ジェシカ・チャステインが、映画『タミー・フェイの瞳』の演技で第94回アカデミー賞の主演女優賞を受賞。受賞スピーチのなかで、LGBTQ+コミュニティへの連帯を示した。(フロントロウ編集部)

ジェシカ・チャステインが第94回アカデミー賞の主演女優賞を受賞

 ディズニー公式動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」のスターにて配信されている映画『タミー・フェイの瞳』に主演したジェシカ・チャステインが、 『ロスト・ドーター』のオリヴィア・コールマンや『Parallel Mothers(原題)』のペネロペ・クルス、『愛すべき夫妻の秘密』のニコール・キッドマン、『スペンサー』のクリステン・スチュワートをしのいで、第94回アカデミー賞授賞式で主演女優賞を獲得した。

画像: ジェシカ・チャステインが第94回アカデミー賞の主演女優賞を受賞

 1970年代から80年代にかけて、キリスト教福音派のテレビ伝道師として愛のあるメッセージを発信し続けて大きな成功を収めた実在の人物であるタミー・フェイを演じ、見事に自身初のアカデミー賞を受賞したジェシカ。

 彼女は「私たちは今、多くのトラウマや孤立で満たされた難しい時代から外へ出ようとしている途上にいます」と語った受賞スピーチの中で、「アメリカでは、自殺が主な死因になっています。そのことは多くの家族に影響を与えていますし、私の家族にも影響を与えています。とりわけ、場違いではないかと頻繁に感じてしまうLGBTQコミュニティの方々は特にそうだと思います」と述べ、アメリカにおける自殺者数の多さに警鐘を鳴らして、特に社会からの抑圧を感じやすいLGBTQコミュニティに思いを馳せた。

 続けて、ジェシカは具体的な法律の内容にこそ触れなかったものの、現地時間3月8日に米・フロリダ州で可決した、通称「ゲイと言ってはいけない法案(Don't Say Gay bill)」こと、教師が生徒と性的指向や性自認といったLGBTQ+の話題について話し合うことを小学3年生以降になるまで禁止する法案についても暗に批判した。

 「私たちは今、さらに私たちを分断するという目的しかない、差別的で凝り固まった法律に国を一掃されそうになっています。世界中では、無実の人々に対する暴力やヘイトクライムが続いています」と語ったジェシカは、自身が演じたタミーの愛に満ちた思想に触れて、「このような時代に、私はタミーに思いを馳せ、彼女の革新的な愛の行動にインスピレーションを受けています。私たちは愛についてたくさん話をしました。私は彼女の思いやりの心に感銘を受け、それが私たちを前へと導いてくれる希望の光だと思っています。私たちらしさを認めてほしいという私たちの欲求や、愛する人のことを認めてほしいという欲求、暴力への恐怖や恐れを感じる必要のない人生を生きたいという欲求を結びつけてくれるものです」とスピーチ。

 「希望のなさや孤独を実際に感じているというすべての人たちに、あなたは、ありのままで無条件に愛されている存在だということを知ってほしいです」と呼びかけ、あらゆる人たちへのサポートを示した。

メイクアップ&ヘアメイク・アーティストにも感謝したジェシカ・チャステイン

 映画『タミー・フェイの瞳』はまた、今年のアカデミー賞でメイクアップ&ヘアスタイリング賞も受賞。ジェシカは授賞式の前、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の授賞式がフル尺ではテレビ放送されないことに抗議するため、授賞式をボイコットする可能性も示唆していたが、最終的には出席を決断。

画像: メイクアップ&ヘアメイク・アーティストにも感謝したジェシカ・チャステイン

 主演女優賞の受賞スピーチでは、監督を務めたマイケル・ショウォルターへの感謝を述べた後で、「リンダ、ステファニー、ジャスティンという、私が彼女(タミー)を見つける手助けをしてくれた素晴らしいヘアとメイクアップのチームにも感謝しています」と、メイクアップ&ヘアスタイリングのチームへの感謝も伝えた。(フロントロウ編集部)

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