シム・リウが自分をクビにした会社と上司に“ありがとう”
MCU初のアジア系ヒーローを主人公にした映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』で主演を務め、人気俳優の仲間入りを果たしたシム・リウが、自身のインスタグラムを通じて10年前に自分をクビにした会社に“感謝”した。
シムによると、今から10年前の4月12日に、当時勤めていたデロイト(Deloitte)をクビになったという。マネージングパートナーのオフィスに呼び出され、即刻解雇を言い渡されたシムは、直ちに荷物をまとめると、誰からも別れの言葉や励ましの言葉をかけられることなく、屈辱の念を抱いたまま職場を去った。
「人生が終わったと思いました。家族が自分に投資した数えきれないほどの時間とお金を無駄にしてしまったのです。何年にもわたる学校教育、英才教育、両親の期待に応えようとしたこと。そのすべてが一瞬にして崩れ去りました」。当時の心境をこう綴ったシムだが、もしそのとき仕事をクビになっていなかったら、今のキャリアはなかったかもしれない。だからこそ、4月12日はシムにとって特別な日なのだそうで、毎年4月12日になると面白くも複雑な気分になることを明かすと同時に、クビになってからの10年間を振り返った。
「マルコム・グラッドウェルの本を読んだことがある人もいると思いますが、彼の予測は的を得ていました。10年、あるいは10,000時間。ここに行き着くまでの旅路は信じられないものでした。そのうちの4年間は、どうすればこの業界に入れるか、頭の足りない鶏のように走り回り、クレジットカードの支払いと格闘しながら、どんな仕事でも引き受けました。さらに別の3年間は、ハリウッド進出を目指して、多くの人が夢物語と呼ぶものに私の貴重な生活資金をつぎ込みました。何をやっても実を結ぶようになったのは、本当にここ3年ぐらいの話です。私の成功には運も大きく影響していると思いますが、もし人生を変えるような2つの役柄に恵まれていなかったとしても、私は自分なりの成功を追求することに目的と意味を見出すことができたと思います。両親の定義ではなく、自分の定義でという意味です。この話を必要としている人がいるのかどうかもわかりませんが、いくらお金をかけても、自分自身のビジョンを妥協することはできないのです。どんな困難にも負けず、自分の夢を追い求めること。それが人生というものです」
ちなみに、クビになった瞬間は絶望しかなかったというシムだが、今では“ありがたい”と思っているようで、皮肉も込めてかつての会社と上司に、「ポール・ギボンとデロイト トロントの皆さんへ。本当に、本当にありがとうございます。私が自分でやる勇気がなかったことを、あなた方がやってくれました。私が誰かのために築いてきた人生をあなた方が壊してくれたおかげで、私はやっと自分のための人生を築き始めることができました」と感謝のメッセージをおくっている。(フロントロウ編集部)