ウィル・スミスがアカデミー賞「出禁」に
アカデミー賞を主催するハリウッドの映画芸術科学アカデミーが、平手打ち騒動の渦中にあるウィル・スミスに対し、この先10年間、同団体主催のイベントへの出入りを禁止することを発表した。
アカデミー会員宛てに出された公開書簡には、現地時間4月8日に召集された理事会における協議の結果、ウィルに対し、同日から10年間、アカデミーに関連するすべてのイベントや番組への参加を禁じるとの旨が記載。
アカデミー賞授賞式の放送中にウィルがステージ上で起こした行動に際して直ちに措置を講じなかったことを謝罪したほか、ウィルからの予期せぬ攻撃を受けながらも平静を保ち、番組を滞りなく続行させようとしたクリス・ロックに対しては、「深く感謝する」と述べた。
以下、デヴィッド・ルービン会長とドーン・ハドソンCEOの連名で出されたアカデミーの声明をフロントロウが全文訳。
第94回アカデミー賞は、私たちのコミュニティにおいて過去1年間に素晴らしい功績を挙げた人々を祝福するためのものでした。しかし、それらの瞬間には、ステージ上でのスミス氏の予期せぬ有害な行為により、暗い影が落とされました。
私たちは、該当の出来事について放送中に適切に対処しませんでした。その件に関して、お詫びいたします。ゲストや視聴者、世界中のアカデミー会員の皆さんに対して模範を示すべきでしたが、私たちの対応は不十分でした。前例の無い出来事への対処の仕方が準備できていなかったのです。
本日、アカデミー賞におけるウィル・スミス氏の行動にどのように対処すべきか、そして、彼からの退会の申し入れについて協議するため理事会が開催されました。理事会は、2022年4月8日から10年の間、スミス氏に対し、アカデミーが主催する授賞式やそのほかのイベントに対面およびバーチャルでの参加を禁じることを決定しました。
私たちは、非凡な事態において平静を保った(クリス・)ロック氏に感謝の意を表します。そして、ホストやノミニー、プレゼンター、受賞者のみなさんの放送中の落ち着いた振る舞いや柔軟性にも感謝します。
今日の私たちのウィル・スミス氏の行動に対するアクションは、今後、パフォーマーやゲストを守り、アカデミーの信頼を取り戻すためのより大きな目標へのステップです。これにより、騒動の関係者や影響を受けた人々が癒やしと回復の時を始められるよう願っています。
ウィルは騒動後、自身の行動を謝罪したうえで、映画芸術科学アカデミーからの退会を自ら申し出ていた。
アカデミーからの発表を受け、ウィルは「アカデミーの決定を受け入れ、尊重します」と短い声明で応じている。
オスカーはく奪はまだ不明
3月27日に行なわれた授賞式で映画『ドリームプラン』で念願だった主演男優賞に輝いたウィル。
ビンタ騒動後の受賞スピーチでは、涙を流しながら、自身の行動がほかの候補者や受賞者たちにおよぼした影響を詫び、妻ジェイダの脱毛症をジョークのネタにしたクリスに対して攻撃的になってしまった自分について、『ドリームプラン』で演じたテニス界のレジェンド姉妹セリーナ&ヴィーナス・ウィリアムズの父リチャードの生き方になぞらえて「クレイジーな父親みたい」と遠回しに表現した。
この時、会場からは拍手が上がり、ウィルの行動を咎める雰囲気はなく、感動的なムードで終わったが、番組を見ていた人々の間では賛否両論に。
世間では、ウィルの行動を「妻を守った勇敢な夫」と評価する声がある一方で、「いかなる場合でも暴力は許されない」とオスカー返上もしくは、はく奪が妥当だという議論も巻き起こった。
アカデミーは、今回の声明を通じて、ウィルの退会を受け入れることは明らかにしたものの、ウィルに対してオスカー像の返上を求めるか否かは明らかにしていない。(フロントロウ編集部)