第64回グラミー賞授賞式、主要4部門の受賞結果が出揃う
4月3日(日本時間4月4日)に米・ネバダ州ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで第64回グラミー賞授賞式が開催され、全11部門にノミネートされていたジョン・バティステが、アルバム『ウィー・アー』での主要部門の最優秀アルバム賞受賞を含む、全5部門を受賞して、今年の最多受賞者となった。
そして、その他の主要部門では、主要4部門のすべてにノミネートされて今年の最注目アーティストの1人だったオリヴィア・ロドリゴが最優秀新人賞を受賞。ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークからなるスーパーユニットであるシルク・ソニックが、大ヒット曲「Leave The Door Open」で最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞の2部門を受賞した。
アフリカ系とアジア系のアーティストが主要4部門を制す
注目すべきは、主要4部門を受賞した4組全員が、アフリカ系かアジア系のルーツを持っているということ。ニューオーリンズで活躍するミュージカルの大御所ライオネル・バティステとハロルド・バティステを叔父に持ち、エリート音楽一家で育ったジョン・バティステは、授賞式では黒人のレプリゼンテーションをテーマにしたMVも話題になった楽曲「FREEDOM」をパフォーマンスした。
加えて、オリヴィア・ロドリゴは、アイルランド系とドイツ系の血を引くアメリカ人の母とフィリピン系アメリカ人の父を持つ19歳。また、シルク・ソニックは2人ともがアジア系にルーツがあるユニットとなっていて、ブルーノ・マーズはフィリピン系の母親とプエルトリコ系の血を引く父親とのもとに、アンダーソン・パーク韓国系の母親とアフリカ系の父親のもとに生まれている。
昨年の第63回授賞式では、ビリー・アイリッシュ(年間最優秀レコード賞)、テイラー・スウィフト(年間最優秀アルバム賞)、H.E.R.(年間最優秀楽曲賞)、メーガン・ジー・スタリオン(最優秀新人賞)という4人の女性アーティストたちがそれぞれ1部門ずつ受賞して話題になったが、今年の授賞式では、アフリカ系とアジア系のアーティストたちがこれらを独占する結果となった。
グラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーは昨年、第64回グラミー賞授賞式を開催するにあたり、あらゆる水準で平等やインクルージョンを実現するための“インクルージョン・ライダー(※)”を組み込むことを発表。候補者や授賞式当日のキャスト、クルーを選ぶ際にこれまであまりレプリゼンテーションがなかった人々を積極的に選んでいくとしていた。
※俳優のフランシス・マクドーマンドが映画『スリー・ビルボード』で主演女優賞を受賞した2018年の第90回アカデミー賞で行なった受賞スピーチがきっかけで公に広まった言葉で、雇用やキャスティングにおける多様性を約束するための条項。
黒人アーティストとしては、2008年にハービー・ハンコックが『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』で受賞して以来、14年ぶりに最優秀アルバム賞を受賞したジョン・バティステは、「私は、この世に最高のミュージシャンや最高のアーティスト、最高のダンサー、最高の俳優はいないということを、心から信じているんです」と語った、その受賞スピーチも大きな話題になった。(フロントロウ編集部)