女性の服装は性暴力加害の言い訳にはならない
イギリスのアパレルブランドであるPrettyLittleThingが、2022年の国際女性デーに「My Dress Doesn't Mean Yes(私の服装はイエスという意味じゃない)」というキャンペーンを実施した。
これは、性暴力および性暴力被害者に対する「ヴィクティム・ブレーミング(被害者非難)」を批判するもの。
女性がジェンダーに基づく犯罪に遭った時、多くの場合で、「なぜ1人でいたのか」「なぜ夜に外にいたのか」「家の鍵を締めていなかったのか」といった被害者非難が起こる。
そして、性犯罪被害の場合に多く言われるのが「どんな服を着ていたのか」「なぜそんな服を着ていたのか」といったようなこと。
どんなファッションを楽しもうと個人の勝手だが、肌を露出した服装をする女性には、普段から怪訝な目が向けられることは多く、性的な視線を向けられたり、性暴力被害に遭ったりすると「女性側の責任」だとされることは多い。
しかし、女性がどのような恰好でいたとしても、それが犯罪をして良い理由、セカンドレイプをして良い理由になることはない。男性なら、例え暑くて服を脱いでも、酔って服を脱いでもレイプされないだろう。
そこでPrettyLittleThingは今年、イギリスやアメリカで性暴力被害に遭った女性を支援する団体や、女性の人権のために活動する団体とパートナーシップを結んだ。
「My Dress Doesn't Mean Yes」というメッセージがプリントされたトートバッグと、対象のワンピースの売り上げを全額寄付する。
肌を露出していなくても性犯罪被害に遭うことはある
被害者非難では、女性の服装がターゲットにされることが多いが、これまでにレイプ被害に遭った人全員が露出の多い恰好をしていたわけもない。
2017年にアメリカのカンザス大学で、「何を着ていた?(What Were You Wearing?)」というエキシビションが開催された。そこでは、レイプ被害に遭った女性たちが被害当時に着ていた服装が展示されたが、Tシャツやズボンが多いことが話題になった。
レイプ被害に遭った女性の服装をまとめるエキシビションやアートプロジェクトはこれまでに多数行なわれており、それらでも肌の露出がない服装が確認されている。
また、今回PrettyLittleThingがパートナーシップを結んだ性暴力被害者の支援団体であるThe Survivors Trustは2017年に、レイプ被害者が被害に遭った当時着ていた服装を基にしたファッションショー「The Guilty Clothes Collection」を発表して大きな話題を集めた。
(フロントロウ編集部)