ヒーローも悪役も勢ぞろいな『ザ・バットマン』
マット・リーヴス監督による映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』が大ヒットを記録している。
本作はDCコミックスを原作とした単独映画であり、『ダークナイト』3部作や『ジョーカー』といった単独作品に続くリリース。大きな期待に見事に応えた本作は、制作陣の技術だけでなく俳優たちの演技力も評価されている。
DCコミックス作品では、ジョーカーやベインといった悪役も非常に大きな存在感を放ち、危険な魅力でファンの心を掴んできた。そして『ザ・バットマン』では、リドラーがメインのヴィランとして選ばれ、ポール・ダノが演じた。
リドラー役のポール・ダノが眠れなかったシーン
映画『リトル・ミス・サンシャイン』や『それでも夜は明ける』、『スイス・アーミー・マン』など、多くの作品に名脇役として出演してきたポールは、カメレオン俳優として知られる。
リーヴス監督も「ポールは本当にカメレオンですから」と言っているほどで、脚本を書いている時点で、リドラー役にはポールが思い浮かんでいたという。
カメレオン俳優として様々な役柄を演じてきたポールがリドラーとなることには、多くのファンも適役だと感じていた。本編を見ればそれが事実だと分かるが、一方でポールは、本作の撮影中に眠れない夜も過ごしていたそう。猟奇的な知能犯を演じたポールが、撮影によって眠れなくなってしまったシーンとは?
「ピーター・サースガードのキャラクター(ギル・コルソン地方検事)とのシーンがあるんですが、あれはクレイジーでした。その頃、自分が必要とするほどは眠れない夜が何度かありましたね。自分のキャラクターから脱するのが少し難しくて。あの役になりきるのはかなりのエネルギーを必要とするんです。だから一度なりきったら、それを保たなけばいけない感じです。なりきって、それを止めるというのは大変なので」
米EWのインタビューで、撮影について振り返ったポールの口ぶりからは、ヴィランを演じる苦労が伝わってくる。
また、彼によると、身体的な理由からも眠れない夜があったそう。
ポールは、リドラーは犯行現場に自分のDNAを残さないためにプラスチックのマスクを被るのではないかと考えたそうで、監督とともに実践してみたそう。しかし、そのマスクでは暑さが問題になってしまったという。
「暑さで頭痛がしていました。それを被って初めてフルで撮影に参加した日で、その夜には眠れないところでしたよ。自分の頭に何が起こっているのかと怖かったんです。汗と暑さと、空気の欠如で頭が圧縮されている感じでした。クレイジーな感覚でした」
夜になっても頭痛が引かないほどのマスクは、あまりに危険だろう。衣装部によって、もう少し息がしやすく、被り心地の良いデザインになったとのこと。
『ザ・バットマン』には、ポールのほかにも、コリン・ファレルやバリー・コーガン、ジョン・タトゥーロなどが悪役で出演。本作では、ヒーローたちだけでなく、悪役たちの変貌っぷりや演技にも注目。
(フロントロウ編集部)