ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが『となりのトトロ』を舞台化
スタジオ・ジブリによる宮崎駿監督作品『となりのトトロ』が、イギリスで舞台化。久石譲が音楽とエグゼクティブ・プロデューサーを務める。2022年10月8日から、2023年1月21日までの15週間の上演となる。
面白そうだが、トトロが実写で? パフォーマンスは英語で? サツキとメイは誰が? といった疑問はいくつも浮かんでくる。しかし本作を舞台化するのは、イギリスで演劇界のみならず一般にも名前が知られているロイヤル・シェイクスピア・カンパニーだから期待できるかも。その頭文字を取ってRSCと呼ばれる劇団には、どのような歴史がある?
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身俳優が凄すぎる
1564年に生まれ、1616年まで生きたウィリアム・シェイクスピアはイギリスが誇る劇作家で、彼の作品は学校教育でも使われる。『ハムレット』や『マクベス』といったタイトルを耳にしたことがある人は世界中に多いだろうし、『ロミオとジュリエット』は原作も有名なうえ、それに着想を得た映画『ウエスト・サイド物語』や、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ロミオ+ジュリエット』なども大ヒットを記録してきた。
そんなシェイクスピアの作品を多く舞台化してきた権威ある劇団RSCだからこそ、出身俳優や、劇団の作品に出演してきた俳優に超有名実力派が多い。
例えば映画『ハリー・ポッター』シリーズに出演した俳優だけでも、マクゴナガル先生を演じたマギー・スミス、スネイプ先生を演じたアラン・リックマン、ヴォルデモート卿を演じたレイフ・ファインズ、シリウス・ブラック役のゲイリー・オールドマン、ピーター・ペティグリュー役のティモシー・スポール、マルフォイの母ナルシッサ役のヘレン・マックロリーなどの名前が挙がる。
また、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でギルデロイ・ロックハートを演じ、これまでに米アカデミー賞に5回8部門にノミネートされ、『ベルファスト』で脚本賞を受賞したケネス・ブラナーもRSCで活躍した経歴を持つ。ちなみに、『ハリー・ポッター』シリーズでシビル・トレローニー先生を演じた、これまた実力派俳優のエマ・トンプソンは、ケネスの元妻。
さらに、MCUドラマ『ワンダヴィジョン』のヴィジョン役であるポール・べタニー、『ゲーム・オブ・スローンズ』のタイウィン・ラニスター役であるチャールズ・ダンス、そしてイギリスの大御所俳優ヘレン・ミレン、ジュディ・デンチ、イアン・マッケランも、RSC作品で存在感を発揮していた。
蜷川幸雄も活躍したロイヤル・シェイクスピア・カンパニー
イギリス中南部にあるシェイクスピアの誕生と埋葬の地ストラトフォード・アポン・エイボンを拠点とするRSCは1961年に設立された劇団で、その劇場であるロイヤル・シェイクスピア・シアターは、エリザベス・スコットがデザインして1932年にオープンしたニュー・シェイクスピア・メモリアル・シアターを改名したもの。
現在はロイヤル・シェイクスピア・シアターに加えて、スワン・シアターとアザー・プレイスの2つの劇場もあり、さらに多数のツアーも行なわれてきた。ロンドンでの公演ではバービカン劇場が使用されることが多く、『となりのトトロ』の上演もバービカン劇場になる。ちなみに、故蜷川幸雄が演出、藤原竜也が15歳で主演を務めた『身毒丸』のロンドン公演が開催されたのもバービカン劇場。
蜷川幸雄はRSCの作品を手掛けたこともあり、1999年から2000年にかけて『リア王』を手掛けた。また、2006年には蜷川幸雄が演出し、吉田鋼太郎がタイタスを演じた『タイタス・アンドロニカス』がRSC主催のシェイクスピア演劇のフェスティバルに招待された。
そんなRSCだが、シェイクスピア作品以外も得意だったりする。ロアルド・ダールによる児童文学作品『マチルダは小さな大天才』を基にしたミュージカルの『マチルダ』は2010年から上演されるロングラン人気ミュージカルだが、RSCが手掛けている。
だからこそ、RSCが『となりのトトロ』を手掛けることには期待がかかる。まだまだ海外旅行は避ける人も多いが、『となりのトトロ』は見てみたいもの。日本ツアーをしてほしいという声も聞こえてきそう。
(フロントロウ編集部)