2022年のアカデミー賞でプレゼンターとして出席した大御所ミュージカル俳優のライザ・ミネリは車いすに乗って登場することを強制されたと、バックステージで彼女のそばにいた友人が明かした。(フロントロウ編集部)

アカデミー賞はライザ・ミネリを強制的に車いすに乗せた?

 第94回アカデミー賞授賞式で、俳優のウィル・スミスがコメディアンのクリス・ロックをビンタした出来事は大きな話題になったが、当時騒然となった授賞式会場で運営側がプレゼンターに対して取った行動をミュージシャンのマイケル・ファインスタインが批判している。

 事の発端は、クリスがウィルの妻であり俳優のジェイダ・ピンケット・スミスの坊主頭をジョークのネタにしたこと。それに対してウィルが激怒し、クリスをビンタした後に放送禁止用語を用いて批判したことで会場にいた参加者も、テレビの前で見ていた視聴者も騒然となった。

 そしてその後、いくつかの賞の受賞者が発表された。最優秀作品賞を発表するプレゼンターを務めたのは、レディー・ガガとライザ・ミネリ。ライザは1965年にトニー賞を受賞、1972年公開の映画『キャバレー』では、アカデミー賞主演女優賞とゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞している大御所だが、この時彼女は車いすに乗ってステージに登場した。

画像: アカデミー賞はライザ・ミネリを強制的に車いすに乗せた?

 しかし、ライザとコラボレーション経験のある友人であり、当時バックステージで彼女のそばにいたというマイケルは、ライザは車いすに乗りたがっていなかったと、米ラジオ番組『The Jess Cagle Show』で話した。

 「彼女はサボタージュ(破壊工作)にあったんです。酷い言葉ですが。でも彼女は、ディレクターズチェアに座って登場できるのであれば、アカデミー賞に出席すると了承したのです。なぜなら彼女は背中に問題があるので。彼女は、『私が脚を引きずっているのをみんなに見られたくないの。良く見られたい。みんなを心配させたくない』と言っていました」

 ライザがディレクターズチェアでなく車いすに乗ると決められたのは、登場間近である5分前ほどだったとマイケルは話す。「さっき起きた騒動のせいでみんな動揺していて、そうしたらステージマネージャーが、『彼女は車イスでなければいけない』って言ったんです」と明かした。ライザはそれをすぐに受け入れたわけでなく、当初は拒否していたという。しかし車いすに乗るか、登場自体がナシかと迫られて車いすに乗ったという。

 車輪がついていないディレクターズチェアであった場合、ライザがどうやって登場する予定だったのかは分からないが、その点をマネージャーが懸念した可能性はある。一方でマイケルの発言後、騒動のさなかで視聴者からの同情を誘うためにやったのではと疑惑を向ける声もある。

 ガガとライザはアワードの大トリである作品賞の発表を担当したわけだが、車いすに座るライザを優しく気遣うガガの様子はツイッターでも話題になり、放送事故が起きたイベントの最後としてはほのぼのと終わった。

 また、ステージ上に現れた彼女がナーバスになっていたことは感じ取ることができたうえ、車いすに乗っていたために、彼女の健康を心配した視聴者は少なくなかったことは、ラジオ司会者のジェス・ケーグルがその話題をマイケルに振ったことからも分かる。

 マイケルは続けて、「(車いすに変更されたことで)彼女はナーバスになっていて、それが彼女の様子を悪く見せました。突然、自分がそうは見られたくない方法で数百万人の人々に見られること強制されるのが想像できますか?それが彼女に起きたことです」と話し、アカデミー賞側を強く批判した。

 アカデミー賞側はこの件について、まだコメントを発表していない。

(フロントロウ編集部

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