彼女がコミック版と同じ道をたどることはなかった。
ミショーンの設定を自身が受け継ぐことになったユミコ役のエレノア・マツウラは、シーズン9で『ウォーキング・デッド』に初登場した時は、ケリーやコニーといった他のメンバーと一緒だったため、「5人のうちの1人」という感覚だったと振り返る。
そんなユミコの物語が進みだしたのは、シーズン10からだと感じているようで、エレノアは米Comicbookのインタビューで、「シーズン10を通して、観客がそうだったように、私も自分の素晴らしいバックストーリーについて細かなところまで学び始めました」と話す。
そして、シーズン11のパート1で明らかになったユミコの歴史。しかしそれは、ただミショーンがいなくなったから起こったことではなく、長らく計画されていたことだったという。
「私がこのシーズンで気がつき、驚いたことは、制作陣はこのストーリーラインを本当に長い間考えてきたということです。これが長く考えられてきて、しかもそれはコミック版ではミショーンの話ですから、驚きですよね。私がそのストーリーラインを受け継ぎましたが、そうするまでに、かなり長い間、制作陣にはこのアイディアがあったはずです。
これは、The Living Dead(※)の世界観において、スタッフがキャラクターを進めたい方向へと操り人形のように操っているということを再認識させました。もう地図になっているんです。私が(コモンウェルスへ)行くかなり前から書かれていたことなんです」
※ゾンビ映画の金字塔的作品である『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が構築した、現代的なゾンビ作品の世界観を差す言葉。『ウォーキング・デッド』もこの世界観を踏襲している。
となると、もしダナイがドラマを卒業していなかったら、どのような展開になっていたのかも気になるところ。とはいえ、ミショーンとリックが恋仲になるのもまたドラマでのオリジナルの展開で、これが無ければミショーンがリックを探して旅に出ることもない。
ドラマでのオリジナル要素と、原作での展開を様々に組み合わせている制作陣の頭の中には、複雑な地図が出来上がっていそう。
(フロントロウ編集部)