昔より少なくなってる? シュリンクフレーションとは
お気に入りのお菓子やファストフードを食べていて、「あれ? 何だか前より小さくなってない? 」「昔よりも数が減っている…!」と気づき、衝撃を受けた経験が最近増えていないだろうか。
地味にショックなこの現象は、「シュリンクフレーション」と呼ばれるものかもしれない。
シュリンクフレーション(Shrinkflation)、略して「シュリフレ」は、「Shrink(縮小)」と「Inflation(インフレ)」の合成語。日本では別名「ステルス値上げ」とも呼ばれる。
これは、メーカーが原材料の高騰や消費税アップなどにより商品の値段を上げたい場合、あからさまに値上げをすると消費者たちが敬遠して売り上げが落ち込んでしまうのを避けるために講じる奥の手。
価格やパッケージは変えず、内容量や1個あたりのサイズをこっそりと縮小させることで、実質的な値上げを達成している。
ドリトスが5枚減となり大騒ぎに
近年、日本でもSNS上で以前の商品と現在の商品を並べて比較する写真を投稿し、企業によるシュリフレを指摘するケースが相次いでいるが、2022年2月の消費者物価が前年比7.9%上昇したことを発表したアメリカでは、食品だけに限らず、シャンプーやトイレットペーパーといった日用品にもシュリフレの波が。
米Fox Newsによると、人気スポーツ飲料のゲータレードやパンテーン社のコンディショナーといった商品も価格は据え置きのまま内容量が縮小したことが確認され、フリトレー社が販売するスナック菓子ドリトスにいたっては、以前よりも14g減。枚数にして5枚分減ったことを同社が米Quartzに認め、この情報はSNS上で悲報として広く拡散した。
フリトレー社の広報は「インフレはみんなに影響しています。私たちは、お客様にこれまでと同じ値段でわが社のチップスを楽しみ続けていただけるよう、1袋あたりほんの数枚減らしました」とコメント。アナリストによる分析によると、同社はこのステルス値上げにより、約5000万ドル(59億円)の収益減を免れるものと見込まれている。
シュリフレを“利用”している企業もいる?
シュリンクフレーションは消費者の負担を増やさない、つまり“お客様ファースト”な施策だと強調されることが多いが、本当に全てがそうなのか?という疑問の声も強い。
もちろん、実際に物価上昇のあおりを受けて、自社の努力ではまかないきれず、商品価格を上げざるを得ないメーカーがあるのは間違いな。ただ中には、物価上昇を理由に商品価格を上げて収益を伸ばしている大企業がいるのではという疑惑の目が向けられている。
New York Timesによると、米マクドナルドは2021年、ほかのファストフードチェーンと同様、物価上昇に伴う利益率の維持を目的として各メニューの価格を6%増。一方で収益は前年から59%アップし、過去最高となる230億ドルを記録した。米スターバックスは、2021年の10月から12月にかけて31%収益増だったにもかかわらず、サプライチェーンの混乱や人件費の上昇を理由に値上げを発表。消費者の負担を増やすことで純利益を底上げしようとしていると一部で批判されている。 (フロントロウ編集部)